【考え方を考える】考え方の論理 | 本気の本読み:あなたの伝える力を伸ばすグループ運営書評サイト

【考え方を考える】考え方の論理

「考える」という言葉を、普段どのように使っているでしょうか?

これには大きく二つに分けられます。

一つ目は見たり、聞いたりしているものやことがらについて、簡単なことを知る「知覚の判断」
二つ目は知識と知識の間に、どのような関係性が成り立っているか見つけること


です。

では知識と知識の間の関係性を見つけるとはどういうことか。

例えば「名前」

太郎という名前、シンディという名前、マイケルという名前

これはその人というものと、名前を結びつけたものです。
そして太郎、シンディ、マイケルは地球上では何に分類されるか。
まずは、日本人、アメリカ人など、国籍別です。
さらに人間という分類に分けられ、その後は人科、狭鼻類...最終的には生物、「もの」にまで分類されていきます。

私たちは、この世界に存在する、「もの」や「ことば」をどのように捉え、どのように認識し、どのように考えて使っているのでしょうか

日常での言葉や、ものの見方から、「考え方について考える」一冊です。

考え方の論理 (講談社学術文庫 45)/沢田 允茂
¥735
Amazon.co.jp
【著者紹介】
沢田允茂(さわだ のぶしげ)

1916年東京生まれ。
慶応義塾大学西洋哲学科卒業。慶応義塾大学教授を経て現在慶応義塾大学名誉教授。
専門は哲学。

その他の著書
「現代論理学入門」
「現代のフランス哲学」
「哲学の基礎」
「知識の構造-ドグマの克服と科学的思考」
「哲学」
「認識の風景」

学術文庫に
「論理と思想構造」
「言語と人間」
など

人間がものを考えたり、互いに意志を伝えたりするとき、その媒介となるのはことばである。
しかしながらコミュニケーションに際しては、往々にして相互の誤解や行きちがいが起こりがちである。
ことばを使う上で大事なことは表現内容を論理的に整えることである。
本書は、ことばで考えることのいちばん中核にある「理づめ」の世界を、分析哲学の権威が平易な文章で説き明かす、刮目の論理学入門書(Amazon商品紹介より抜粋)

【一言感想】

「へりくつ」、「誤った理屈」を「正しい理屈」に成長させていくためにはどうすればよいのか。
言葉の意味の正しい理解とはなんなのか。
考える力とはものごとを説明するところで一番に働く力であり、身につけるには論理的な力が必要でなのである。


【感想】

三段論法や、日常での会話などから、主語・述語の関係、「すべて」と「ある」の複雑さ、たしからしさについてなど、非常に細かい考察の元に書かれています。

途中で言葉の関係性を表すために、数式が出てきたり、記号が出てきたりして、正直、超絶文系の自分には「?」な部分もありました笑

ただ、普段なんとなく使っている言葉の意味や含んでいるニュアンスのようなものについて、細かく解説してくれているので、日常の会話を思い出しながら読むとわかりやすいのではないかと思います。

最後の方になりますが、自分が特に共感した部分がありました。
正しくものごとを考えようとするには、推論や正しい判断も大事であるが、ことばの意味をはっきりさせることが必要である、というところです。

言葉の意味をはっきりさせるということは、ことばの文法上の解釈や、語の起こりの歴史を知ることではありません。辞書をひいて、いろいろな言いかえ方を知ることでもないのです。ことばの意味をはっきりさせるというのは、そのことばが、どういうじっさいのことを表わすために使われているかを知ることです。

自分自身も「言葉の意味」をはっきりさせることは、非常に重要なことだと感じています。
ネットやパソコンの発達により、「言葉そのもの」をたくさん手に入れることが出来るようになりました。
そのことにより、「言葉だけ」を知っていて、その意味や、何を表している言葉なのかを理解せずに使う人が増えてきているように感じます。

デジタルが発達してきた時代だからこそ、人と人の間を直接行き来する「言葉」はしっかり使われなければならないのではないでしょうか。

この本は元々、『少年少女のための論理学』という題名だったものを、変更したものですが、とんでもない、少年少女だけでなく、「考える」ことについて、あらゆる人をスタート地点に立たせてくれる一冊です。