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Public Patent Foundation(PUBPAT)や
米国自由人権協会による、ヒト遺伝子特許無効訴訟
の米国最高裁の審理が4月15日始まった。
この裁判は、米国のミリアド社の持つ乳がんと
卵巣がんに関連する2つのヒト遺伝子の
特許無効を求め、
15万人以上の遺伝学者、病理学者、研究者
なども原告となり2009年8月に提訴していた。
原告の主張は、ミリアド社の特許はヒトの遺伝子
そのものに与えられたものであり、
そもそも特許の対象となりえないという当然のもの。
自然の存在であるヒトの遺伝子の特許は不合理
で許されない。
米国最高裁は1980年、石油分解バクテリア
の特許に関するチャクラバーティー事件の判決
で、遺伝子に特許を認める判断を示した。
この結果、
モンサントのような遺伝子組み換え特許を
使った種子ビジネスに道を開いた。
ニューヨーク・タイムズによれば
、米国はヒト遺伝子の20%に特許を認
めているとされている。
ミリアド社は、
この特許による2つの遺伝子BRCA1と
BRCA2について、他の研究機関の使用を
禁止する一方、この遺伝子の変異を検査し、
乳がんの可能性をチェックする遺伝子検査
ビジネスを展開している。
この検査料金は、1件あたり4千ドル前後と高額。
これには、検査料が高すぎて誰もが検査を受けら
れない、恩恵をこうむるのは高所得者だけとして
非難されていた。
1審は2010年3月、全面勝訴した。
これを受けて米国司法省は同年10月、控訴裁判所
へ意見書を提出し「単なる遺伝子の特許は無効」と、
単純明快な判断を示し、注目された。
しかし、2012年8月、ミリアド社の特許を有効
とする最終的な控訴審決定がなされ、
原告が最高裁へ上告していた。
●“私の遺伝子は会社のものではない”
ヒトの遺伝子に特許を認めることは、
自分の身体を形作っている遺伝子が企業の所有
とされることであり、自分の身体が自分自身の
ものではないことも意味する。
ミリアド社による遺伝子の働きの“発見”は、
少なくとも、乳がんリスクを持つ人たちには称賛に
値することだろう。しかし、そのことを自己のものとして
“所有”し、企業利益の道具とすることは許される
ことではないことも自明なことだ。
この6月にも示されるとみられている
最高裁の決定は、遺伝子組み換え作物
ビジネスに道を開いたチャクラバーティ裁判
の決定のように、米国企業のみならず、
世界中の人々の健康や生活に大きな影響を
与える可能性がある。
最高裁判事の中には「特許無効に慎重」
という報道もあるが、米国最高裁は
「特許無効」の常識的な判断を下すべきだ。
遺伝子組み換え特許についてPUBPATは、
モンサントの基本特許の無効を米国特許商標庁
に求め、07年に画期的な無効審決を
引き出している。
もっともこの審決は、モンサントの異議申し立てで
撤回されたようで、関連情報がPUBPATのサイト
からも削除されている。
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