大卒3年以内に3割が辞める、という問題は最近特に取り上げられ、最近の若者は軟弱者が多い、
根気がない、と批判されます。
けれど、ちゃんとデータを調べてみると、別に最近に限った話でなく、昔から3年以内の離職率は
3割前後を推移しています。
厚生労働省が発表しているデータによると、平成4年に23.7%、平成5年に24.3%の低い値であって
からは、25%以上を維持したままです。
かつ増加傾向にある、というよりも波打っているグラフであり、直近の平成19年では31.1%で、
これは平成7年以降のデータで一番低い数字です。
『厚生労働省:若者雇用関連データ
』
なので、「若者は根気がない」と言われるなら分かりますが、「最近の若者は根気がない」という
意見に対してはとても違和感を覚えてしまうのです。
例えば、草食系男子という言葉が流行りましたが、ではオジサマ世代は皆肉食系だったのか?
というとそうではないと思うんですよね。
また、Wikiquoteには「やってみせ~」で有名な山本五十六のこんな言葉もありました。
「実年者は、今どきの若い者などということを絶対に言うな。なぜなら、われわれ実年者が
若かった時に同じことを言われたはずだ。 今どきの若者は全くしょうがない、年長者に対して
礼儀を知らぬ、道で会っても挨拶もしない、いったい日本はどうなるのだ、などと言われたものだ。
その若者が、こうして年を取ったまでだ。 だから、実年者は若者が何をしたか、などと言うな。
何ができるか、とその可能性を発見してやってくれ。」
時代は変わり、それに応じて環境も変わるもの。
若者は時代時代の環境を敏感に感じ取り、自身を適応させていくんじゃないでしょうか。
根気がないだの、草食系だのというのは、若者が社会環境や家庭内環境の移り変わりに
適応した結果であり、その環境を作り出してきたのは、その上の世代なんじゃないかな、とも
思うのです。
僕は趣味で熱帯魚を飼ってるんですが、景観を良くするためと、環境を整えるために
水草も植えています。
人工的に水草を植えるので、最初はどうしても水槽にアンマッチな水景になります。
けれど時間が経てば、水草はその水槽環境に合わせた形で成長し、数ヶ月もすれば、
水槽にとてもマッチした自然な水景ができあがります。(光が当たるところにたくさん生えたり、とか)
生物が環境に適応した一つの例ですね。
それと同じかな、と。
結局のところ、「最近の若者は~~」というのは、一昔前に若者であった方たちが自分の価値観
を押し付けていることに変わりなく、「最近の若者」というように総評してしまうことも、とても乱暴
なことだと思うんですよね。
(まぁ、水草と人間を一緒にするのも相当乱暴ですがw)
というわけで、若者は批判をされても卑屈にならず、その上の世代の方々も若者を批判するの
ではなく、認め、歩み寄り、生産性の高いことができればいいですよね。
とここまで考えて・・・
我々人事担当者や経営者が「最近の学生はレベルが低い」なんて言うのも全く同じだな、と。
結局のところ学生がどうこう、ではなく、そういった教育環境であり、家庭内環境で育ってきた
のが原因ですので、学生を一方的に批判するのはお門違いですね。
(学生のレベルが低い、ではなく教育内容が社会ニーズとマッチしていない、ならまだ近いかも)
であれば、学生の良いところを積極的に引き出し、採用活動の過程で学生を育成する、という
意識が必要です。
批判、批評しても何も始まらない。
そういったものはプロの評論家に任せてしまって・・・
現場の人間は、現状を受け入れ、その上で何ができるか考えていかなければいけませんよね。
まぁ、僕もまだまだ若手なんですが。
あ、でも最近はビール飲む若手も少なくなりましたねー
そういう意味では僕もミドル層に突入してきたのかも・・・