【10/12:隣国米国暗国大陸25】ヒラリー・クリントンの仕掛ける恐怖のメキシコ/中米麻薬大戦争 | honey-spider presents 『胎児が密猟する時』

【10/12:隣国米国暗国大陸25】ヒラリー・クリントンの仕掛ける恐怖のメキシコ/中米麻薬大戦争


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「麻薬戦争」終結は米援助次第
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/101011/mcb1010110502011-n1.htm
(SankeiBiz 2010.10.11 05:00)


メキシコ政府は麻薬密売組織の暴力事件に頭を悩ませているが、同国では麻薬カルテルが一層深く根を下ろし、被害が中米にも広がり出している。コスタリカとパナマの大統領は、中米が組織犯罪に立ち向かうには米国の一層の援助が必要だとの認識を示した。コスタリカ、パナマ両国の大統領は、国境を無視した麻薬密売には地域を挙げて対処すると宣言した。「中米6カ国は腰を据えて麻薬密売問題の対処計画を立案する必要がある。各国の協調が求められる」とパナマのマルティネリ大統領は語った。コスタリカのチンチジャ大統領は「メキシコ南部に位置するグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドルは暴力にさらされている。これを防ぐための対策が必要だ」と懸念を表明した。また、マルティネリ大統領は「莫大(ばくだい)な金が動くため、抗争が中米全域に広がりだしている。中米諸国が協調してこの問題に対処できるよう米国はサポートしているが、十分とはいえない」と指摘した。


◆死者2万8000人超


テキサス大学教授で「麻薬戦争地域(Drug War Zone)」の著者、ハワード・キャンベル氏によれば、2006年にメキシコのカルデロン大統領が密売人に対する取り締まりを強化して以来、抗争による死者は2万8000人を超えた。コロンビアでは、サントス大統領が「麻薬密売組織に対抗するわが国の経験と知識をもって中米諸国を支援する」と述べた通り、メキシコ、グアテマラ、コスタリカに支援を行っている。しかし問題は拡大を続けるため、さらなる対策が必要だ。コロンビアは9月、左翼ゲリラのナンバー2を殺害している。パナマでは犯罪の半分以上が麻薬がらみで、政府は09年に2億7600万ドル(現レートで約226億円)だった安全保障予算を11年には4億2000万ドルに増やす計画だ。また、今後4年間でヘリコプター、レーダー、海軍基地などの装備に5億ドルを追加し、この地域の麻薬密売、密入国を阻止する意向だ。


キャンベル氏によれば、メキシコ北部の町を悩ませた銃撃戦は、縄張り争いに端を発してグアテマラでも広がっている。警察勢力が弱いグアテマラでは、すべてのタウンシップ(居住区)がメキシコギャングのコントロール下にある。


コスタリカは昨年、コカインを積んだヘリコプターが山中に墜落した事件をきっかけに、メキシコ最大の麻薬組織シナロア・カルテルのメンバーを含むと目される麻薬密輸組織を摘発した。その結果、米国が発表する違法麻薬運搬および生産にかかわる20カ国リストに、同国は今年初めて名前が挙がった。


コスタリカの暴力犯罪発生率は中米で最も低いが、08年の殺人事件件数は前年を37%上回った。チンチジャ大統領は「わが国は20年前とは比べようがないほど安全が脅かされ、そのことに国民は大きな関心を寄せている」と述べている。同大統領はまた、中南米で最も治安が良いといわれていた同国が、麻薬組織に対処するために費やした安全保障費は4年間で3億6000万ドルに達したと述べた。


◆対策費 GDPの1%


国境警備が難しいパナマは、コカインを南米から運ぶ際の中継点となっている。同国の09年の殺人事件件数は前年から19%も上昇した。暴力犯罪が増加しているにもかかわらず、パナマの株価指数は今年10%上昇。コスタリカの今年の国内総生産(GDP)も09年の290億ドルから4%上昇する見込みだ。


メキシコのコルデロ財務相は3月18日、麻薬犯罪の対処にGDPの1%が費やされていると述べている。08年に米国に持ち込まれたコカインの90%はメキシコや中米を経由している。米国務省のクローリー広報担当次官補は「麻薬がらみの暴力事件は中米地域における重要課題。複数の国境をまたいで活動する国際的な犯罪組織に対抗するには、地域が一体となって対処しなければならない」と、共闘の必要性を強調した。


