2012/2/19 清家千晶、神山みさ、PEACE$TONE@渋谷Milkyway | 音楽偏遊

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最近見たライブや気になるアーティスト、気に入った店や場所など偏った嗜好で紹介してまいります。アーティストさんへの言及などは、あくまで私個人の見解であり、特に中傷や攻撃を意図したものではないこと、ご了解下さい。

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「オーガニックなコトノハ」@渋谷Milkyway
出演:神山みさ →リアルフレイバー →清家千晶 →秋風センチメンタル →PEACESTONE
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今夜は、最近行ったライブの中でも、特に楽しみにしていたライブ。だって、神山みさちゃんと清家千晶が対バンするってすごいじゃないですか。FM富士とアキさんの影が見えるが(笑)、こうして2人を同時に見せてくれたことに大いに感謝です。2人とはFM富士の同じ帯番組の別の曜日にそれぞれパーソナリティをやってたんだよねー。

そしてさらに、密かに楽しみにしていたのがトリを努めた「PEACE$TONE」。今夜は彼らの結成1周年で、話題のグループだ。なぜ話題かって?それはすでに公けになっているから、ここで書いても問題ないと思うが、このグループの女性ボーカルASUKAこそ、実は初代モーニング娘の福田明日香なのだ。

メンバーの中でずば抜けた歌唱力とその声で、ゴマキも辻・加護もいなかった初期のモー娘の音楽に芯を通した彼女。人気は安部なつみだったかも知れないが、福田明日香がいたからこそ歌で勝負できたのは間違いない。確かASAYANのオーディションに出たのは12歳の時。その時点で抜群の歌唱力だった。それから14年?ボイストレーナーもしていたというから、大人になってその歌はさらに磨きがかかっている可能性が高い。純粋にシンガーとしての彼女の現在に、すごく興味があった。

しかも、来てから気付いたが秋風センチメンタルも対バンに。初めて彼らを見たのは確か、神山みさとの対バンだった池袋アムラックスホール。結構良くて感動したのを覚えている。その後も、たびたび彼らのライブを見る機会もあり、好きな男性デュオのひとつなのだ。

今夜はそんな実力ある良いアーティストばかり。楽しみにならない訳がない。


そんな贅沢なライブのトップバッターは「神山みさ」。

自称ゴスペルフォークシンガー。スクリーンが上がると、ステージにはギターを引っさげた彼女が一人。ルンペン帽を目深にかぶり、表情は分からない。初めて彼女を見るお客さんも多かったようだが、どんな歌うたうんだろうなーと軽く考えていたことだろう。

でも、彼女が歌い始めた途端に「おおっ、意外にすごいぞ」って目を見張るはず。それだけの歌力の持ち主だ。その反応を見たくて、周りのお客さんの様子を伺っていた(笑)そして、案の定、「おおっ」ってなり、ちょっと鼻高々な気分にニコニコ

とにかく、彼女の歌には魂がこもっている。さらっと聞き流せなくない。一言、ひとことに心が、頭が反応してしまう。特に今夜は昨年のクリスマスに発売した新アルバムの曲を中心にしたセットリスト。まだライブで聴いたことがない曲が多く、じっと聞き入ってしまった。

そして何より個人的にうれしかったのが、2月生まれの自分のために(というか、そこにいた2月生まれの人全てにだが、笑)、彼女のオリジナルのあの名曲「バースデー」を歌ってくれたこと。あと数日で年齢を重ねる身として、これは響いた。

音譜生まれたてのあなたに沢山のありがとう届けよう~音譜って歌が始まると、もうジーンとなりました。

新曲が多かった今夜の選曲だが、それでも最後はやはり神山みさの代名詞といえる「カタチのないもの」。心に沁みた。

【セットリスト】
1)光
2)夜のレインボー
3)タイム
4)バースデー
5)祈っています
6)カタチのないもの


2番手は「リアルフレイバー」。

アニソンと軽音を合わせ、和のテイストをまぶしたようなポップなグループ。小さいボーカルと滝川クリステル似のドラマーの女性2人に、ベースの男性という3人組。デジタルサウンドとアコースティックを取り混ぜた、明るい雰囲気がいい。


さあ、そして3番手は「清家千晶」。

今夜の編成は先日の新宿RUIDO K4と同じ、ウッドベースとアコギの2弦サポート。衣装は彼女にしては珍しい白と黒のツートン。Milkywayのステージの壁も黒一色なだけになんかモノトーンで、彼女に似合わない。

歌い始めた声も、錯覚ではなく、どこかモノトーンだった。本来の彼女は、その圧倒的でカラフルな声を響かせて、聞くものを圧倒する。何より彼女自身が夢遊病患者であるかのように、天然色の音に彩られ漂うように歌うのだ。そうして作られる世界観は、天上界に昇るような至福に満ちて、虜にされてしまう。

聞きながら、今自分の手元に花束があればと思った。その花びらを集めて、彼女のステージに降らせてあげられたのにと。ステージに花びらが舞ったら、きっと清家千晶のスイッチが入る。可笑しなこと言っているようだが、多分、間違っていないと思う。赤や黄色やピンクの花びらが、華やかな香りとともに自分の体を包んだら、そりゃあ嬉しくなって、夢幻世界へ飛び立てるでしょう(笑)彼女のそんな感覚が分かる自分もおかしいかもしれないが。

後から本人と話すと、彼女も今夜はちょっとやりづらかったという。でも、ちょっとしたきっかけで、突然変わるものなんだよね。最近の彼女の躁な気分なら、絶対良いライブに変わるはずなのだから。

