北海熊の独り言 -2497ページ目

【ダカール】“砂漠の王”アル-アティヤ、トヨタに2度目の総合優勝をもたらす「最高の気分!」

2022年1月1日から14日間にわたって中東、サウジアラビアの砂漠地帯で戦いが繰り広げられた第44回ダカールラリー2022が14日、西部の港湾都市ジェッダでフィニッシュを迎え、TOYOTA GAZOO Racingのナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組(GRダカールハイラックスT1+)が総合優勝を果たした。アル-アティヤは通算4度目のダカール制覇。TGRにとっては彼が前回優勝した2019年以来、3年ぶりの勝利となった。

 

 アル-アティヤと同様に、新型のランドクルーザー300 GR SPORTに採用されている3.5リットルV6ツインターボエンジンを搭載するGRダカールハイラックスT1+をドライブしたチームメイトたちは、ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組が総合5位、シャミア・バリアワ/ダニー・スタッセン組は総合15位に。最終日のステージ12で今大会2度目のステージウインを飾ったヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組は総合31位でラリーを終え、TGRは参戦した全4台が完走を果たした。

 

 ラリーの初日から総合首位の座を守り続けてきた“砂漠の王”ことアル-アティヤ。彼は総合2番手のセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム/BRXハンターT1+)を33秒19秒引き離した状態でラリーの最終日を迎えた。この日のステージ12は今大会最短の競技区間165kmのステージで、ナビゲーションこそ難しかったものの、アル-アティヤとボーメルにとっては大きな問題にはならなかった。

 

 彼らは、ステージウインを飾った僚友ラテガンから7分53秒遅れのステージ19番手でフィニッシュしたが、ライバルとのギャップは充分にあり最終的には27分46秒差で総合優勝を飾っている。

 

 なお、この勝利はアル-アティヤにとって特別なものだった。カタール出身の彼にとって、2020年から中東・サウジアラビアが舞台となったダカールラリーを制することは悲願であり、2020年と翌年の2021年大会ともに優勝争いに加わりながら僅差の2位と涙を飲んできたなかで今年、ついにその雪辱を果たすことになったためだ。

 

 また、TGRにとっても特別な1勝となった。チームは今大会に向け、大径化されたタイヤとホイール、拡大されたサスペンションストローク、そして前述の新開発エンジンなどを採用したニューマシンを開発した。今回、3年ぶりに手中に収めた勝利は、チームが“モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり”の信念の下に、技術の限界に挑んだ結果と言えるものだ。

 

【ナッサー・アル-アティヤがドライブしたTOYOTA GAZOO RacingのGRダカールハイラックスT1+ ダカールラリー2022】

【ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ(GRダカールハイラックスT1+)は総合5位で完走を果たした。 ダカールラリー2022】

 

アル-アティヤ「素晴らしいクルマを生み出してくれたグリン・ホール代表に感謝」

 

「ナッサー(・アル-アティヤ)とマシュー(・ボーメル)、そして我々チーム全員にとっても本当に最高の勝利です」と語るのは、チームを率いたグリン・ホール TGRチーム代表。

 

「新しいGRダカールハイラックスT1+が、デビュー戦のダカールラリーで勝利でき、感激している」

 

「この勝利を、長年にわたってTGRのダカールプロジェクトをサポートし続けてくれたヨハン・ファン・ゼイル博士(元欧州トヨタCEO:2021年7月逝去)に捧げる。今年成し遂げたこの勝利を心から誇りに思っているし、きっと博士も喜んでくれていると思う」

 

 優勝したアル-アティヤは「ダカールでの勝利は最高の気分だ! 僕たちは序盤からラリーをリードし、大会を通してペースをコントロールしてきたが、それを成し遂げての勝利は格別だね」と語った。

 

「TOYOTA GAZOO Racingとサポートしてくれたスポンサーの皆さまに感謝している。また、この素晴らしいGRダカールハイラックスT1+を生み出してくれた、チーム代表兼テクニカルマネージャーでもあるグリン・ホールにも感謝したい。最高のダカールだったし、本当にうれしいよ」

 

 チームメイトのド・ヴィリエールは、ラリー前半戦は表彰台を争う位置につけていたがマシントラブルに泣き後退。それでも総合5番手まで順位を戻してきたベテランドライバーは最終日のステージ走破後、次のように語った。

 

「最終ステージはナビゲーションが難しいポイントが数多くあり、とても大変だった。我々が正しいルートを見つけた瞬間にステファン(・ペテランセル/ステージ12で総合2番手)が追いついてきたこともあった。彼は幸運だったが、我々はルートを探すために何度も引き返さなくてはならなかったんだ。最終ステージにもかかわらずそれほどナビゲーションの難しいステージだった」

 

「最終的に僕たちは総合5位でフィニッシュできたが、表彰台に届かなかったのは少し残念だ。ナッサーとマシューの勝利を本当に喜んでいる。クルマは最高だったし、チームも素晴らしい仕事をしてくれた。こうしてダカールラリーを無事に完走できたことに満足しているんだ」