クリントン米国務長官は9月、メキシコの麻薬カルテルを反政府的だとして、中米地域における各国政府と密売組織の闘いに深く関与する意向を示した。3年間で16億ドルを費やして中米およびカリブ海諸国の麻薬密売組織と闘う米国の政府プログラム「メリダ・イニシアチブ」は、今のところ中米、ハイチ、ドミニカに2億7500万ドルを提供したに過ぎない。これは米国が大きな成果を上げるための方策を見いだせないことがその理由だ。(ブルームバーグ Fabiola Moura)



Clinton Revises Colombia’s Drug History to Justify U.S. Military Role in Mexico and Central America
http://colombiajournal.org/clinton-revises-colombia-drug-history.htm
(By Garry Leech September 20, 2010)


※ 参考:みんなの翻訳


クリントン、メキシコと中米での米国軍事活動を正当化するためコロンビアの麻薬史を歪曲
ギャリー・リーチ


米国国務長官ヒラリー・クリントンは最近、メキシコでの麻薬をめぐる暴力を、20年前にコロンビアが経験した事態の様だと述べ、麻薬取引ネットワークは「我々がメキシコと中米のゲリラと見なすものへと変容を遂げたか、あるいはそれと協力している」と主張した。バラク・オバマ大統領とメキシコ政府高官はすぐさまクリントンの言葉を正し、メキシコの現状を1980年代のコロンビアのように考えることはできないと述べた。しかしながら、この二人が修正しなかった点がある。それはクリントンが、コロンビアの歴史を歪曲して、あるいは意図的にねじ曲げて、メキシコと中米における米国の軍事的役割の増大を正当化しようとしたことである。


メキシコについて、クリントンは「麻薬カルテルは今やますますゲリラの様相を見せている。突如として、自動車爆弾が登場したが、これは以前はなかった」と主張する。彼女はさらにと語る。「その結果メキシコは、ますます20年前のコロンビアのようになってきている。
麻薬密売組織がわずかではあるが国の一部を支配している。コロンビアでは、国の3分の1以上、40パーセント近くがある時点でゲリラ(FARC)に支配されるまでに至っていた」


20年前にコロンビアで頻発していた自動車爆弾が麻薬カルテルによるものだという点ではクリントンは正しい。実際、1989年から1993年の間に、約40発の自動車爆弾で500人以上が死亡している。しかしながら、コロンビア最大のゲリラであるFARCはこの自動車爆弾にはほとんど無関係である。都市部でこれらの自動車爆弾を仕掛けたのは麻薬王パブロ・エスコバルとそのメデジン・コカイン・カルテルであり、コロンビアの麻薬王たちの身柄を米国に引き渡すという当時コロンビア政府が行っていた行為をやめさせようと脅迫したものだった。


さらにFARCは当時麻薬取引には関与しておらず、現在でも、大規模に麻薬に関与しているかどうかは議論の余地がある。実際、FARCとコロンビアの麻薬カルテルは1980年代末には最大の敵であった。さらに、クリントンの主張とは逆に、「国の一部を支配」していたのはFARCであって、主に都市部を拠点としていた麻薬密売組織ではない。クリントンがコメントの中で、20年前にコロンビアの麻薬カルテルとFARCが一心同体だったという印象を作り出し、麻薬カルテルの暴力をゲリラの暴力と一体化させようとしていることは明らかである。しかしながら、実際には、これら2つの集団は、暴力のかたちも目的も全く違っており、劇的に対立するものでさえあったのである。


元註コロンビア米国大使トマス・E・マクナマラは、ロサンゼルス・タイムズ紙に書いた論説記事の中で、クリントンの主張を擁護している。20年前のコロンビアのメデジン・カルテルと今日のメキシコの麻薬密売組織とを比較して、マクナマラは、「これら2国ともカルテルは、政府ではなく自分たちが規則を決め、紛争を解決し、警察力を支配することを要求している。これは明らかに反政府組織の行為である。主権の不正侵害、領土の支配とそれを維持するための武力の行使」。彼はさらに、「これはアメリカの麻薬マフィアによる
組織犯罪とは大きく異なる。アメリカのマフィアは主権を強奪しようとはしていない」とも述べる。


