「なぁ、お前・・・えっと和田君だっけ?見た目からして、前の席の方が似合ってんじゃねぇ?」
出席番号順に並ぶ席に座ると、どうしても居心地の悪い最前列になる俺。
同じ列の最後尾の初対面のメガネの色白に声を掛けた。
『えっ?そんな・・・替わったりしたら怒られるんじゃ・・・』
「はいはい・・・てめぇが目がみえましぇーん!って言えば済む話だって。ほら早く、席立てよ!」
無理やり替わった席の居心地は、学校が学校なだけに最高ってワケにはいかないが、
今得られる一番マシな場所ってとこだ。
『ははは・・・おもしろい。このクラス特進Aだったよな?人は見かけによらないってマジだな。
俺、こんなトコじゃダチができねぇと思ってたけど、助かった。同じ匂いがするっ!
俺、脇田 陽(ワキタ ヨウ)仲良くしようぜ!名前は?』
前の席に座る、茶髪が話しかけてきた。とにかく1人ぐらいは仲間らしき味方を作っておくかな・・・
「俺、唯川 慶(ユイカワ ケイ)。」
陽は、名前を聞いた途端、俺の顔を指差す。そして嬉しそうに、声をあげる。
『すげぇ・・・噂のユイカワだろ?あのユイカワだよな?すげぇ・・・俺ダチになっても良いのかよ?』
何をそこまで・・・陽の興奮は止まらない。
両隣の真面目そうな奴等にも、同意を求めるように話しかける。
『知ってんか?ユイカワだぜ!普通じゃ近付けねぇんだぜ。おいっ、お前解ってねぇだろ?
このすげぇ状況把握できねぇって、頭ぜってい悪いって。イヤ、頭は良いだろうけど・・・
まっ、とにかく確立的には・・・この学校受かった事より難しいって事なんだって。』
ニッ、と笑って俺に視線を向けた陽は、なぜかピースサインを俺の前に差し出した。
つまらねぇと決め付けていた学校生活・・・ほんの少しはコイツで退屈しないで済むかな。
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