機械翻訳の後編集案件の増加に思う | 現役翻訳者が教える、世界に羽ばたく翻訳者になるレッスン

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在米英日翻訳者。英語・日本語教師。著書『写真で見る 看板・標識・ラベル・パッケージの英語表現』(クロスメディア・ランゲージ社)が発売中。翻訳者志望者・世界で輝きたい方・海外市場に進出したい翻訳者を応援します。

このところ、機械翻訳した文章を後編集する仕事が立て続けに来ている。

機械翻訳の導入を検討している会社に、翻訳の質についての評価を頼まれたこともあった。

欧州言語と比べて日本語は複雑なので、機械翻訳の導入はまだ先の話かと思っていたが、これだけ機械翻訳の後編集の仕事の打診が続くということは、「曲がり角」ぐらいまで足音が近づいて来ているということだろうか。

以前は好きではないので断っていたが、好きとか嫌いとかいうことも言っていられなくなってきた。

時代が変わりつつあるということなのだろう。

機械翻訳を見るのは、不協和音が鳴り響く現場に指揮を執りに行くようで、好きではない。

大体、不協和音からして頭が痛くなるし、何とか体裁を整えて収拾をつけることが優先課題になるので、あまり翻訳者のこだわりやカラーも出せない。

単語単位の短い文節ならともかく、長い文章など、下手をすると、一から自分で翻訳をし直した方が早い文節もある。

それでなくても普通の翻訳料金よりも割安で仕事を請けているのに、慣れないせいもあるのだろうが、やたらと時間がかかってしまうこともある。

時代の流れだから、コツを習得して、慣れて行くしかないのだろう。
(どなたか得意な方がいらっしゃったら、スピードアップのコツを教えてください・・・)

少し前までは、機械翻訳を導入すると、翻訳者が不要になり、いずれは仕事がなくなるのではないかという不安が巷に流れたことがあった。

しかし、これまで何度か大きい変化の波を通り過ぎてきた今では、翻訳者の仕事がなくなることはないような気がする。

ちょうど翻訳メモリが導入されたときのように、機械翻訳に関しても、うまく共存し、ツールとして有効活用して効率アップを図るという方向に進んで行くのではないだろうか。

と同時に、機械翻訳で十分とされる「意味がわかればいい」文書と、翻訳者でなければ対応できない洗練された文書との二極化が進むのではないかという気がする。

最近は翻訳者が「リンギスト」などと呼ばれることも多くなり、用語/メモリ管理や機械翻訳の後調整など、翻訳以外の仕事を任されることも多くなってきた。

しかし、たとえこのように肩書きや仕事の内容が若干変わることはあっても、翻訳者が翻訳業界から淘汰されることはなく、何らかの形で必要とされていくのではないかと思う。

今回は、何だか真面目に語ってしまいました。

最後に、知人のドイツ語翻訳者に教えてもらった「翻訳者なんてスペースの無駄遣い(役立たず)」という動画リンクをシェアしたいと思います。英語のわかる方、翻訳者の方はご覧ください。

前半はちょっと退屈するかもしれませんが、最後まで見ないとオチがわかりませんので、お時間のあるときにご覧ください(全部で3分弱です)。
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Translators Are a Waste of Space(英語)


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