実践! 里山散歩 | 北欧ナイフでお気軽アウトドア

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北欧のナイフの話題や、それらを使った気軽なアウトドア、ブッシュクラフトについて書いていきます。

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今日は、里山散歩の実践記録。

自宅周辺の里山に飽きてしまったら、電車で数駅程度離れた場所にある里山に足をのばしてみる。

 

 

そんなことを、拙著『ブッシュクラフト入門』では書いてみました。

 

 

ブッシュクラフト入門 ~お手軽ブッシュクラフトのすすめ~
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2017年の今に至っても、ブッシュクラフトのクラフト(craft)を、工作とか何かを作る、という意味だとしているものがあるのには、驚きを禁じえませんが、そういう事情もあって、「ブッシュクラフトって何なのよ?」というものが見えにくくなっているのも事実です。

 

 

今まで何度も書いてますし、上記拙著でも書いていますが「自然のなかでやっていく技術(の総体)」がブッシュクラフトということになります(bushcraftなる英語の原義的な意味がこれです。興味があれば、接尾語のcraftを調べてみてください)。

 

 

で、結局は「自然のなかに出かけていく」ことがその基本となります。

あくまで自然環境下で、何かをしたりするわけですからね。

 

 

ただ、自然っていっても、本当に人里離れた山の中にいつもいつも行けるわけではありませんし、そういう本当の「自然の中」に行くとしても年に1回、2回とかだと、ちょっと物足りません。

 

 

そこで浮上してくるのが、里山探検です。

里山といってバカにするなかれ。地図とコンパスを用意して、本格的な登山やトレッキングの練習だって出来ますし(海外のブッシュクラフトの本では、コンパスワークに筆を割いているものが多いです。野外で移動する大切な手段ですからね)、むしろ、登山口・登山道がある山道より、分岐がたくさんある里山のほうが、迷いやすかったりして……。

 

 

また、身近な場所の動植物に親しむことは、よりハードな状況下での恰好の予行演習となります。

よく、食べられる野草とかにやたら詳しい人がいますよね。そういう人たちも身近な植物からその道(?)に入っていることが多いんですよ。

 

 

日本のブッシュクラフトではほぼ言われていませんが、食料調達の技術にフォーリッジ(フォーリッジング)と呼ばれるものがあります。綴りは「forage」(foraging)。

ベリーを摘んだり、食べられる野草を探したりを含む技術です。日本的にいえば「山菜取り」でしょうか。

これも、里山で鍛えられるスキルですよね。

 

 

おっと、話しが脱線しかけてきたので、修正します。

今日は、私も電車で数駅先の里山でちょっと遊んできました。

 

 

前々から目を付けていた場所でして、やっぱりとっても楽しかったですよ。

ちなみに私が住んでる場所は、新宿から電車で30分もしないところです。

 

 

けど、探してみると、

 

 

里山探検が出来るんじゃないか? と思わせる雰囲気がすでにありますよね。

 

 

この奥に進んでいけば、いわゆる「谷戸」(やと)的な場所にいくんだろうな、というのがわかります。

今日は地図も使わず、とりあえず新鮮な気持ちでの探検でした。

 

 

この奥にずいずい進んでいけば、

 

 

採られなかったタケノコがひょいっと生えているのを発見したり、

 

 

少し暗めの鬱蒼とした森が姿を現します。

写真で見えますかね……なんか、綺麗に長さを揃えた木が、立てかけてあります。

ちょっと近づいてみましょう。

 

 

なんだろう、これ……。

おっと、手前の木には、しいたけっぽいものが生えてますね……。

となると、これは、もしや、しいたけの栽培場なのでは……?

 

 

今、「しいたけ 栽培 山」なんてキーワードで画像検索してみると、確かにこういう形で、種菌を植え付けた木を立てておくみたいですね。

ね? 案外、こういう探検も面白いでしょう?