 

 今大会で初めてスタッセンとコンビを組むことになりながらも、ラリーを戦っていく中で力をつけていったバリアワは、「今日の最終ステージスタート前はちょっとナーバスになっていたが、フィニッシュできて最高だ」と述べた。

 

「これで僕にとって2度目、ダニーにとって初のダカール完走を果たせたので本当にうれしいよ。とても感激しているし、来年もぜひ戻ってきたいと思っている」

 

 前日はアル-アティヤのサポートに回ったためステージ争いに加われなかったラテガンはこの日、後方からのスタートを余儀なくされた。それでも彼はタイヤのパンクにも見舞われながらも猛烈な走りをみせ、最後には今大会2度目となるステージウインを飾ってラリーを締めくくった。

 

「ようやくダカールを最後まで経験できた」とラテガン。「序盤にステージ勝利を飾ることができた一方で、暗くなるまで砂漠でサポートを待つこともあり、最高の瞬間も、最悪とも思える瞬間も経験することができたよ」

 

「13日(金)のステージ11でトラブルに見舞われたのもあって、昨夜はちょっと落ち込んでいたが、ひと晩寝て気持ちを切り替えた。今日の最終ステージでは多くの車両を追い抜く必要があったし、パンクにも見舞われた。その時には僕たちにとってのステージ2勝目の夢は潰えたかと思ったが、諦めずに最後までハードに攻めた結果、最終ステージで勝利することができたんだ」

 

【総合15位となったシャミア・ヴァリアワ/ダニー・スタッセン組(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022】

【最終日のステージで今大会2度めとなるステージ優勝を飾ったヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022】

【優勝したナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組(中央:TOYOTA GAZOO Racing/GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022】

 

ダカールラリー2022 最終結果

Pos. Driver&Co-Driver Gap
総合1位 #201 ナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組 38h33’03
総合5位 #207 ジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ組 +1h41’48
総合15位 #233 シャミア・バリアワ/ダニー・スタッセン組 +3h55’33
総合31位 #225 ヘンク・ラテガン/ブレット・カミングス組 +11h51’21

 

 

【ダカール】STAGE12 : トヨタが総合優勝。アル-アティヤが3年ぶり通算4勝目

1月14日、中東サウジアラビアを舞台に、元日から行われてきた『ダカールラリー2022』が最終日を迎えた。競技12日目となった14(土)は、同国南部のビシャから紅海に面する港町ジェッダに向かう全長640km、うちスペシャルステージと呼ばれる競技区間が164kmの“ステージ12”が実施され、総合2番手のライバルに対して33分のリードを持って同ステージに臨んだTOYOTA GAZOO Racingのナッサー・アル-アティヤ(GRダカールハイラックスT1+)が自身通算4度目の総合優勝を飾った。トヨタの勝利は前回、アル-アティヤが優勝した2019年以来、3年ぶりだ。

 

“砂漠の王”が強さを発揮した大会だった。3人のチームメイトとともにトヨタの新型マシン、GRダカールハイラックスT1+を駆って今大会に臨んだアル-アティヤは、1月1日に実施された“プロローグ”でステージ最速タイムを記録する。彼は競技初日となった2日の“ステージ1B”でもステージ優勝を飾り、今大会最大のライバルとなったセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム/BRXハンターT1+)や他の競技者たちから一歩抜け出した。

 

 その後のステージ優勝は競技4日目の一度きりで、ステージ2番手が2回、同3番手が1回という内容だった。しかし、初日に座った総合首位のポジションからは一度も動かず。総合優勝を争ったローブに33分19秒のギャップを築いて迎えたステージ12は、確実性を優先した走りでトップから約8分遅れの19番手でフィニッシュ。この結果、アル-アティヤが通算4度目のダカールラリー総合優勝を果たすこととなった。ライバルとの最終的なギャップは27分46秒差だった。

 

 過去2年は優勝争いに加わりながら涙を呑んできたカタール人は、「ダカールでの勝利は最高の気分だ! 我々は序盤からラリーをリードし、大会を通してペースをコントロールしてきたが、それを成し遂げての勝利は格別だ」と喜びのコメントを発した。

「TOYOTA GAZOO Racingとサポートしてくれたスポンサーの皆さまに感謝している。また、この素晴らしいGRダカールハイラックスT1+を生み出してくれた、チーム代表兼テクニカルマネージャーでもあるグリン・ホールにも感謝している。最高のダカールラリーだった。本当にうれしいよ」

 

 アル-アティヤと最後まで優勝を争ったローブは最終日を4番手タイムで終え、総合2位が確定。首位から1時間1分13秒差の総合3位にはオーバードライブ・トヨタのヤジード・アル・ラジ(ハイラックス・オーバードライブ)が入り、自身初の表彰台を獲得している。
 
