桜は何色 | 恋愛小説 くもりのちはれ

『りんご飴でしょ、それとイチゴ飴、パイン飴、ブドウ飴・・・』


「リコ、で・・・ココには何をしにきたんだ?」


ふたりで歩く公園までの並木道。


桜が満開と朝のニュースでも中継されていただけはある。


駅側のこちらの通りは、いつもより人通りはあるが、まだマシで


公園を挟んだ反対側の通りは、駐車場に面していて、車も人も大混雑。


『目的は、やっぱり桜だけど・・・お楽しみもなくっちゃネ♪』


来週になると新学期になり、部活もそうそう休みは無い・・・


久しぶりのデートは静かな所が良かったんじゃないか?と思いつつも


リコのリクエストは『お花見に行きたい!』


「近くの公園で良いか」と思った俺は、昼過ぎにリコを迎えに行った。


で・・・第一声が・・・


『コウ君、ニュース見たっ?すごく綺麗なんだって・・・夜桜。』


あぁ・・・そうだったよな・・・昔からリコは、夜景とか花畑とか夕焼けとか・・・


景色たるものに目が無かったんだっけ。


「夜桜って、ライトアップしてるのか?」


『うん。そうなの・・・それに夜店がたくさん立ち並んでて、夏祭り並みなんだよ』


「ははっ・・・結局、好きなものづくしって事か。」


暗くなるまでの数時間、映画を観て過ごし、薄暗くなってから公園に向かう。


「ほらっ、コウ君・・・見て見て・・・はぁー綺麗だね。」


公園の入り口・・・俺たちの目の前に、満開の何本もの桜の木。


言葉をなくして見入るリコ。


「どうした?」


『んー感動・・・っていうか・・・綺麗なんだけど・・・散る儚さも感じちゃう。』


こういうのって言葉にできない・・・言葉に表せないね。


小さな声で独り言のようにつぶやく。


そうだな・・・確かに感動的だ。


儚くて・・・なんとなく胸が締め付けられるような・・・でも、何より愛しくて・・・


この感覚・・・何かに似ている。


横に佇むリコの顔を見ると、桜を見上げるその瞳に・・・涙。


その涙を見て・・・気付く。


儚くて、そして愛しくて・・・そうか・・・桜の花びらは涙に似てんだ。


ただの涙じゃなくて・・・リコの涙。そう、リコの涙に似ている。


「なぁリコ。」涙するリコの肩を抱き寄せる。


「来年も、再来年も、次の年もその次の年も・・・毎年見に来ようぜ。」


『えっ・・・うん。そうだね・・・毎年ね・・・約束ね』




白い光に照らされた薄ピンクの桜の花を見て、誓おう。


この先ずっと・・・君が流す涙は、桜色。


色の無い・・・悲しい涙は、決して流させないと。



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