[東北地方太平洋沖地震]東京都液状化マップ…老朽化した内容に代わり事例から被害を予測する(2) | honey-spider presents 『胎児が密猟する時』

[東北地方太平洋沖地震]東京都液状化マップ…老朽化した内容に代わり事例から被害を予測する(2)





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(画像:地盤沈下・液状化と空洞化のメカニズム)







管理人より。


コメントが間に合わなかったので、後続記事へと譲ることとした。お断りすると共にお詫びしたく思う。




※参考(必見)


東京の液状化予測図
http://doboku.metro.tokyo.jp/start/03-jyouhou/ekijyouka/index.htm

神奈川県ハザードマップ
http://www.あんしん宅地.jp/kanagawa/Ph1_map/hazardmap.html
横浜市液状化マップ
http://www.city.yokohama.jp/me/shobo/kikikanri/ekijouka_map/
千葉県液状化マップ
http://www.bousai.pref.chiba.lg.jp/portal/05_sonae/58_hazard/jsn/map_jsn.html




ライフライン被害深刻 浦安、千葉で液状化

http://www.chibanippo.co.jp/news/chiba/society_kiji.php?i=nesp1300497090

(千葉日報 2011年03月19日10時11分)



東北地方太平洋沖地震 千葉市美浜区の激しい液状化現象


東京湾沿岸にある京葉地域の埋め立て地では、液状化現象によりライフラインに大きな被害が出ている。特に浦安市や千葉市の被害は深刻で、復旧作業が続いている。地質学の専門家は「沈下はしばらく続き、本格的な復旧は地盤が安定してからすべきだ」との見方を示している。浦安市では埋め立て地域のほぼ全域で液状化が確認され、上下水道やガスなどライフラインに影響が出ている。県水道局によると、18日午後3時現在で約1万9千戸が断水。配管損傷などで水圧が足らず減水となっている家も約5万8千戸に上る。ガスの供給が停止している地域もあり、京葉ガスは復旧を急いでいる。


千葉市では美浜区で液状化が多発、市が管理する道路計約44キロの被害が確認されている。県営団地内の通路や駐車場、千葉港内道路で路面のゆがみが認められた。JR海浜幕張駅など利用者の多い場所から順次、土砂の除去や路面の状況調査などを行っている。同区と浦安市では、地盤が緩み住宅が傾く被害も多数に上るとみられる。船橋市では三番瀬周辺などの3カ所で、地盤沈下による亀裂などで道路が損傷。市は高瀬町や日の出町など湾岸地域での被害調査を進めている。県によると、同地域の一部約30戸が断水している。同市や習志野市の県営団地内でアスファルトのゆがみが確認された。







東北・太平洋沿岸地震 液状化や噴砂の様子その6(千葉県浦安市)





東京からもっとも近い被災地・浦安 現地ルポ
http://www.toyokeizai.net/life/living/detail/AC/fe1a3d5eb9ecc1031b3a55deedcb8fb7/

(東洋経済オンライン 11/03/15)



今回の東日本大震災で大きな被害を受けたのは、岩手県、宮城県、福島県の東北3県だ。そのため、千葉県浦安市の被災状況について報じられることはほとんどない。しかし、そのことは震災被害の小ささを意味しているわけではない。東京湾岸でもっとも大きな被害を受けた地域は、コスモ石油の石油精製コンビナートが炎上した市原市であろう。が、浦安市も、元町地区(内陸部・東京メトロ東西線浦安駅周辺)を除く埋立地域がいたるどころが液状化し、水分を含んだ大量の土砂が地表に噴出。多くの道路に亀裂が走ったほか、木造住宅が傾くなど大きな被害が発生している。


震災から3日を経過した「東京からもっとも近い被災地」の被害状況と復興への歩みについてルポする。



鉄鋼団地も液状化で多くが操業停止


交通手段として選んだのは自転車。まずは自宅のある江戸川区南の西葛西から、さらに南の海べりにある葛西臨海公園へ向かう。ふだんは多くの観光客、散策する人々でにぎわう葛西臨海水族園にはほとんど人影がなく、見ごろを迎えた梅の花の写真を撮影するお年寄りが何人かいた程度。同公園の中心的存在である葛西臨海水族園は入り口が閉鎖されており2人の従業員が門の前に立っている。続いて駅へ向うと、京葉線が運休のため入り口はシャッターが閉まった状態だった。


葛西臨海公園も、浦安と同じく埋立地である。しかし液状化により噴き出した土砂の痕跡を発見できなかった。公園はいたってきれいで、敷石にも乱れはない。ところが舞浜大橋を渡り、浦安市に入ると風景は一変した。舞浜大橋を降りるとそこは舞浜駅の周辺なのだが、道路はがたがたになっていた。






