「あっ、でも今からじゃ・・・夕飯も食べてないし・・・だから今度、今度ね?
もしかしてだけど・・・今度は無いとか言わないよね?パパがあんな話するから・・・
ホント私って面倒な相手だよね?解ってるの、今までが今までだったから。」
いざパパに動かれると、やっぱり理解してくれて、何も気にしないなんて人、
いるわけ無いと思うし・・・
全てを掛けて私を守れなんて言われると、誰であろうと重たすぎて引くはずだし・・・
それに私の事、端から諦めるような人なら、何か微妙だし・・・
ほら、やっぱりかなり面倒くさい女だよね、私って。
だけど、だけどね、慶人は違った。今までの関わった人とは、別だった・・・違ってた。
だからパパは、反対じゃなくて、なんだかんだ言って実は認めてくれたんだと思う。
慶人に守らせるって事は、私と慶人は一緒に居ても良いってことなんだと思う。
だから今此処で慶人に、さっきの言葉を訂正されちゃうと、立ち直れないよ。
あの時、慶人は真剣にお祖父さんを見据え、そして一度深く頭を下げて話し出した。
それはまるで宣誓って感じの始まりだった。
『跡目の話、正式に受けます。全て放棄って話しは、撤回します。
爺さん、貰えるものは全部、根こそぎ俺のモノにする。そうと決めたら、親父にも
渡さねぇ。そうすることが真菜を手に入れる条件みてぇだし、真菜を手に入れれば
海藤は安泰だろ?だから爺さん、イヤ会長、真菜を守る為に海藤を動かしてくれ。
次期跡目が俺だと何かとうるさい輩も、ワタライって名前を聞けば黙るはず。
こういうことなんですよね、渡会さん。さっき言ってた価値の話。
今・・・俺の価値、少しぐれぇは上がりました?』
お祖父さんに向かって言い放った慶人の覚悟の宣言は、私を驚愕させ鳥肌まで
立たせたうえに、お祖父さんの目に涙を浮かばせた。
パパは、してやったりの顔で私を見る。何だか、パパの思う壺・・・。
とは言っても結局、パパは私に甘いのかもしれない。
慶人の言葉を簡単に引き出し、私のボディガードを強固のモノにした。
でも・・・もしあの言葉が、あの場限りだとしたら・・・やっと認められた彼氏って
存在なのに・・・諦めつかない。
でも慶人の事を思えば、やっぱり私って間違いなく相当なお荷物女。
厄介者の何者でもない。慶人の表情を伺う事が出来ず、俯く私。
『観覧車ねぇ・・・飯は後にして、急いで行くか?』
と、思いがけない慶人の声。
だから不意に顔を上げて慶人に視線を送ると、誰しもが瞬殺の最上級スマイル。
『真菜らしいな、観覧車なんて。今まで男と二人きりなんて乗れなかったんだろ?
あの監視下の中、男なんて作れるワケないよな。じゃ、俺が最初の男だな?』
「最初の男?えっ・・・えっっ・・・まだ・・・ソレは・・・ちょっと・・・」
『はははっ・・・まさかさっき親父さんと話したばかりなのに、いくら俺でもそんな
速攻で手はだせねぇ。期待はずれで悪いけど、今のは観覧車の話。
夜も10時頃まで営業してるはずだから、行ってみるか?』
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