映画「天国と地獄」 | ほくとの気ままなブログ

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前回、黄金町の記事を書いてその中で黒澤作品「天国と地獄」のことをちょっと挿入したので、今回はその映画のご紹介です。

大昔TVだったかな観たことがあるのですが、忘れてしまっているところもあり今回再度鑑賞しました。

映画天国と地獄
1963年(昭和38年)制作 
配給:東宝 
監督:黒澤明 
キャスト:三船敏郎、仲代達矢、香川京子 山崎努



その他数え切れないほどの重鎮が出演しています。
志村喬、木村功、三橋達也、名古屋章、千秋実、東野英治郎、西村晃、浜村純、なんと麻薬患者役で菅井きん



劇中一言もしゃべらない大滝秀治(贅沢な使い方ですね)、その他数々の有名俳優ばかり。

三船敏郎演じる権藤の子ども役には、のちのフォーリーブス(古いなww)の江木俊夫が出ています。

山崎努が犯人役なんですが、若い若い、最初はこの俳優は誰なんだろうと思いました?w



(内容)
エド・マクベインの原作を巨匠・黒澤明監督が映画化した傑作サスペンス。優秀な知能犯に刑事たちが挑む。ナショナル・シューズの権藤専務(三船敏郎)は、自分の息子と間違えられて運転手の息子が誘拐され、身代金3千万円を要求される。苦悩の末、権藤は運転手のために全財産を投げ出して3千万円を用意する。無事子どもは取り戻したが、犯人は巧みに金を奪い逃走してしまい、権藤自身は会社を追われてしまう……。犯人は逮捕されるのか?また誘拐の動機はなんだったのだろうか?結末はいかに~~!

巧妙なプロットもさることながら、登場人物たちの心理描写が秀逸です。
人間ドラマとしての完成度も非常に高い。
流石!世界の黒澤!!

私は今は横浜に住んでおります。この映画は横浜が舞台。そして黄金町や伊勢佐木町など、なじみのある場所がでてきますので、改めて新鮮な感じで観ることができました。しかし、その頃の黄金町めっちゃすごい街ですね。恐ろしすぎ^^;

少々脱線しますが、映画の後半のほうで、犯人が麻薬取引を行うであろうと刑事たちが尾行します。
犯人が酒場で踊りながら女性から麻薬を受け取ります。
この酒場こそ、横浜の戦後を語る上でかかせない伝説の酒場・・、
INTERNATIONAL RESTAURANT NEGISHIYAと看板にかかれた
根岸家(当時としては珍しい24時間営業です)。

食事もでき酒も飲める、そしてジャズバンドの生演奏、ダンスもできる。客はもちろん堅気の方から進駐軍やくざ愚連隊そして娼婦たちなども含めなんでもありの店か?混沌としていますね。


なんでも、素足の人はお断りの張り紙もあったとかwww
まじ、すごいですね。素足で歩いている人が、当時の横浜にはいたということですよね??

そしてこぼれ話としては、黒澤監督が「日本中でもっともイカガワシイ酒場を見つけて来い」といわれ白羽の矢が立ったのが根岸家だったようです。1980年閉店その後すぐに焼失。進駐軍~外国船員~日雇い労働者相手と客層もかわっていく本当に濃い歴史をもった店だったようです。

また、映画のなかで「特急こだま」の洗面所の窓から身代金を犯人に投げ渡すのですが、撮影ポイントで民家の家の2階が邪魔だったために、1日だけ2階を取り払わせ後日復元したとか!もぅ、どこまで完璧を求めるのでしょうか!

この映画、モノクロ映画ですが一箇所カラーになるシーンがあります。犯人が身代金が入っていたかばんを、町工場で燃やします。
そして煙突から桃色の煙がたち上がります
モノクロ映画にマスキング合成で着色です。



この手法、観た方は記憶にあると思いますが、シンドラーのリストでも使われましたし、私は観ていませんが「踊る大走査線」でも使われていたようです。

映画は興行的には成功を収めたものの、公開の翌4月には都内を中心に誘拐事件が多発したようです。映画の公開は中止されなかったが、国会でも問題として取り上げられ、1964年の刑法一部改正(「身代金目的の略取(無期または3年以上の懲役)」を追加)のきっかけになりました。

ストーリもそうですが、人間の心理描写がやはりすごい!
ラストの山崎努の演技は鬼気迫るものがあります
なかなか、見ごたえのある映画でした。

また、映画から自分の知らなかった時代や風景も知ることができたり、そこから調べてどんどん面白いものも発見できました。

良かった良かった!めでたしめでたしw