■ 数式を理解するための知識への心構え!?
システムトレードにおける戦略を考えるヒントを得るために数学・物理学
など経済以外の分野に求めることは有効な手段です。
しかし、科学的な分野は数式によって表現されることが多く、多くの方
がヒントを得るどころか、「数式」という障壁の前に挫折を味わうことになる
でしょう。だからといって臆する必要はありません。なぜなら、
数式を理解するための知識を得ればいい!
からです。ただし、決して簡単なことではありません。簡単ではない分、
地道な努力が必要です!
そして、その地道な努力は量に応じて他分野から様々な知識を習得する
形で報われるでしょう。では今回紹介する知識に話を移します!
■ 前回扱った内容
■ 今回扱う知識は「ガンマ関数:Gamma function と階乗:factorial」
【意味】
ガンマ関数・・階乗の概念を一般化した特殊関数
階乗・・・・・・・1からnまでの自然数の総乗
ガンマ関数を扱う理由は上記の不偏標準偏差を計算するためです。よって、計算に
必要となる知識を中心にガンマ関数を扱います。ガンマ関数は複素数への拡張
が行われるため、基本以外は難解な概念となります。現時点では必要ないこと
から、複素数を扱い始めるまでは基礎的なガンマ関数の解説に留めておきます!
ではガンマ関数の解説を始めますが、ガンマ関数を理解するためには、階乗を
理解する必要がありますので階乗の解説から始めます!
【階乗】
自然数nの階乗はn!と表され、例えばnが5であるとき、
5!=5×4×3×2×1=120
となります。これは総乗(直積)のため、直積で扱った記号で表現し直しますと、
となります。ちなみに「1!=1」であり、「0!=1」とされます。そして階乗と
ガンマ関数との関係は、
一見簡単に見えますが、ガンマ関数の定義から既に階乗の定義域は既に
複素平面に拡張されているのです。ちなみにネイピア数eとガンマ関数の理
解を助けてくれる関係として階乗の逆数の総和というものがあり、
となります。ではガンマ関数の解説に移ります!
【ガンマ関数(Γ関数)】
ガンマ関数の定義は、実部が正となる複素数z(Rz>0)について、
と積分で定義される関数をガンマ関数と呼びます。意味不明と思われるか
もしれませんが、底をeとする積分は初等数学では表せないことは以前に
扱いました。
※ eの積分については 正規分布をExcelで表現する を参照♪
ただ、eの積分にはπが登場することは何となくわかると思います。そして、
を利用することによって、ガンマ関数にて負数ではない分数の階乗を定義
することができるのです!
そして、この解は√πになります。確認のため下記記事のサイトを開き、
※ 検算は こちら の記事のサイトから!
gamma(1/2)
と貼り付け実行してみましょう♪
そして上記の関係から分数の階乗は以下の数式で算出できるようになり
ます。
しかしながら、不偏標準偏差はガンマ関数が活用されているため、階乗
とガンマ関数の関係を行ったり来たりするのは面倒です。そこで数式を
変形!変形!して、
という公式を今後は活用していきます。
ガンマ関数はあくまでも複素平面への拡張に関して使用頻度の高い関
数です。よって、階乗と最後の公式だけ覚えればマスターというわけでは
ありません。ただ、今回解説した範囲でExcelやPower Languageでガンマ
関数が扱えるようになります。
【次回】
階乗とガンマ関数を利用して不偏標準偏差をExcelとPower Languageで
表現していきます!