 最終日のステージ12を制したのは、アル-アティヤのチームメイトであるヘンク・ラテガン(TOYOTA GAZOO Racing/GRダカールハイラックスT1+)だ。ステージ2番手は前年王者のステファン・ペテランセル(チーム・アウディスポーツ/アウディRS Q e-tron)、同3番手にはブライアン・バラグワナー(センチュリー・レーシング/センチュリーCR6)が入った。

 

【ステージ5以来、今大会2度目のステージウインを果たしたヘンク・ラテガン(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022】

【ステファン・ペテランセル(アウディRS Q e-tron)。電動車で初参戦のアウディが3台全車が完走を果たした】

【ダカール通算4勝目を挙げたナッサー・アル-アティヤ/マシュー・ボーメル組(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022】

【総合2位となったセバスチャン・ローブ(BRXハンターT1+)は、1月20日から始まるWRC第1戦ラリー・モンテカルロに参戦する】

【総合3位表彰台を獲得したヤジード・アル・ラジ(ハイラックス・オーバードライブ) ダカールラリー2022】

【総合4位でフィニッシュしたオーランド・テラノバ/ダニエル・オリベラス・カレラス 組(BRXハンターT1+) ダカールラリー2022】

 

トヨタ車体、日野がともに完走果たす

 

日本勢では四輪部門・市販車クラスを戦ったチーム・ランドクルーザー・トヨタオートボデーの三浦昂(トヨタ・ランドクルーザー200)とロナルド・バソ(トヨタ・ランドクルーザー200)の2台が今大会12回目のワン・ツー・フィニッシュを飾り、目標としていたクラス9連覇を達成した。総合順位は三浦が38位、バソは43位だ。
 
 トラック部門に新開発のハイブリッド車両、日野600ハイブリッドを投入した日野チームスガワラの菅原照仁は、2日前に電気系トラブル、前日にはオートマチック・トランスミッションのトラブルを抱えるなど、好調な展開から一転してラリー終盤に失速してしまう。しかし最終日は15番手でステージを走破し、1991年から続く完走記録を31に伸ばすとともに部門総合22位で2022年のダカールラリーを終えている。

 

 ホンダとヤマハが参戦している二輪部門では、総合2番手で14日のステージ12を迎えたモンスターエナジー・ホンダのパブロ・キンタニラ(ホンダCRF 450ラリー)がステージウインを果たすも、最終日での逆転優勝とはならず。前日に総合首位に返り咲いたサム・サンダーランド(ガスガス・ファクトリー・レーシング/KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)が3分27秒差で逃げ切り、2度目の部門総合優勝を果たした。

 

 総合3位はレッドブル・KTMファクトリー・レーシングのマティアス・ウォークナー(KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)で、トップとの差は6分47秒。今大会中、2度にわたって部門トップに立ったモンスターエナジー・ヤマハ・ラリーチームのアドリアン・ファン・ビファレン(ヤマハWR450F)は18分41秒の遅れで総合4位となった。

 

 ダカール・ルーキーながらステージ5で初優勝を飾るなど印象的な走りを披露した、元MotoGPライダーのダニロ・ペトルッチ(テック3KTM・ファクトリー・レーシング/KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)は最終日を34番手で終え、初参戦のラリーを完走した。総合順位は競技2日目のデイリタイアによるペナルティが響き90位となった。

 

 14日間にわたる長い旅が終了し、2022年に新設されたFIA世界ラリーレイド選手権(W2RC)のオープニングイベントとして実施された第44回ダカールラリーが幕を下ろした。同チャンピオンシップの次戦アブダビ・デザート・チャレンジは、3月5日から10日にかけてUAEアラブ首長国連邦で開催される

 

【三浦昂(トヨタ・ランドクルーザー200)。チーム・ランドクルーザー・トヨタオートボデーは市販車クラス9連覇を達成した】

【トラック部門総合22位でフィニッシュした菅原照仁(日野600ハイブリッド) ダカールラリー2022】

【二里部門を制したサム・サンダーランド(中央:KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)と、同3位となったマティアス・ウォークナー(KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ) ダカールラリー2022】

【総合2位でフィニッシュしたパブロ・キンタニラ(ホンダCRF 450ラリー) ダカールラリー2022】

【総合4位となったアドリアン・ファン・ビファレン(ヤマハWR450F)】

 

 

 

 

 

 

 

【ダカール】ダカールラリーのアシスタンスロードリエゾンで事故。メカニックが亡くなる

1月14日にフィニッシュを迎えた2022年のダカールラリーだが、主催者は14日、ダカール・クラシックにプジョー205ターボ16で参加していたPHスポーツのチーフメカニックであるフランス人のクエンティン・ラバリが、アシスタンスルートのリエゾンで地元のトラックとの事故に巻き込まれ亡くなったと発表した。

 

