>米国はもう戦争仕掛け人としていつでも軍備を
拡張する理由を狙ってる国。
考えてみると米国が完全勝利した国は日本だけ・・・。
ロシアの専門家より
「米国はイラクで何を得ただろうか?
ゼロだ。エジプトのムバラク政権の転覆で
何を得たか?損失しかなかった。
カダフィ打倒で何を得たか?外交官らが惨殺さ
れただけではないか?・・・」。
田原総一朗 × オリバー・ストーン &
ピーター・カズニック ;「武力介入は失敗するという歴史をなぜ繰り返すのか
(途中から転載です)
カズニック: 非同盟国の人々が言って
いましたが、その時代に米ソが巨額の費
用を軍拡に費やして、途轍もなく膨大な
核兵器を保有するようになりました。
1970年代には米ソで7万発もの核兵器
を持っていて、それは広島型の原爆の
150万倍もの威力を持つものでした。
貧困、教育、衛生というような世界的な問題
があったにもかかわらず、軍拡に多大な資
源が費やされていました。
もしフランクリン・ルーズベルトが死ななか
ったか、またはヘンリー・ウォレスが大統領
になっていたら、アメリカは軍拡や植民地主義
をやめていて、世界の人々の生活水準は
すごく上がっていたのではないかと思います。
結論としては、冷戦には勝者は存在しない
という意見です。
冷戦でよかったことと言えば、私たち人類が
生き延びたということで、1962年のキューバ
のミサイル危機で人類が滅亡に瀕した状況
もあったわけですから、それを回避できたの
はよかったと思います。
9.11はアメリカにとって「新たな真珠湾攻撃」
;田原: 次の質問ですが、2001年の9月11日
にニューヨークの国連センタービル、あるい
はワシントンのペンタゴン、ここにモハメド・アタ
を首謀者とするイスラム原理主義者アルカイーダ
によって自爆テロが行われました。
この9.11事件についてどうとらえていますか?
ストーン: 悲劇だったと思います。
これはアメリカの中東介入へのしっぺ返しの
ようなものだったと思います。
冷戦が終わってゴルバチョフが共存を
唱えていたにもかかわらず、アメリカは中東
に進出してクウェートに侵攻し、サウジアラビア
に派兵して駐屯し続けました。
それが世界のバランスを大きく崩して、そういった
中東への介入に対するしっぺ返しを受けた。
これは父親のほうのジョージ・ブッシュ大統領
に大きな責任があると思っています。
;田原: アメリカが9.11以後、アフガン戦争、
イラク戦争を行いました。これらの戦争に
ついてストーンさんはどうとらえていますか?
ストーン:
結局、2001年の出来事はアメリカにとって
チャンスだったわけですね。
息子のほうのジョージ・ブッシュ政権時代の
保守系シンクタンクであるアメリカ新世紀プロジェクト
(PNAC)による「アメリカ防衛再建計画」という
レポートがありますが、これはブッシュの周囲の
人々による冷戦後の軍拡計画だったわけです。
もう冷戦も終わっていたし、軍備を拡張する
理由がなかったから、「アメリカの防衛体制再建
には、真珠湾攻撃に匹敵するような新しい理由
が必要だ」というようなことを言っておりました。
だから、9.11はブッシュ大統領とディック・チェイニー
副大統領にとって幸運なことに「
新たな真珠湾攻撃」が生み出されたということなんです。
著者=オリバー・ストーン & ピーター・カズニック
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;実際にはこれはアルカイーダの仕業でイラク
は関与していなかったのに、ブッシュと
ドナルド・ラムズフェルド国防長官とチェイニー
はこれをイラクのせいにしました。
まずアフガニスタンを空爆してそのあとの
標的をイラクにしました。
それで大量破壊兵器というありもしないものを
、たくさんの嘘によって、まったく証拠もないの
にそういう容疑によってイラクに侵攻しました。
ブッシュ政権のネオコンたちは、まずイラク
から始めてそれで中東全体を掌握するという
計画でした。
イラクにまず侵攻して、「次はおまえだぞ」と
言ってコントロールを広げていく計画だった
わけですが、実際に起こったことはまったく
逆でした。
完全に占領地域が不安定になって、自爆テロ
が頻繁に行われるようになりました。
アフガニスタンは貧困や教育の低さ、
平均寿命の短さというような問題で国際的
な援助を必要としている国だったのに、
それをもっともっと不安定化するような結果を
招いてしまいました
戦闘に勝っても戦争全体で負けてしまった
田原: 今の話だと、ブッシュ政権はフセインが
アルカイーダとは関係ないし大量破壊兵器を保持
していないことも知っていてイラク戦争を始めた、
これは明らかに侵略戦争である、ということですね。
しかもこの侵略戦争にアメリカは失敗したわけです
が、なぜ失敗したのでしょう?
