『見てみて・・・何コレ?何時代?積年の恨みをはらしてくれて御礼奉る!だって。
はははっ・・・コレもおかしい・・・この絵、瑠奈ちゃん?刀を振りかざす女子高生?!
斬新なキャラで面白いっ!』
手紙はざっと数えて30通程だった。
足元に落ちた手紙を咲ちゃんは、興味津々で覗いてる。
『これってさ、ファンレターなんじゃない?』
「ファンレター?」
そう言われると、宛名が九条様とか瑠奈様とか・・・見た感じイタズラとか嫌がらせ
ではなさそう。とにかく落ちたモノも全てかき集めて、靴を履き替え教室へ向かう。
『もしかして、あの子ってかなり恨みかってたんじゃない?だから髪の毛をバッサリ
やっちゃった瑠奈ちゃんは、ヒーローなんだよ!正義の味方って事なんじゃない?』
自分の事の様にワクワク顔の咲ちゃんは、今にもスキップしそうな程ハイテンション
で話し続ける。
『実はね、同中だった子からメールで瑠奈ちゃんと高宮さんの激しいキスの事や
バッサリ話を聞いて、また誰かが吐いた嘘だろうなって思ってたの。
だから瑠奈ちゃんに連絡しなかったんだけど・・・ホントだったんだ・・・えっ?
あっ、じゃあキスも?キスもホント?ホントにすごーい激しいキスしたの?』
前を歩く咲ちゃんは、キスキスと何度も大きな声で叫び、興奮した様に振り返る。
「あっ!咲ちゃん、危ないっ!」
咲ちゃんの背後に、あの彼女。
待っていたかの様に、仁王立ちの彼女に思い切り背中からぶつかった咲ちゃんは
相手が彼女だと気がつくと、何を思ったのか・・・それとも何も考えてないのか・・・
『あっ、どうも。バッサリだね・・・かなりいい感じ!うん、似合ってる。ははは・・・』
彼女に愛想笑い。
『アンタじゃないから。』
『はっ?』
『話があるのはアンタじゃない。』
額の端にピクピクと怒りを表してる彼女に圧倒された咲ちゃん。
『あぁ・・・私じゃないよね・・・そうだよねぇ・・・あの、ぶつかってゴメンネ。
じゃ、あぁっ!!瑠奈ちゃん、今日、私日直だから先に行くね♪』
なんて言って、私を一人残して走り去っていく咲ちゃん。
いくらなんでも、ちょっと薄情すぎじゃない?
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