 事故はアシスタンスルートの234km地点で発生した。ラバリはPHスポーツのチーフメカニックとしてアシスタンスカーでフィニッシュに向け走行していたが、地元警察によれば地元のトラックと接触する事故が起き、20歳のラバリが亡くなった。同乗していたベルギー人スタッフのマキシム・フレールは負傷したが、意識がある状態でジェッダの国家警備隊病院に搬送された。

 

 主催者はチーム、ラバリの家族に深い哀悼を示している。またチームは獲得した表彰台をラバリに捧げるとコメントしている。

 

 

【IGTC】バサースト12時間が新型コロナウイルスの影響で日程変更。5月13〜15日に開催へ

インターコンチネンタルGTチャレンジの2022年開幕戦に予定されていたリキモリ・バサースト12時間をオーガナイズするオーストラリアのスーパーカーズは、当初2月25〜27日に予定されていた2022年のバサースト12時間の日程を5月13〜15日に移すと発表した。

 

 これはスーパーカーズ、ニューサウスウェールズ州、バサースト地域評議会、モータースポーツ・オーストラリア、さらにSROモータースポーツ・グループの協議により決まったもので、新型コロナウイルスの影響で海外チームの現在の検疫規制の状況を検討した結果、5月に移すことが適していると判断された。

 

「この新しい日程は、毎年イベントの成功に重要な役割を果たす海外チーム、ドライバー、さらに物流、マーシャル等への負担を軽減することになる。我々は関係各所、さらにブロードキャストパートナーと緊密に協力し、新しい日程がリキモリ・バサースト12時間に最良の結果をもたらせるようにした」と語るのは、スーパーカーズのCOOを務めるシェーン・ハワード。

 

「すでに多くの著名なチームが参戦を表明しているが、5月の新たな日程で参戦を表明してくれる国際的なコンペティターが増えることを期待している。過去2年間、イベントがモータースポーツカレンダーに戻ることを熱望しているファンの勝利になるはずだ」

【TCR規定シリーズ】TCRも電動化へ。WSCが『HTCR』と呼ぶハイブリッド・キットを採用

WTCR世界ツーリングカー・カップを頂点とするTCR規定シリーズにも、より環境に優しい未来に向け機能していることを示すべく、いよいよ電動化の波が襲来。TCRの統括団体であるWSCグループは、既存のモデルに適合可能なハイブリッド技術を2023年シーズンの規則に導入する計画を公式発表し、ハイブリッドTCRを意味する“HTCR”の呼称を採用するプランを明かした。

 

 TCR規定から派生したフル電動ツーリングカー選手権として、2021年に初年度シーズンが開催された『ピュアETCR』の存在があるが、世界的な電動化の潮流に合わせ、同シリーズは2022年より『FIA eTouring Car World Cup(FIA eツーリングカー・ワールドカップ)』へと進化し世界戦へと昇格。2年目のシーズンを迎えることが決まっている。

 

 一方、FIAのワールドカップ格式としてWTCC世界ツーリングカー選手権の後継に位置付けられてきたWTCRでは、2021年より15%の再生可能素材を配合した新しい“サスティナブル・フューエル(持続可能燃料)”を導入し、サプライヤーのP1レーシング・フューエルズとともに100%化石を含まないレース用燃料の開発、提供に取り組んで来た。

 

 こうしたバイオ燃料への移行は、WTCRのCO2(二酸化炭素)排出量削減を支援するため支持されてきたが、以前より電動化技術を採用するWEC世界耐久選手権や、2022年より電動化を果たすWRC世界ラリー選手権、そして一足飛びにフルEV化を遂げるWorldRX世界ラリークロス選手権など、他の多くの主要な選手権に続くよう、TCRシリーズの技術規制にもハイブリッド・テクノロジーの要素を導入する必要に迫られた。

 

 2021年までWTCRのマネージングディレクター職を務めたハビエル・ガヴォリは、WSCによる公式アナウンスを前に、フランスのモータースポーツ専門誌『AutoHebdo(オート・エブド)』に対し、シリーズの「変革」に関する作業が進行中であり、ハイブリッドの導入が「2023年になる」ことを明かしていた。

 

「確かにTCRとしていくつか進行中のプロジェクトがある。そしてそれは近い将来、WTCRの変革を推進する役目を果たすだろう」と語っていたガヴォリ。

 

「これはETCRのようにすべてを電気で賄うものではないが、電動化への移行を推し進めることになるだろう。WTCRとして昨シーズンからバイオ燃料を使用しているが、それだけでは充分ではない。WTCRは2023年までにハイブリッドに移行する必要があると考えている」

 

【あらゆるモデルに適合可能なプラグイン・キットの開発と供給に関心が示され、共通システムとして20~30kW(27〜41PS)程度の追加パワーブーストが提供される】

【2021年に初年度シーズンが開催された『PURE ETCR』は、2022年より『FIA eTouring Car World Cup』へと進化】

 

共通ハイブリッド機構の開発テストは1月末までに完了する予定

 