カズニック: 結局、武力介入というのはうまく機能
しないものだということだと思います。
ベトナムもそうでしたし、アフガニスタンもそうでした。
過去を振り返ればドイツのナチス、アメリカ、日本
もそうでした。
侵攻していった先でそこにいる人々の支持や気持ちを
勝ち獲るというか、説得をして現地の人々の為になる
ことをしなければ、こういった武力介入は失敗すること
になっているのだと思います。
ストーン: ナポレオンも「武力で押さえても結局、
統治はうまく機能しない」という意味のことを言ってい
ます。
田原: でも、アメリカは日本との戦争には勝ちましたね。
しかしそのあと、朝鮮戦争も成功とは言えないし、
ベトナム戦争には負けた、アフガン戦争も失敗、
イラク戦争にも失敗しています。
日本との戦争に勝っただけで、それ以外の戦争に
はなぜ全部失敗しているのでしょうか?
ストーン: 1983年のグレナダ侵攻や1981年のクウェート
でイラクの軍隊と戦ったことなど、小さなスケールの戦争
では勝利はあったと思いますが、おっしゃる通りです。
アメリカのほとんどの戦争は失敗しています。
ベトナム戦争では、一つひとつの戦闘には勝って
いるんですが、戦闘に勝っても戦争全体で負けてし
まったと思います。
なぜなら、ベトナム戦争というのは場所の問題で
はなく時間の問題だったからです。
つまり、ヴォー・グエン・ザップ将軍やホー・チ・ミン
が言ったように、アメリカはほんの数年間しか
ベトナムにいないだろうけれども、ベトナム人は
ずっとベトナムにいるんだ、と。
人民というものは占領軍を嫌うもので、占領軍が現地
の人々の土地や財産を奪うことで、必ずものすごい
抵抗を受けています。
カズニック: つけ加えるなら、結局、武力をより多く
持っているからといって戦争に勝てるわけではなくて、
やはり地元の人々の心をつかまなければいけない
のではないかと思います。
ブッシュ政権とオバマ政権の両方で国防長官を務
めたロバート・ゲイツも「これからは、アジアや他の
地域で軍事侵攻するなどということは考えられない」と、
彼でさえそう言っています。
田原: 実は私はオリバー・ストーンさんが
『ウォール・ストリート』という映画を撮られ
たときに取材しているんですが、まさにその
ウォール・ストリートで今大問題が起こっています。
アメリカではわずか1%の人々が99%の人々を
犠牲にして莫大な富を稼いでいる。
つまり、明らかに資本主義がいきすぎている
という大問題があります。
これについてはどう思われますか?
ストーン: 私が1987年に『ウォール・ストリート』
の前作に当たる『ウォール街』を作ったときは
多少誇張して表現しました。
ゴードン・ゲッコーという主役は本当に悪者で
違法スレスレのことをやっていて、最終的には
インサイダー取引で追及されるという筋立てにしました。
ところが、20年後の2008年に「お金は眠らない
(Money Never Sleeps)」という副題をつけて
続編の『ウォール・ストリート』という映画を作っ
たときには、もう現実のほうが遙かにそれを
超えていて、ゲッコーの果たしていた役割を
銀行自体が果たすようになっていました。
銀行は自分たちの利益のことだけを考えていて
、預金者や国家など他者のことをまったく
考えない機関となってしまいました。
田原: 最後にもう一つ、今はアメリカの多くの企業
が「タックスヘイブン」という形で税金を払っていま
せん。
税金を払っていない企業がたくさんある、逃げて
いる、これは明らかに資本主義のいきすぎだと
思うんですが、これについてはどうですか?
ストーン: たしかにそうです。GEをはじめとして、
アメリカの大企業は税金を払っていないと思います。
アメリカはその1%の人々が全体の90%以上の
富を得ています。
景気回復と称しても、その中身はほとんど
大企業のトップ1%に恩恵がいってしまっています。
しかし、いちばん問題なのは、彼らが違法行為
を働いていないということです。
法律自体が彼らの手によって決定されているので
すから、私たちは法律を変えなければいけません。
そういう意味では、アメリカでは今、民主主義は
機能していないのではないかと思います。