 

 

ちなみに、ここは谷みたいな場所ですから、鳥の声もうるさいくらいに元気いっぱいです。

うぐいすの声の響くこと響くこと。

種類の分からない鳥の声だって、あちこちから聞こえてきます。

 

 

こういうところで、鳥の鳴き声と、なんていう名前の鳥が鳴いているのか? を学んでみるってのもいいですよね。結構それは上級のアウトドアスキルだと思いますし、野外でやっていくのにだって、持っているとグーな知識でしょう?

 

 

さて、チラリとスマートフォンの地図を見てみると、お寺……というかお堂が、森の中にあることが分かりました。今日の目的地は、そこにしてみましょうか。

 

 

いわゆる里山ですから、細い道や農道がたくさんありますし、「ここ、道?」って言いたくなるような、民家の間を抜けるようなものだってあります。

 

 

さて、お堂へ向かう道を見つけたのですが、これもやはり、民家と民家の間にある細い道でした。

 

 

グッと山感、自然感が出てきましたね。

恐らく、この奥、少し登った場所にお堂があるはず。

 

 

そういえば、写真中央辺りに、シロツメクサ(クローバー)が生えているのがわかりますでしょうか?

なんとなくインスピレーションがあったもんで、しゃがんでみてみると……。

 

 

四葉のクローバー発見です。

すっごい綺麗に四葉になっている、ってわけじゃないですけど、これだって立派に四葉のクローバーです。

 

 

ちょっといい気分になりながら、先に進みます。

ちょっとした階段を上ると、

 

 

これが目当てのお堂です。

毘沙門天堂とのこと。実は入口に頭を落とされたお地蔵さんがあり、それは写真にはとりませんでした。

ということは、少なくとも明治時代初期には、このお堂はあったんでしょうね。

 

 

このお堂から、登って来た道を見てみると、

 

 

こんな感じ。

ちょっとひんやりとしていて、気持ちのよい場所です。

今調べてみると、鳥居があるのに毘沙門天堂、というのは神仏習合の名残なのではないか? とのこと。

 

 

とりあえず、今日はこのくらいにして、引き返すことにしました。

ざっと、1.5時間くらいの里山遊びでした。

きっと、見逃している場所、もっと奥まで入れる場所に入っていけば、まだまだ楽しめる場所がたくさんあるはずです。

 

 

しかし、こういう自然のなかっていうのは、気持ちが落ち着きますね。

トゲトゲした気持ちが、穏やかになっていくというか……。

 

 

本当に、里山だって本気で探検したり、そこで見られる動植物を調べようと思ったら、かなり大変だと思います。

 

 

けど、それも「実際に」外に出て、探検してのこと。

なので、ブッシュクラフトの第一歩って、「とにもかくにも、自然の中に出ていく」ことなんですよね。

各種技術は、その中で少しづつ学んでいけばいい。

 

 

ブッシュクラフトの第一歩として、いきなりナイフを使っての「フェザースティック作り」とかペグを切り出す、なんてのがありますけれども、まずは外に出る。

だって、外に出てたき火をしたり、テントを張ったりする時にそれって必要になるものですもんね。

 

 

外に出て、自然を楽しむ。

そして、少しづつ出来ること、やりたいことを増やして体験していく。

結構正統派なアウトドア、ブッシュクラフトのスタンスだと思いますけど、如何でしょうか?

 

 

一応、私はスウェーデンではかなりの割合の人が受講する、自然教育のカリキュラムを修了しています。北欧のブッシュクラフトやアウトドアの愛好家たちのベースになっているのが、そのカリキュラム。

 

 

その第一歩が、自然のなかに敬意をもって入っていき、そこで愉しみリラックスする、ということ。

里山なら、それも楽々出来ちゃいます。

 

 

「あれもしなくちゃいけない」「これもしなくちゃいけない」と気負わずに、まずは身近なフィールドに出て、楽しんでみてくださいね。

 

 

というわけで、今日は私の(かなりお手軽ですが)里山探検の記録でした。