その発言どおり、この1月13日付でWSCより発表されたステートメントでは、既存のTCR登録モデルに対しハイブリッドシステムを組み込む方法の研究が、すでに開始されていることが明らかになった。

 

 これらのモデルを生産するマニュファクチャラーやコンストラクター各社と協力し、あらゆるモデルに適合可能なプラグイン・キットの開発と供給に関心が示され、共通システムとして20~30kW(27~41PS)程度の追加パワーブーストが提供される。

 

 この共通ハイブリッド機構は、ブレーキング時の回生を可能にするエネルギー回収システムも備え、TCRの概念をより環境に優しいものにするだけでなく、ハイブリッドシステムをすべてのカスタマーが「手頃な価格」で利用できるよう、システムの開発テストはこの1月末までに完了する予定だという。

 

 この開発テストが期待どおりに完了した場合、2023年には共通システムを搭載した“HTCR”を採用するかどうかの選択が個々のシリーズに与えられ、2022年度にはいくつかのTCRシリーズで実戦テストが実施される可能性もある。

 

 そのWTCRに先行する身近な例として、イギリスではTOCAが主催するBTCCイギリス・ツーリングカー選手権が約18カ月にもわたる入念な開発テストを経て、2022年よりコスワース・エレクトロニクスが供給する共通ハイブリッド機構を組み込んだハイブリッド・ツーリングカー・チャンピオンシップになることが決まっている。

 

 こうしたシリーズの変革を前に、WTCRのプロモーターであるディスカバリースポーツ・イベントは、前出のガヴォリを引き継ぎジャン-バティスト・レイがシリーズディレクターに就任することもアナウンスした。

 

 同じく旧ユーロスポーツ・イベントでERCヨーロッパ・ラリー選手権の主任コーディネーター職を担当していたレイは、ERCがWRCプロモーターの運営に移行したのに併せてガヴォリの後任となり、新生ピュアETCRでのコミットメントとともにその役割を果たしたガヴォリは、そのままFIA eツーリングカー・ワールドカップの新ディレクターに就任する。

 

【新たにWTCRディレクターに就任したジャン-バティスト・レイ。長年、ERCのイベントコーディネーターを務めた】

【前任者のハビエル・ガヴォリは、新生『FIA eTouring Car World Cup』のディレクター専任となる】

 

 

 

 

 

 

【IMSA】ポルシェ、新型LMDh車両をシェイクダウン。2023年に向け第一歩を踏み出す

1月14日、ポルシェは2023年に向けて開発中の新型LMDh車両をドイツ・バイザッハのテストコースでシェイクダウンし、その様子をSNSを通じて公開した。

 

 LMDhは、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で現在採用されているDPiの次期規則で、2023年に正式採用される。また、ACO/FIAとのコラボレーションにより、この規定の車両はル・マン24時間を含むWEC世界耐久選手権のハイパーカー・クラスにも参戦可能で、そこではトヨタのGR010ハイブリッドなどル・マン・ハイパーカー規則の車両と、同じ土俵で戦うことになる。

 

 ポルシェはこのLMDh規定で車両を開発し、チーム・ペンスキーと組んで『ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ』としてIMSA、WEC双方のシリーズに2023年から参戦することを発表。マルチマチックをベースシャシーとして車両開発が進められていた。

 

 今回、当初2021年内に予定されていたロールアウトがいよいよ実現したことになる。ファクトリードライバーのフレデリック・マコウィッキが、ポルシェのバイザッハ・テストコースにおいて、新型LMDh車両を初めてドライブした。

 

「2023年に向け、WEC/IMSAを戦う新型車両の開発プロセスにおけるこの重要なステップを、非常に誇りに思う」と、ポルシェモータースポーツのバイスプレジデントである、トーマス・ローデンバッハはコメントしている。

 

「バイサッハ(の開発陣)とチーム・ペンスキーに携わったすべての人に感謝したい」

 

 ステアリングを握ったマコウィッキは、次のようにコメントしている。

 

「正直に言って、とてもポジティブなロールアウトだった。僕らは何周か走行を行い、クルマは予期したとおりに動いていることを確認できた」

 

「いま、僕らは前に進むための出発点に立ったんだ」

 

 

 

 

 

【IMSA・インディ】大事故から3年半…ロバート・ウィッケンズ、悲願のレース復帰が決定

インディカー・シリーズでの2018年の大事故から3年以上の時を経て、ロバート・ウィケンズが遂に悲願のレース復帰を果たす事が決まった。

 

32歳のカナダ人ドライバーはヒュンダイのエントリーで2022年IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジにフル参戦し、1月28日にデイトナで開催される4時間耐久レースでBHAの33号車エラントラ N TCRレースカーをドライブ。実戦にカムバックする。

 

