お役立ち書籍紹介も、いよいよ20回目。
今日は、例によってナイフの本にしようかな? と思ったのですが、もっと大切な本があったので、そちらを。
というわけで、今日ご紹介したい本は、『道迷い遭難を防ぐ最新読図術』です。
山と溪谷社
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2001年発行の本ですから、「最新」とはいえ、16年ほど前の最新になります。
んが。これは山登りをする人、ブッシュクラフトで野山に入り込む人なんかには必読の書だと言い切れます。
本書のテーマは、なんといっても「遭難」。
実際にあったケースを地図と共に紹介し、ケーススタディのような形で、何故遭難が起こったのか? どうすれば遭難が防げたのか? 遭難時にとった行動は正しかったのか? を検証していくわけです。
こうしたケースのなかで、かなりやり切れないものとして、「地図が間違っていた」というケースもあります。が、割とあるようですので、可能ならば複数の地図、複数の情報ソースで行こうとしている現場周辺の情報を集めていくことが大切なようです。
また、地図は持っているけれども、コンパスは持っていない。
あるいは、地図もコンパスも持っているけれども、その片方、あるいは両方を使っていない人も、かなり多いそうなんです。
私の知り合いで、本当に登山が好きで好きで、高いところ、難易度の高いところにガンガンチャレンジしていく人がいます。
日常生活も登山が中心ですから、なるべくエレベーターは使わず階段で足腰を鍛える。数駅先ならば、徒歩で移動する、なんて気合入りです。
が、その人は、自分で地図を買ったりあるいは読んだりはしないそうなんです。いはんやコンパスをや。
どうやら、パーティ登山をメインにしているようで、「ほかの人がやってくれるから、自分はいい」というスタンスなんですよね。
登山経験でいえば、私なんかと比較にならないほどなんですが、そういうところは非常に手薄になっているんです。
実際、私も結構しつこいくらいに、神経質に地図とコンパスを見るんですが、それでもちょっと「あれ?」ということがあります。
本格的に道に迷ったり、遭難したりといったことはありませんが、「変なとこに出ちゃった」とか、「方向は合ってるけど、一本上(あるいは下)の道を歩いていた」ということはあります。
山遊びしてきたあと、必ずブログでご報告しているんですけれども、「下山時がヤバい」とか「道しるべは必ずしつこいくらいに確認する」なんてことを書いているのも、そういう経験からのものです。
そうそう。
本書の著者はオリエンテーリング競技の経験も豊富らしく、そうした読図、コンパスワークに関しては大いに勉強になります。
それよりなにより、遭難、道迷いが発生した現場の地図を表示してくれ、「本来進むべきルート」と、「誤って進んでしまったルート」をキチンと視覚で説明してくれるのはありがたい。
この本をじっくりと読んでいくだけで、読図の力もガッチリついてくること請け合い。
また心理的な要因からの道迷い・遭難についても書いてあり、そこもとっても面白いです。
かんたんに言えば、山、森といったフィールドでは人間は簡単に迷ってしまう。ゆえにまず「迷わない」ための努力をし、迷ってしまったら「速やかに過ちを認め、確実な地点まで引き返す」ことが重要だということ。
この本にも書いてますけれども、日本の山はルートが整備されていない……というと語弊はありますが、道に迷いやすい要因はいくつかあるかも、と私も思いました。
道しるべが折れて転がっていたり、ボロボロになって判読できなかったり、謎のナタ目が無軌道に大量についた地域があったり、ルート用なのか、林業などの人用なのか分からないテープの目印があったり……。
ま、そういう地域でこそ地図やコンパスの出番なんですけれどもね。
里山であれば、スマートフォンの地図やそれっぽいアプリの出番もありますが、決定的には信用できない部分はあります。実際、私はそれで等高線を読み間違えたことがありますから。
読むと、登山が「怖くなる」本です。
けれども、その怖さがあって初めて、慎重な行動や確実なルートファインディングが出来ると思うので、登山をする人だけでなく、里山などに入っていくブッシュクラフトに関心のある方にも是非読んでもらいたいと思います!!