梅田望夫流ウェブ応援歌「ウェブ進化論」 | HardReggaeCafe@Ameblo.jp

梅田望夫流ウェブ応援歌「ウェブ進化論」

話題のウェブ進化論を読んでみた。

梅田 望夫
ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

自分はIT業界にいるのでWeb2.0やロングテール、オープンソースなど
当然知っている内容ばかりである。こういった話題を中心にした
ほとんど専門書といっても過言でない書籍が売れまくっているという
センセーショナルな事実。買う人は何を求めて買っていくのか。


Amazonのこの本に関するレビューを見るに、IT業界に知見を持つ人は
梅田氏の独特の整理「あちら側」「こちら側」という視点に斬新さを
感じるようだ。そうでない人はGoogleやYahoo!、楽天といった実在の
登場人物のストーリーを一種のドキュメンタリーとして楽しみつつも
上記のキーワードについて何であるかを理解できる本という点で評価
されている。


では私にとってはどうだったのか。


実は両方であった。もちろん重要なキーワード(Web2.0など)は
当然理解はしているが、再三にわたって述べられる「あちら側」
すなわちGoogleのようなデータセンター側に置かれたサーバ群で
ありとあらゆる情報を整理しつくす検索機能やGmailのような
メール機能の集中管理といった手法が、「こちら側」代表
であるMictosoft(OSやブラウザを押さえ込んでいるという点で)
を凌駕しつつあるというのはこれもIT産業のひとつのパラダイムシフト
という点では非常に面白い。いや、この考え方そのものが面白すぎる。


オープンソースやWikiPediaに対する「性善説」の捕らえ方も
きちんと解説されていて、初めてこの言葉に触れた人には目から
鱗かもしれない。実はWikiPediaに関しては別の書籍で良質の
コミュニティを形成するためのウラの努力を知っているので
ここに語られていることが若干短絡的で楽観的な見方である
ことは承知しているが、少なくとも旧来の価値観でインターネットを
括りたがる輩に対するあてつけであることは間違いない。


インターネットを題材にした新旧の価値観の対立という点では
ロングテール理論も取り上げられていた。

Amazonが書籍の全文検索を導入しようとする話(日本でも
「なか見!検索」というタイトルで取り組みが行われている)
の中でロングテールの首に当たる部分、つまり売れ筋商品にとっては
販売数を押し下げる死活問題につながりかねないと考える連中
に対して、しっぽすなわち売れ筋以下の商品に関しては再評価を
与えるチャンスというアプローチでプッシュするアマゾン。


こんな問題ひとつとっても、守旧派(エスタブリッシュメント)
が若者のモチベーションを押さえ込んでしまっているという話は
自分も経験があるだけにただただ頷くしかない。


そんな人たちを応援してサポートしたいという思いが、
この本全体に伝わるテーマとして湧き出ており、それこそが
この本の出版へと結びつけた動機であると著者は述べている。


単に現在のWebの潮流を学びたい人にとっても、なんちゃって
プロフェッショナルにも、梅田望夫のファンという(笑)人に
とっても納得できる本。


梅田氏のコラムはCNETとかでもやっていたが新しいのは
社外取締役やっているはてなでの
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/
が新しいようです。シリコンバレーエンジニア目指す人は
必見ですな。