ウィッケンズは2018年8月の第14戦ポコノでのライアン・ハンター=レイとの上位争いの最中に接触。コース外側へと弾き飛ばされ、鉄製フェンスへと突っ込んだ。弾き返されたマシンは火花とデブリを散らしながら地面へと激しく叩きつけられた。

 

レースは2時間近くに渡り中断を強いられ、ウィッケンズは地元病院へ緊急搬送された。胸椎骨折、脊髄損傷、頚椎・胸部脊椎・両足脛骨・腓骨・両手、右前腕・肘・肋骨の骨折、脳震盪、肺挫傷を負う非常に大きな事故だった。以来ウィッケンズはレース復帰に向けて懸命のリハビリを続けてきた。

 

そして昨年5月、半身不随ながらもスロットル及びブレーキを手で操作できるブライアン・ハータ・オートスポーツ製ハンドコントロールを装備したヒュンダイ・ヴェロスターをミッドオハイオでドライブし、復帰に向けた手応えを掴んだ。

 

「この瞬間を何度も夢見てきたけど、ブライアン・ハータとヒュンダイのサポートによって遂に現実になった」とウィッケンズ。

 

「ここまでの道のりは長く、紆余曲折の困難なものだった…この旅が決して終わったわけじゃないけど、前に進める事に感謝してる!」

 

「妻やブライアン、ヒュンダイ、IMSA、そして何よりもファンの皆さんのサポートがなければ実現することはなかった」

 

「僕がレースに復帰できる事を、僕と同じように皆が信じ、そして幾度となく励ましてくれたおかげで実現したんだ」

 

「今は事故前よりも勝利に貪欲だ。再び勝ちを目指して頑張りたい」

 

 

レッドブルF1、元ルノー代表アビテブールと契約の可能性。パワーユニット部門責任者に抜擢か

ルノーF1チームの元代表シリル・アビテブールが、レッドブルのパワーユニット部門であるレッドブル・パワートレインズの代表になる可能性があるとの説が出てきた。

 

 レッドブル・レーシングはルノーのエンジンを搭載していた2010年から2013年にF1でダブルタイトルを獲得。しかしF1にパワーユニット規則が導入された後、ルノーのパフォーマンスは低下、両者の関係は悪化していき、2018年末で袂を分かつこととなった。

 

 レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーとモータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコは、アビテブールとしばしば衝突し、険悪な関係だったと考えられている。

 

 

アビテブールは2021年初めにルノー/アルピーヌF1チームから離脱、5月にはメカクロームのモータースポーツアドバイザーとなることが発表された。

 

 しかし、2021年F1最終戦アブダビGPに、アビテブールがレッドブルのゲストとして招かれていたことが明らかになり、多くの人々を驚かせた。アビテブールはこの週末を通してホーナー代表と長い時間を過ごしていた。レッドブルのある関係者によると、交渉の結果、アビテブールは、レッドブル・パワートレインズの代表となり、技術面以外を管理することに基本的に同意したのだという。

 

 2021年末でF1パワーユニットサプライヤーとしての活動を終えたホンダは、2022年以降に向けてレッドブルとアルファタウリに対して、パワーユニットに関する知的財産権の使用を許諾。2022年シーズンにおいては、レッドブル・パワートレインズに対するパワーユニットの組立支援や、サーキットおよび日本におけるレース運営サポートを行う予定になっている。

 

 レッドブル・パワートレインズは、2023年にはホンダのサポートなしに活動することを目指し、さらに2026年に向けて次世代パワーユニット開発の準備を行う必要がある。この新プロジェクトにおいて、アビテブールのルノーでの経験は非常に役立つものとみられる。さらにアビテブールには、現在ルノーで働く優秀なエンジニアたちを引き抜くことも可能かもしれない。

 

 ただ、アビテブールが実際に加入する場合、レッドブル・パワートレインズのなかにうまく溶け込むことができるのか、ホーナーやマルコとの関係が円滑にいくのかも注目される。

 

 

 

2022年 F1ドライバーの年俸:ルイス・ハミルトンがトップに君臨

2022年のF1世界選手権に参戦する20名のF1ドライバーの年俸をRacingNews365.comが試算した。

F1は数百万ドル(数億円)のスポーツであり、F1ドライバーの給与は重要な役割を果たしている。当然のことながら、ルイス・ハミルトンとマックス・フェルスタッペンが最大の稼ぎ手であり、フェルナンド・アロンソやセバスチャン・ベッテルなども上位にランクされている。しかし、各ドライバーはいくら稼ぎでいるのだろうか?