ここから閉鎖されている東京ディズニーリゾートを横目で見ながら「浦安鉄鋼団地」に向かった。住所は鉄鋼通り1丁目~3丁目。鋼材の流通商社や加工業者が220社ほど、ずらりと並ぶ、日本一でアジアでも最大級、鉄鋼流通基地だ。高度経済成長期に木場にあった木材流通業が埋立地の新木場へ、東陽町にあった鉄鋼流通業が浦安の埋立地へと移転し誕生した経緯がある。東京ディズニーリゾートのすぐ横には浦安市運動公園があり、その向かいが鉄鋼団地の西端となる。驚いたのは、浦安市運動公園の駐車場入り口付近の道路の荒れ具合。歩いて通るのも危険な状態だ。電柱や街路樹も大きく傾き、道路にも大きくひびが入り、噴射した土砂が乾いてさらさらになった真っ白な粉塵がつみあがっている。その粉塵が乗用車やトラックが通るたびに舞い上がるため、視界は白く曇っている。この浦安市運動公園の真向かいにあるのが粂田鋼材。復旧作業に追われる粂田晋一朗社長に被災の状況を聞いた。








――道路から工場へ向かって大きく下がっているように見えます。

もともとは道路から建物まで水平だった。ところが、今回の震災により浦安鉄鋼団地全体が40センチメートルほど沈下したようだ。


――建物の中はどのような被害を受けましたか。

当社は浦安市が第一次埋め立てを行ったとき、1969年にこの工場を建てており、団地の中でももっとも古い建物のひとつだ。そのため、建物のくいが深く下まで入っているわけではない。工場内の床からも泥が吹き上がり、真ん中が陥没した。天井のクレーンや加工機械が水平ではなくなってしまったので、操業は完全に停止。鋼材の加工を行うことはできない。


――震災の揺れで大きな事故は起きなかったのか。

たまたま仕事が少なかったので大きな事故にならなかった。もしクレーンで大きな鋼材を吊り下げているような時に大きく揺れたとしたら大変な事故になっていたと思う。


――震災発生からこれまでにどのような対応をしましたか。

20名ほどの社員がいるので、事故発生直後はまず自宅に引き上げてもらうことを先決にした。そして土曜日、日曜日は余震などの影響で状況が不安定だったので、簡易トイレの設置を依頼するなど業者の手配などにとどめ、本格的な復旧は今日からだ。まずは泥を取り除くことから始めている。


この建物は築40年以上と古いものだが、2年前に2000万円掛けて補強工事を行ったばかりだった。当面は立て替えなくても大丈夫というふうに思っていたのだが、建物自体が傾いてしまったので、完全に復旧するまでには1カ月以上は掛かるかもしれない。浦安鉄鋼団地協同組合の加藤里行専務理事に被害の状況を尋ねると「12日に被害の状況をヒアリングするためのアンケートをFAXしたが各社ともまずは自分のところの復旧で精一杯のようだ。そのため現時点では集計をできていない。でも、工場団地の中を歩けばどれだけ大変なことになっているかがわかるでしょう」とのことだった。
 
確かにほとんどの工場は大量の土砂の整理整頓に悪戦苦闘している状態。操業している会社など、ほとんどなさそうだった。


上下水道が止まっているためホテルも休業


鉄鋼団地における鉄鋼加工業だけでなく東京ディズニーリゾート(TDR)を軸とした観光産業も大きな痛手を受けた。粂田鋼材の近くにあるのが、「SPA&HOTEL舞浜ユーラシア」だ。ホテルの入り口を訪ねるとSPAとホテルの両方に「営業休止」の張り紙が掲げられており、人影がない。ホテルに入ろうとしたのだが、カギが閉まっている。そこであきらめかけたのだが、中へ入ることができるドアをひとつ見つけ、フロントにいた従業員に取材をしたい旨を伝えた。しばらくして表れたのが、三浦至総支配人と管理部の山本俊治部長代理。復旧作業で忙しいさなかに「破損した場所の撮影などをしないのであれば」との条件のもと、取材に応じてくれた。


三浦総支配人は「駐車場などが破損したが、躯体構造にはまったく影響を与えていないので建物自体は安全だ。現在、営業を止めているのは上水・下水が止まっているため、ということに尽きる。ガスも電気も来ているが、上下水がなければホテルもSPAも運営できない」と話してくれた。


もちろんホテルだけでなく水を使うようなサービス業はどこも閉鎖を余儀なくされている。埋立地ではない元町地区を除く浦安市内の企業・市民が共通で味わっている災難である。浦安の上下水はいつ復旧するのか。続いて、浦安市役所へ向かった。



浦安市の鉄鋼通り周辺を自転車で走っていて感じたのが、行きかう人々がみな大きなマスクをしている、ということ。花粉症のシーズンだから当然、と言ってしまえばそれまでだが、この場所では別の理由があった。噴出した泥砂が乾燥し、あたり一面を白く覆っているため、鼻の奥の粘膜にも何かが張り付くような不快感があるのだ。「マスクをしてくればよかった!」と後悔したが、持っていないものは仕方がない。ただ、タートルネックのセーターを着ていたため、これを鼻まで引き伸ばすことでマスク代わりにすることができた。
 
鉄鋼通りの取材を終え、続いて向かったのが浦安市役所。JR京葉線の高架と平行している県道276号線を北東に進む。途中で左側に見えた富岡交番は衝撃的だ。
なんと液状化により交番が傾き、出入り口の下部分が土の中に沈んでいるのだ。



