『奈緒ちゃん、やっぱモテんだな。
さっきの奴ら二人共、俺の事めちゃくちゃ睨んでたよな?』
ミッキーが睨まれた事が、嬉しそうに話し出す。
『焼いちゃってんだなぁ・・・ありゃぁ』
電車の窓に映る自分の姿をみて『そんな良い男かぁ?俺。』髪をかきあげると
『やっぱカッコいいよな・・・この髪型も・・・俺でも惚れる』自画自賛のミッキー・・・
坊主頭の成(ナル)君が『ははっ・・・お前、目見えてんの?』
ミッキーの髪の毛をくしゃくしゃに掻き回す。
『おぉ・・・これ良いじゃん。なんて言うの、鳥の巣ちっく。
髪の毛に目線が行くから、顔をカバーって、どう?いけんじゃん。』
成君のいつものミッキー弄りが始まる。『おいっ、ちょっ戻んねぇじゃん。』
必死にくしゃくしゃを通り越し、爆発って感じの赤い髪を整えようとするミッキー。
仲が悪いようで、ホントは凄く仲の良い二人。
ククッ・・・俯き笑う私に・・・『奈緒ちゃん、ちょっ・・・何笑ってんの?』
グチャグチャの頭のミッキーが、歩君の横に座る私の前に来る。
『わかんだろ、そのおめぇのボンバー頭がおもしれぇからじゃん。なっ?』
ちょっミッキーこっち来いよ・・・成君は、私の隣に座る歩君の様子を伺うように
チラリと歩君を見て、そして何かを察したのか・・・ミッキーを私から遠ざけた。
二人が向かいのシートに座ると、見計らった様に歩君が
『なぁ・・・何、言われた?』いつもの歩君とは違う・・・冷めた声。
『俺と関わるなとか、俺はヤベェとか?』
何で?・・・遠く離れてたし、聞こえてるはずが無い。
あの時、アキラには曖昧な返事をして・・・
アキラ達が立ち去るまで、歩君達には近づかなかったけど・・・
なぜ、そんな風にわかっちゃうの?
「・・・」
返事をしない私は、肯定しているかのようだ。何て言えば良いのだろう?
戸惑う私に・・・
『奈緒、もういいか?何も起きねぇ。だから、明日から一人で通学しな』
こちらを見る事もせず、眼を瞑ったままで・・・歩君がそう告げた。
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