春が来る5(天使番外) | 恋愛小説 くもりのちはれ

奈々&ナル~


バイクが赤い車を先導するように、綾倉の坊ちゃまは何処かへ連れて行かれた。


『どういうこと?まさか・・・だけど・・・アイツ消されちゃうの?』


ナルに事の顛末を確認するのが怖くなった真紀ちゃんが、私の耳元でささやく。


その声を聞いてナルが、声を上げて笑う。


『ははっははは・・・いくら俺でも殺しゃしねぇから・・・フッ、殺しはマズイっしょ。』


『そうですよね・・・犯罪ですもんね・・・でも、だったら・・・』


真紀ちゃんの頭の中と私の頭の中は、たぶん同じ思い・・・だったら・・・何するの?


そんな私達の頭の中の疑問に、ナルはオブラートに包んだような答えを出す。


『でも、殺りはしねぇけど・・・しちゃいけない事の分別がつくように罰を与える。


まっ、そうは言っても今回は、軽い感じの子供だましの脅しだけど。』


『じゃあ・・・もう、綾倉は・・・えっと・・・何もしてこないんでしょうか?』


ホントの所はナルが何をしたのか聞きたいのだろうけど、聞けるわけも無く・・・


言葉を選ぶように恐る恐る質問する真紀ちゃん。


そしてナルは、私だけを見つめて告げる。


『2度と奈々には近づかさねぇ。でもって、俺は大事なモノに手を出した奴は、


タダじゃ済まさねぇ。まして、ホントに触れたりする輩には、容赦はしねぇ。』


『・・・』


ナルの迫力に言葉もない真紀ちゃんは、この時から〝奈々ネェサン〟


私の事をからかう様になる。


真紀ちゃんを送り届けてナルの家に行くと、既にさっきのバイクの人たちが待っていて


ナルに近寄り、私に聞こえない様に何かを耳打ちする。


一通りの報告が終ると、その中のリーダーらしき人が『任務完了っ』と大きな声を上げ


皆一斉にバイクのエンジンを吹かし、大きな音を轟かせて走り去った。


呆然と遠ざかって行くバイクのランプを見てた私は、不意にナルに腕を掴まれ


『奈々、一年間何も俺に言わなかった理由、説明してもらっから。


ほら部屋行くぞっ!今日は帰れると思うなよ!』


と、引きずるようにナルの部屋に連行された。


ナルはどうやら私にも、容赦ないみたいだ・・・



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