さらにまっすぐ進むと、境川という小さな川の手前に、順天堂大学医学部付属浦安病院が見えてきた。病院周辺の歩道は点字ブロックを切れ目に、アスファルトが裂けている。陥没により発生している段差はおよそ10センチ程度だが、自転車や歩行者がすれ違う際には注意が必要だ。もちろん、多くの入院患者を抱えるこの大病院も断水しており、災害派遣された陸上自衛隊による給水活動が命綱になっている。





市役所に向かうため境川を超える際、下流方向を見ると、船着場が壊れていた。今回の地震によるものだろうか。


浦安市の本庁舎を訪ねるのははじめて。今回の震災とは関係のないことだが、建物が古くて質素なことに驚いた。隣接した第2庁舎にいたってはプレハブの建物だ。本庁舎の入り口には、災害対策本部は隣接する集合事務所にある、との張り紙があったので、集合事務所へ向かう。その途中にある駐車場には、「陸上自衛隊指揮所」が置かれていた。


■上水道……元町地域への上水供給も危ぶまれる状態に


・上水道を運営しているのは、千葉県水道局。


・3月13日までに市内102カ所で水道管の破断がみつかった。


・そのため現在、通常1日3500トンの給水を1日8000トンまで圧力を高めて上水を供給。しかし、破断が激しく市内の4分の3の地域で断水している。断水しているのは、中町や新町などの埋立地域で、断水していないのが元町地域。


・給水については当初は市川市妙典から陸路で運んでいたが渋滞により往復2時間も掛かる状態になった。そのため現在は千鳥地区に着岸した海上自衛隊横須賀地方隊の給水船が300トンの水をストックし、ここから16箇所の給水所に陸路搬送している。


・上水搬送には県水道局の車両のほか陸上自衛隊が協力しており、5トン車2台、1トン車7台が活動している。


・復旧について。1日15~25箇所のペースで修復が進んでおり、3月17日までに復旧できると考えていたが、計画停電の実施によりその計画は不透明になった。


・計画停電実施により現在1日8000トンに高めている水圧は4割減の1日3200トンへ低下する恐れがある。こうなると元町地域も断水の恐れがある。


・元町地域では、すでに中高層マンションでは影響が出ている。一定の圧力以下になってしまうと、屋上まで水道をくみ上げる増幅ポンプが機能しなくなるためだ。


■下水道……被害状況の把握が進まず。復旧までに少なくとも1カ月以上


・下水道を運営しているのは、浦安市下水道課。


・中町、新町では下水道管がかなり広範に破断している。しかし、水圧の変化した箇所を探ることで破断箇所が判明する上水とは異なり、被害の全容を把握するのが難しい。マンホールを開けて中に入ってチェックするしかない。


・仮設トイレは市が152カ所に設置。このほか、各自治会、団地やマンションなどが200カ所以上に設置している。


・トイレを使わないでくれ、といっても、給水場で水をもらってきてそれをトイレのタンクに入れて使って流してしまうケースも考えられるが、これはやめてほしい。


・溜まってしまったものはバキュームで吸い上げに行くが、復旧までは少なく見積もっても1カ月以上掛かってしまうため市民の協力が必要になる。


水道は、上水道と下水道がセットになってはじめて機能するのだ、ということをあらためて感じさせられる。「トイレが使えない」という事態は生活をする上ではかなり深刻であり、被災地域の住民は都内ホテルや近郊の親戚の家などに避難するケースが続出している。しかし高齢者の多い美浜などの町では、避難できない人々も多数いる。自治体が高齢者をしっかりフォローしなければ、2次災害の広がりも懸念される。上下水道が大きな被害を受けた一方で、電気・ガスの被害は比較的軽微だ。電気については市内全域で使用できる状態だ。ただし東京電力による計画停電の対象区域であり、今後は不便を強いられる可能性がある(3月14日の16時前から、主要交差点に警察官が待機し、信号停止に備えていたが、結局、停電はなかった)。


ガスについても供給停止地域は限定されている。京葉ガスによると14日19時時点でガス供給を止めているのは、戸建住宅が多い中町地域(入船4~6丁目、今川4丁目の一部、富岡3丁目の一部、弁天1~4丁目)の4881件。3月15日は入船4~6丁目地区のガス管の点検、修繕、開栓作業を中心に行う予定だという。しかし、いくらガスが通じたところで、上下水がなければ風呂に入ることもできない。上下水の一刻も早い復旧が待たれるところだ。


市役所での取材を終え、JR京葉線の新浦安駅周辺に向かった。駅のそばにある交差点の公衆電話ボックスは大きく傾いていた。戸建住宅の被害もひどく、ブロック塀が倒れているような場所もあった。復旧は急ピッチで進んでいる。時間の経過とともに、浦安のベイエリアは元通りの洗練された街並みを取り戻すだろう。しかし、高級マンション・戸建住宅が立ち並ぶ「憧れの街」は、この震災の前と後で大きくそのイメージを変えてしまったことは間違いない。









(続く)



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(画像:地盤沈下・液状化と空洞化のメカニズム)