ただ、モノトーンになったことで、装飾を削ぎ落とした彼女の歌唱力の凄さは、鮮明に浮かび上がった。「スミレ」の迫力、「Emily」のかわいさ、「ユラー」の陶酔は、何ものにも変えがたい魅力を持つ。

先日のバレンタインデーライブでは、玉城ちはるが同じ「Emily」を歌っていたが(この曲は2人の合作)、この曲に関しては僕は清家千晶のふわふわした浮遊感ある歌い方が好きなんだよな。彼女の「Emily」は絶品なのです。

最近のライブでは必ず歌っているスコットランド民謡「The Water Is Wide」を挟んで、最後はわが愛する「花唄ーハナウター」。ノスタルジックで、カラフルで、ありありと情景が浮かんでくるその歌詞とメロディに、頭は真っ白になり、うたに同化してしまう自分がいる。ああ、ああ、いい。

今夜はオリジナルのベスト4曲を歌ってくれたが、最近は少し他の曲もライブで聞きたいなあと思ってる。例えば「electric sense」とか「この体。」とか「裸と煙草」。聞きたいなあ。

【セットリスト】
1)スミレ
2)EMILY
3)ユラー
4)The Water Is Wide
5)花唄ーハナウター

ほんと、もっとライブしてくれればいいのに。ところが暫く彼女は制作活動に専念するそうで、次のライブはなんと2ヶ月も先の4月27日だという。えー、そりゃ、ないよ。でも、この仕込み期間に戦略的なプロモーションが立ち上がるなら、それには期待したい。これほどのミュージシャンが市井に埋もれていていい訳がないのだから。多くの女性シンガーソングライターを聞いている自分の一押しなのだから。スタッフとして動き出したアキさんに期待してます。


4番手に「秋風センチメンタル」。

女性ファンがすごい(笑)男性デュオで、ほとんどの曲をツインギターではもりながら歌うのだが、今夜は最初の「ありがとう」と「最後のチャイム」を一人がキーボードで演奏。

彼らの歌は暖かい。素直で素朴で親しみが持てるのだ。そりゃ、もっと個性的な方がキャッチーで人気も出るかもしれない。僕も男性デュオで好きなのは吉田山田やカケラバンクだし。それでも、秋風センチメンタルの楽曲には最も癒される。それが持ち味なんだよね。

最近聞いていなかったので、最新アルバムに収録された曲はみな始めて聞いた。その中で特に気に入ったのが、最後に歌った「飛行機雲」。分かりやすいアップテンポな曲ってのもあるけど、彼らの個性が一番生きている気がした。

【セットリスト】
1)ありがとう
2)日曜日
3)ピーマン
4)最後のチャイム
5)飛行機雲


トリは「PEACE$TONE」だ。

初めてみる彼らは、予想と全く違った(笑)でも、それは心地よく裏切られた感覚。とってもご機嫌な音楽で、思わず踊りだしたくなる。いや、実際踊ってしまったかも(笑)楽しいんだ、これが。

PEACESTONEは3人組。男女ツインボーカルで、男性がTERRA、女性がASUKAだ。それを支えるのがアコギ&エレキギターのやまんchang。やまんchangは基本的にエレキギターをぶら下げて演奏しているのだが、曲中で部分的にアコギを演奏する。そのため、彼の前にはスタンドに固定されたアコギが置いてあり、必要なときはその固定されたアコギをかき鳴らす。エレキがアコギにぶつからないように、少し腰を引いて演奏する姿が面白くて、思わず吹きそうになった。

この日は、その3人にベースとドラムのサポートもThe CAPTAINSから参加してくれていた。それにより、音に厚みが出て、二人のボーカルが生き生きとハンドマイクで歌い継いでいく。2人でメインのメロディラインではもるほか、TERRAはラップ部分を担い、歌の骨格をASUKAのボーカルが支える。mihimaruGTに似ている構成だ。

そのASUKAが、全く揺るぎなく音とリズムをピタッと当ててきて、すごい安定感を作り出す。素晴らしい歌唱力。まさに彼女がPEACESTONEの「背骨」なのだ。そこに装飾的な肉をつけていくのがTERRAのボーカルといったところか。

その音楽を称して「オーガニック・ミックスチャー」。彼ら自身による造語だが、そのダンサブルなオーガニックサウンドは、学生時代の友人と浮かれて騒いでいるハイな気分のよう。ほっとできて、楽しくて、親しくて、笑える。

彼らのそんな個性は多分、TERRAのキャラクターに負うところが大きい。裏表なく底抜けの明るさで、ぐいぐいと引っ張っていく。ステージのお立ち台にのり、客席を煽って一緒に踊りだす。常にどこか控え目に振舞うASUKAも、彼がなかば強制的にお立ち台に立たせて歌わせるなど、ムードメーカーとなっているのだ。

そして、ASUKAのボーカリストとしての魅力が最大に発揮されたのが「心のままに」。ポップな曲が多いなかで、この曲はほぼ彼女がソロを努めるミドルバラード。改めて、彼女の実力をたっぷりと堪能でき、思わず聞き入ってしまう。やっぱ、すごいわ。

昨年11月にリリースした彼らのデビューアルバム「ダブルファンタジー」は、すかさずゲット。後から何度でも聞いてみたくなる楽しさに満ちている良いアルバムだよ。

曲順はうろおぼえだがセットリストはこんな感じか?なんか違う気がするが…
1)不死鳥~フェニックス~
2)BOY MEETS GIRL
3)希望の芽~東北の友へ~
4)Happy Birthday 1,2 You
5)心のままに
6)雨上がりNEW STAGE
7)人生SHOW

うん、彼らのファンになりました。今度はもっと心を開いて、一緒に踊りたいな。

個性の違う、でも実力あるアーティストたちの饗宴。今夜のライブは楽しかったー。