王子、手に入らない存在に気付く6 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『報酬はお支払いします。


とりあえず今働いている夕方からのお仕事は、全てキャンセルしてください。


そして王子に対しての如何なる行為も全て、ビジネスとしてお考え下さい。』


どうやら私よりも、カエル王子の方が不幸せなのかもしれない・・・




スーパーのバイトが終って従業員通用口を出ると、私の前に現れた外国人。


S君でもP君でも無い・・・ただ何となく察するには、王子関係の偉い人だと思われる。


半強制的に連れてこられた高級ホテルのラウンジ。


行きかう人々は、殆んどが外国人で、唯一の日本人と言って良い制服姿の私は、間違いなく場違いだ。


頭を深く下げ、私の前に差し出した名刺。


Imperial administrato??? Manager???


「インペリアル・・・・???マネージャー???」


『簡単に言いますと、王子のお世話係の統括マネージャーです。』


「はぁ・・・???で、私に話って何ですか?


聞かなくても・・・何となく察しは着くけど・・・やっぱ王子の我が家滞在の件ですよね?


でも私から誘ったとか、無理強いしてるとか、そんなんじゃないんですよ。


ていうか、逆に私の部屋は占領されるし、お風呂はシャワー出しっぱなしだし、食費も光熱費も・・・


正直、困ってるのは・・・私って言うか・・・」


私の話に戸惑う表情のマネージャーさん。


そして『わが国では、王子と接することができる人間は限られています。』と、少し怒ったような口調


まずい・・・一国の王子様の事、酷く言い過ぎたかな。


『王子が貴方様のお屋敷において、日本の一般家庭の生活を経験させて頂いている事には


感謝いたしております。ただ・・・本来のご公務を蔑ろにされて、私達は大変困っております。


そこで提案なのですが、王子のパートナーとして貴方に公務のお手伝いをお願いしたい。


もちろん、報酬はお支払いたします。


大変失礼とは存じますが、貴方の家庭の事情も諸々、承知しております。


ですので、ビジネスとして王子とお付き合いして頂ければ、貴方も私達も円滑に事は済まされるかと。


悪い話では無いのでは?』


私が断るとは微塵も考えていない雰囲気。


テーブルに置かれた契約書類は、既に誰かのサインが記入されていて、私の名前を書くだけで


OKの状態らしい。そして・・・


『報酬はお支払いします。


とりあえず今働いている夕方からのお仕事は、全てキャンセルしてください。


そして王子に対しての如何なる行為も全て、ビジネスとしてお考え下さい。


とにかく報酬は、今の給与の10倍で如何でしょう?』と、契約内容の確認を始めた。


「ちょっとぉ・・・何か違うと思いません?!」


思いがけない私の否定の言葉に、目が点状態のマネージャーさん。


それでも、私は・・・そんな契約したくないもの・・・


「私と王子は友達だから・・・友達同士で契約って・・・私・・・そんな契約できません!!」


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