だが米国国防省の見解に基づいてさえ、コロンビアとメキシコのカルテルをゲリラ組織と名付けることは正しくない。国防省は、ゲリラを「転覆的手段と武力紛争を用いて立件政府を転覆しようとする組織運動」と定義している。メデジン・カルテルもメキシコの現代のカルテルも、政府を転覆しようとはしてこなかった。メデジン・カルテルは暴力を使って政府の政策に影響を与えようとした(身柄引き渡しをやめさせようとした)のであって、権力を握ろうとしたわけではない。実際、マクナマラの主張とは逆に、コロンビアとメキシコのカルテルの活動は米国の組織犯罪と極めて似ており、ともに、暴力を使い法執行担当官を買収するのもひとえに自分たちの犯罪行為を守るためなのである。


クリントンとマクナマラはどうして、コロンビアの伝統的な麻薬カルテルの暴力行為とFARCを融合させ、コロンビアの歴史を歪曲しようというのだろう? 明らかな答えは、犯罪組織を地域における政治的脅威(すなわちゲリラ)として描き出すことにより、メキシコと中米での米国の軍事的役割拡大を正当化することが容易になるから、というものである。


メキシコには「よりよい法執行手段が必要で、場合によっては、その拡大を防ぎ屋台骨を砕くためにそうした法執行手段に対する軍事支援と政治的意志とが有効である」とクリントンは言う。さらに彼女はこうも言う。「メキシコ当局はできるだけ自力で対処したいと言うが、我々はいつでも手助けの準備がある。さらに、中米の小国には自分たちだけで対処する力はない」。クリントン国務長官はその上で、軍事的色彩の濃いプラン・コロンビア----70億ドル以上の米国による援助のうち70パーセントが軍事援助だった----はコロンビアで功を奏したと主張し、「中米、メキシコ、カリブ地域でそれに相当する手段を見つけ出す必要がある」と示唆する。


同様にマクナマラもプラン・コロンビアを成功と位置づけ、「もはやカルテル・ゲリラがコロンビアを悩ませることはない。ゲリラ活動は続いているが力は衰えた。新たな麻薬マフィアは今も活動しているが、コロンビアの麻薬密売は大幅に減った」と述べる。実際のところ、プラン・コロンビアの前後で、コロンビアの麻薬密売組織が生産し輸出するコカインの量が大きく減ったわけではない。実際、コロンビアにおける米国の麻薬戦争の「成功」とは、単にコロンビアの密売組織がコカインを直接米国に持ち込むかわりにメキシコのカルテルを経由させるようにしたことで、コロンビアの諸都市からメキシコに暴力の場を移しただけのことである。マクナマラによると、メキシコの新たなカルテルに対する米国の対応は、コロンビアと同様、「あらゆる合法的な手段を使ってゲリラを弾圧する」ことであるという。


クリントンとマクナマラがこうした発言をしたのは、南米で始まった波が中米にも伝わり、中米に左派寄りの政権がいくつか誕生したときである。最近、FMLNがエルサルバドルで大統領を生み、ニカラグアではサンディニスタが再び政権の座についた。ホンジュラスでも
やはり左に動き、マヌアル・セラヤが大統領に選出された。けれども、軍事クーデターでセラヤ大統領が追放されたとき、オバマ政権はセラヤの政権復帰を要求しなかったため、ホンジュラス政局は右翼に戻った。


中米でも南米でも全体に左派へとシフトしている中で、クリントンが地域における麻薬密売に対して米国は軍事的対応を強化する必要があると主張することは、米国政府が10年前にコロンビアの左派ゲリラによる脅威の増大に軍事援助で対応したことを反映している。プラン・コロンビアのもとでの米国のコロンビアに対する軍事介入は、麻薬との戦いである以上に、左派ゲリラとの戦いであった。コロンビアの麻薬に関する歴史を歪曲することで、「メキシコと中米における麻薬密売ネットワークはゲリラの疑いがある」とクリントンが言い立てるのは、おそらく存在しないゲリラの脅威などではなく、米国政府の目には左派寄り政府と社会運動の脅威に晒されていると見える中米地域に対する、米国の軍事プレゼンス拡大を正当化するための「手始めの一発」、なのである。



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