『それで、遅刻?』
隣の席のミキは、階段での事を小声で説明をすると怪訝そうな顔。
「うん。怪我はしてないけど、ちょっと座ってた。」
あの後、しばらくベンチに黙って座っていると、突然・・・
スーツ姿の人が、歩君に近づいてきた。
『奈緒・・・俺、ちょい行くとこあるから、誰かに送らせる。ごめんな。』
歩君は、俯く私の頭を優しくポンポンと撫でると、立ち上がる。
「あ・・・歩君・・・」不安そうに顔をあげた私に、少し微笑んだ歩君は
『改札で帰り待ってるから、前みたいに時間メールして』
そう言うと、スーツの人とバスターミナルの方へと歩き出した。
『奈緒ちゃん、どこも怪我してない?』
成君が声を掛けてきたけれど、歩君の背中を目で追いかける。
『奈緒ちゃん、学校まで送ってくよ』
私の視線を妨げるように前に立つミッキー・・・でも、私は見てしまった。
バスターミナルの向こう側・・・止まっている車・・・黒のベンツ。
別のスーツの人が助手席から降りてきて、頭を下げ後部座席のドアを開ける。
そして・・・乗り込む・・・黄色い髪・・・歩君。
ミキには階段での事は説明しても、歩君の事は言えなかった・・・
『警察は行かなかったの?もう完全にそれって犯罪じゃないっ!』
ミキの声が大きくなる。
『オイッそこ、うるせぇぞ』先生の怒声。
ばつが悪そうに舌を出すミキ・・・私も苦笑い。
そして、ミキは”後でちゃんと説明しなさいよっ”と、小さな手紙を渡してきた。
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