現在、7回の世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンがF1で最も高給のドライバーであり、年間推定給与は4,000万ドル(約45億円)で、2021年のタイトル獲得者であるフェルスタッペンを約1,500万ドル上回っている。どちらのドライバーも、2023年まで契約を結んでいる。

多くの変化を引き起こした2020年のシリーシーズンと比較して、この冬のドライバーの動きはほんの一握りだ。そのため、昨年と今年の給与の変動は比較的小さい。

最大の動きの1つは、バルテリ・ボッタスがメルセデスからアルファロメオに移籍したことだ。新しいチームでも2021年と同じお金を稼いでいる。ボッタスの後任としてウィリアムズからメルセデスにステップアップするジョージ・ラッセルは500万ドルとトップ10には入っていない。

RacingNews365.comは、2022年のF1世界選手権に出場するすべてのドライバーの給与の完全な概要をまとめた。リストを可能な限り信頼できるものにするために、F1パドック内およびチーム全体のさまざまな情報源に相談した。すべての給与には、パフォーマンスボーナスと個人スポンサーからの収入は含まれていない。一方、契約の後ろに+があるドライバーには、延長するオプションがある。

【2022年 F1ドライバー 推定年俸】

ドライバー チーム 給与 契約期間
ルイス・ハミルトン メルセデス 4000万ドル
(約45億円)
2023年
マックス・フェルスタッペン レッドブル 2500万ドル
(約28億円)
2023年
フェルナンド・アロンソ アルピーヌ 2000万ドル
(約23億円)
2022年
セバスチャン・ベッテル アストンマーティン 1500万ドル
(約17億円)
2022年+
ダニエル・リカルド マクラーレン 1500万ドル
(約17億円)
2023年+
シャルル・ルクレール フェラーリ 1200万ドル
(約13億円)
2024年
カルロス・サインツ フェラーリ 1000万ドル
(約11億円)
2022年+
バルテリ・ボッタス アルファロメオ 1000万ドル
(約11億円)
2025年
ランス・ストロール アストンマーティン 1000万ドル
(約11億円)
Open
セルジオ・ペレス レッドブル 800万ドル
(約9億円)
2022年
ジョージ・ラッセル メルセデス 500万ドル
(約5億円)
2023年
ランド・ノリス マクラーレン 500万ドル
(約5億円)
2025年+
エステバン・オコン アルピーヌ 500万ドル
(約5億円)
2024年
ピエール・ガスリー アルファタウリ 500万ドル
(約5億円)
2023年
アレクサンダー・アルボン ウィリアムズ 200万ドル
(約2億円)
2022年+
(レッドブル)
周冠宇 アルファロメオ 100万ドル
(約1億円)
2022年
ミック・シューマッハ ハース 100万ドル
(約1億円)
2022年+
(フェラーリ)
ニキータ・マゼピン ハース 100万ドル
(約1億円)
2022年
ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ 100万ドル
(約1億円)
2022年
角田裕毅 アルファタウリ 75万ドル
(約8500万円)
2022年+

アルファタウリF1 「AT03はギアボックスなどがレッドブルRB18と共通」

アルファタウリF1は、2022年F1マシン『AT03』でレッドブル・レーシングと同じパーツを利用する。

2021年、アルファタウリF1は平均して5番目に速いマシンであり、フェラーリやマクラーレンを上回るグランプリもあった。2022年はレギュレーションが一新され、小規模チームにとっては大きなリスクとなるが、アルファタウリF1はレッドブルからのサポートがそれを回避することに役立つ。

アルファタウリF1は、長い間レッドブルに頼っており、以前は“ノン・リステッド・パーツ”と呼ばれたパーツを購入してきた。現在、それは“トランスファラブル(譲渡可能)・コンポーネント”と呼ばれている。これは2019年F1マシンから正式な戦略となり、コンポーネント面で“相乗効果”を高めてきた。

しかし、アルファタウリF1は、フェラーリから入手できるものはすべて購入するというハースF1ほど極端な技術パートナーシップではなく、何を使用するかについて選択してマシンを開発してきた。

昨年、成功を収めた『AT02』では、本来ならば、2022年仕様のレッドブルのギアボックスとリアサスペンションをトークンを使わずに入手できたが、アルファタウリはそれを使用しないことを選択。それは2019年のレッドブルベースのリアエンドを継続した方が自分たちのマシンにより適していると判断したためだった。

2022年もその分野ではレッドブル・レーシングの2022年F1マシン『RB18』のデザインに依存する。そして、2023年マシンではそれをさらに拡張すオプションがある。

「2022年のレッドブルからギアボックス、油圧、リアサスペンションを採用する」とテクニカルディレクターのジョディ・エギントンは語った。

「レギュレーションが主張するように、彼らは両方のチームのために同じ部品を作ることを約束した」

「微妙な違いは、サスペンションのすべてのエアロサーフェス、クラッディングはチーム固有でなければならないということだ。しかし、メカニカル類トはレッドブルのものになる」

「マシンのフロントはすべて我々自身のものになる。過去3年間で、我々はある種のミックス&マッチを行ってきた。シナジーの最初の年(2019年)はフロントサスペンションのほとんどすべてを採用し、次にインボード(サスペンションパーツ)を採用し、最後の年にそれをミックスした」

