異常な書き込み | 不思議なできごと

不思議なできごと

できるだけオリジナルな、或いはそれに近い怪異譚を公開してゆきたいです。

 北國にもやっと春が訪れ、自転車で走り回れる気候となりました。冬の間に雪と共に積もった気になる場所がいくつかありました。そしてそのひとつは自宅からさほど遠くない場所にあるのです。さすがに自分としては興味のアンテナがむくむくと起きてしまっていました。それは、事故物件の総合サイト「O」に掲載されたある記事がきっかけでした。そこに、こんな異常な書き込みがあったのです。

『2005
廃墟となり存在する一軒家
70代男性が一人暮らし、孤独死
身寄りが居らず、近所付き合いもないため、現在も手付かずで白骨化したままかもしれない。
平成27年3月8日(記載日時)』
 
2005とは事件が発生した年のことでしょう。11年前です。異常なのは現在進行形で今もなお遺体がそこにあるかのような書き方です。すかさず賢明な読者たちからツッコミが入って居ます。
「……え、その文言だと孤独死した男性は物件内で放置されたままってことになりませんか……(゜д゜)」
「孤独死したのを知ってるなら通報したれよ……ってツッコミたくなるんですが解釈間違ってますか?」
「孤独死と書いているので事件や事故として発覚しているのですよね?もしもそうでないのであれば、ここは心霊スポットを紹介するサイトではないので、憶測部分は不要かと。」
「現在も手付かずで白骨化したままかもしれないって言葉づかいが変なんですけど。」
「孤独死発覚してるなら行政がちゃんと遺体処理するでしょ
書き込んだ奴バカなのかな?」

 どれもこれもごもっともなツッコミです。自分も「なんだこの書き込みは・・・」と一人笑ってしまったものです。


 しかし、現場に到着して奇妙な物を発見してしまいました。入り口を封鎖しているいわゆる“トラロープ”です。警察が現場保全のために使う“立ち入り禁止テープ”ともいわれる黄色と黒のテープ。これが貼られているのです。

「事件があってその後誰も住んで居なければ、テープが残っていることもあるのでは?」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。しかし私はグーグルのストリートビューで確認して来たのですが、2014年8月に撮影された筈のストリートビューに“トラロープ”は貼られていません。ストリートビューの写真(2014年)
 [←左がストリートビューの写真。]
 そこで考えられることは2つ。11年前に事件が起きた家でこの1年半の間にもう一度事件が起こった。
或は単なる記載ミス。『2005』は『2015(年)』の間違い。
 文面の軽率さから推察するに、自分は記載ミスが有力と思います。
 ただし、怪異を集めている人間として面白いのは更にもうひとつの見方です。それは、この記事を書いた人が、11年前に死者が出たにも関わらずそのまま放置し続け、事件が発覚したのちにこの記事を書き込んだというものです。もしこの説が真実だとしたら、これはもう現代の都市伝説になりえるのですけどね。現代の怪談と言って差し支えないと思います。