来年4月に消費税が増税されると個人消費が落ち込み、景気が悪化すると心配されていますが、増税を先送りすると今年中に景気悪化が始まる恐れがあります。
理由は以下のとおりです。
1.個人消費が来年4月を待たずに落ち込む
現在好調な個人消費は増税前の駆け込み需要を含んでいますが、増税先送りなら、今あわてて買わなくてもいいからです。
2.企業の設備投資は増税前は伸びない
増税で個人消費が落ち込むのが判っていれば、借金して工場作っても経営が苦しくなるだけです。経営者は消費税が10%になった後で設備投資をしようと考えるでしょう。
3.アベノミクス効果が消える
一時1万5千円を超えた日経平均がアベノミクス効果が薄れたことにより、1万3千円台半ばまで下がっています。為替も1ドル105円台までいったものの、97円台まで戻っています。
ここで安倍首相が後戻りする姿勢を見せればアベノミクスへの期待で進んできた株高、円安が逆戻りしはじめるでしょう
4.財源が減ることにより、日銀も大規模な追加緩和ができなくなる
黒田日銀総裁が異次元緩和ができたのはアベノミクスで景気が良くなり、消費税増税と税収の自然増で赤字国債の発行が減少することが期待できたからです。
以上の理由から日本株は海外の投資家から売りを浴びせられ、為替もリスクオフモードになり、円高となるでしょう。
ここから先は鳩山政権時代の再現となるでしょう。
ところが、野党も、ほとんどのマスコミも目先の家計の負担増に目がいってしまい、消費税増税反対ばかりです。
それで家計が楽になればいいですが、賃金カットや失業で家計は苦しくなるでしょう。(公務員の方はこの心配はないでしょうけど)
甘利経財相は「税制と予算、金融のあらゆる手段を使って、設備投資が堅調に拡大することを期待する」と語ったそうですが、消費税増税を先送りすれば大したことはできなくなります。もし、ムリにやろうとすれば福祉を切り捨てるしかありません。
失業か福祉切捨てか、どちらにしても弱者にツケが回っていくわけです。
では、どうすればいいのでしょうか?
大事なのは、企業収益が所得につながることを後押しする政策を実行することです。
高度成長時代のように全ての労働者の賃金を大幅に引き上げることはできなくても、低所得層から中間層へ這い上がるチャンスを増やすことはできます。
チャンスをつかんだ人たちの個人消費は消費税増税にかかわらず大幅に増加するでしょう。すぐにチャンスをつかめなくても希望は膨らみます。
希望が膨らむことがいかに大切かはこの1年でよく判ったと思います。