「2023年は、その時点でメニューに利用できるパーツが増え、選択できるトランスファラブル・パーツのリストがあるので、見てみるつもりだ」

アルファタウリF1は、レッドブル・レーシングからいくつかの重要なコンポーネントを取得することにより、パフォーマンスに大きな影響を与える領域、主に空力にリソースを展開できる。

アルファタウリF1は、カスタマーギアボックスを採用する5つのチームの1つであり、他チームには、ウィリアムズ(2022年に初めてメルセデスギアボックスを採用)、ハース、アルファロメオ、アストンマーティンがいる。これは特にかなりのリソースを節約し、それらの設計作業にスタッフを割り当てる必要がないことを意味する。

「小規模なチームの場合、ギアボックスを使用すれば、他の場所に集中できる」とジョディ・エギントンは語る。

「シナジーの最初の年である2019年にはギアボックスの部品を設計していた人たちがいたが、彼らは他の活動に移った。それは挑戦でしたが、新鮮でもあった」

「我々は非常に柔軟なデザインオフィスを持っている。突然フロントインボードサスペンションコンポーネントを購入することにした場合、通常それらを設計する人は、辞めて何か他のことをするだろう。我々はリソースを最大のパフォーマンスが得られると思われる場所に移動できる」

「我々のマシンのコンセプトがレッドブルから特定のパーツを入手することに適していない場合、我々は自分たちでそれを行うが、ギアボックスは我々が採用する唯一の固定部品だ。我々は今、そこを自分たちでやろうとは思っていない。むしろ、レッドブルのボックスを持って、自分に合った服を着せたいと思っている」

アルファタウリF1の2022年F1マシン『AT03』は、最大許容60%スケールの風洞を使用して設計された最初のマシンとなる。

アルファタウリF1は、50%スケールの風洞を使用した最後のチームだったが、風洞の使用と占有時間を制限するレギュレーションの変更により、昨年は英国のベッドフォードにあるレッドブルの風洞の共有を開始することができた。イモラからすぐ近くのファエンツァに拠点を置くチームにとっては地理的に便利に聞こえないかもしれないが、ベッドフォードから車で40マイルの古いウィンドトンネルを拠点とするエアロデザイングループがある。

「ローンチ仕様のAT02は、50%スケールのビスターの風洞で開発された」とジョディ・エギントンは説明する。

「ローンチマシンをリリースし、1月末にベッドフォードで作業を開始した。したがって、1つの風洞でローンチし、別の風洞で開発したことになる」

「2つの異なるモデルを持つことの利点は、それをベンチマークとするためにバック・トゥ・バックでできることだった。新しい働き方に慣れるには時間がかかるため、新しい施設では常に学習曲線がある。風洞を別のチームと共有する必要があるという点で時間制限がある。以前は好きなときに走らせることができた」

 

「全体として、我々は非常に満足しており、2022年のレギュレーションに備えるためにその動きをすることが重要だった」

レッドブルが過去10年半にわたって多額の投資を行ってきたハイクオリティの風洞であるだけでなく、より大規模なモデルを実行するという利点もある。

これを使用するに、アルファタウリF1は、モデル作成機能を変更する必要があったが、これにより忠実度の高い結果が得られるはずだ。

しかし、アルファタウリF1は、新しい風洞に適応するプロセスを経て、2022年にそれを行うことの多くの苦痛を伴ったことで、開発のポテンシャルを高めたと確信している。

「60%に到達することには明らかなメリットがある。我々は最後に切り替えたチームだった」とジョディ・エギントンは述べた。

「学習曲線があり、2021年の初めには、希望する実行率が得られていなかった」

「当時は50%の方が少し効率が良かったかもしれないが、マシンの大部分がキャリーオーバーだったので、変更するのに理想的な時期だった。新しい風洞に移行し、何がよりよく相関し、どのような疑問符があるのかを見極めるには見る参考になった」

「その点で、我々は正しい決定を下したが、それらの変更は決してシームレスではなかった」

最近、アルファタウリF1は、目覚ましい進歩を遂げ、2018年のトロロッソ時代のチャンピオンシップ9位から昨年は6位に上昇した。

角田裕毅がチームメイトのピエール・ガスリーに比べてポイントを獲得できなかったため、チャンピオンシップ5位は未達となったが、チームは明確に上昇軌道に乗っていた。

「我々は順調に進んでおり、プロセスを改善し、年々近づいている」とジョディ・エギントンは語った。

「しかし、我々はまだかなり若いチームであり、多くの若いエンジニアやデザイナーがいる。これは素晴らしいことだ」

「我々は最大のチームではなく、突然大規模になることはない。おそらくいくつかの大きなチームよりも150~200名は少ないだろう。だが、この軌道を続けることができると私は信じている」

「目標は、ほぼ同じだ。同じ哲学を採用することが機能しているように見える。だが、繰り返しになるが、これは完全に新しい規制であるため、誰にも前進する余地がある」

「我々が目にしている空力の進歩はこれまでに行ってきたことと一致している」