原題:霍元甲

監督:ロニー・ユー

出演:ジェット・リー

    中村獅童

    スン・リー

    ドン・ヨン

    ネイサン・ジョーンズ

    コリン・チョウ(特別出演)

    原田眞人(特別出演)

    ネイサン・ジョーンズ(特別出演)


公式サイト

1910年9月14日、中国、上海において、世界史上初の異種格闘技戦が開催された。

日本人の武術家、田中安野(中村獅童)を含む外人四人を相手に、ただ一人立ち向かう中国人武術家の名は霍元甲(ジェット・リー)。欧米人に、病人のようだと揶揄された中国人の誇りを取りもどすため、彼は不公平と分かっていながら試合に臨む。だがそこにはさらにどす黒い罠が仕掛けられていた……。


著名な武術家の息子として何ひとつ不自由なく育てられた霍元甲は、父の諫めも聞かず、武術家に憧れ、天津一と呼ばれるために武術に明け暮れます。

しかし己の傲慢から、友の忠告にも耳を貸さず、試合相手を殺してしまい、その身内に自分の母と娘を報復で殺されてしまいます。

失意のあまり、川へ身を投げた(?)彼は、とある山村で目の不自由な娘に助けられ、農村の暮しになじむうちに、自然の音を聞き、謙虚な心を身につけて、再び戻ってくるからと娘に約束して、父母の墓参りのために天津に戻ります。

そこで列強の侵出により中国人同胞が虐げられているのを目の当たりにした霍元甲は、ただ勝つためではなく、武の精神を見せるために、異種格闘技戦に参加することとなります。

四人の異なる武術家と一気に試合うという、彼には不利なこの試合、最後の相手は日本人の武術家、田中安野。田中は試合の前に霍元甲と会談し、彼の深い精神に触れ、尊敬の念を抱いていたため、この不利な条件での試合をやめ、日を改めるよう申し出ますが、霍元甲はそのまま試合を続けます。

が、この異種格闘技戦を裏で操り、賭博もしている日本人黒幕(原田眞人)の手により、試合の途中で毒を盛られ、最後は半ば毒に侵されるようにして倒れるのでした。

しかし、田中は敢えて霍元甲を助けおこし、彼の勝利をアピールするように、彼の右腕を高く掲げたのです。


という感じで、中村演じる田中が、とてもいい人なのは、今風なのかもしれないけど、ちょっとできすぎな感じはしますが、中村が大変にアクションをがんばっているため(ジェット・リーのアクション指導があったそうな)緊迫したいい場面になっています。ほんと、中村がんばった、と言いたい。

私はアクションについては詳しくないので、素人目には、十分に戦っているように見えましたよ。

もっとも、本当の武術家同士が戦ったりしたら、おそらく映画の場面としては映えないでしょう。

演技者だからこそ見せられる武術っていうものがあるように思います。

ただし……剣道としてはどうよって突っ込みははいりそうだけどな(^_^;)。


あと、母と娘を失った霍元甲が川に身を投じて、どうして山村で助けられるのか、こればっかりは疑問だ~。

しかもなんか苗族っぽい感じの村なんですよねぇ。それ、川が逆さに流れないと無理だろーとか、そういう突っ込みしちゃいけませんか(^_^;)。


全体にちょっと抹香臭いのは、仏教徒であるジェット・リーの哲学が前面にでているためだと思いますが、それをもって、アクション映画っぽくないと考えるか、ジェット・リー作品として優れていると考えるか、見る人の好みだと思います。

私は……ちょっと倫理の教科書っぽいテーマは辟易しちゃうんですが、ジェット・リーの言いたいことはなんとなく分かるように思いました。


この作品は運良くプレミアで見ることができたので、生のジェット・リー、ロニー・ユー監督、中村獅童、原田眞人の話を聞くことができました。

ジェット・リーは始終ご機嫌という感じで、すっごくいろいろしゃべっていました。なんだろう、とても自分らしさがでた映画を作れたんだなぁという感じがしましたね。

ロニー・ユー監督が、いい感じにバックアップしてたのだろうなぁ。

中村&原田の話も面白かったし、これから映画を見るときに「見どころはここ!」っていうのがあって、気合はいりましたねぇ。

そのおかげでか、テンション高く見ることができて、ちょっと得した気分でした。

公開になったらもう一度見に行きたい、そういう映画です。

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董驃叔、逝く……。

テーマ:

著名な映画俳優である、董驃(とん・ぴう)さんが、お亡くなりになりました。享年73歳とのこと。

ご冥福をお祈り申し上げます。


すぐに題名が思い出せないのだけれど、アンディ・ラウとチョン・ゴッキョンが義兄弟(本当の兄弟だったのかな?)であれこれする映画の父親役が、すごく印象に残っています。コメディの多い董驃さんにしては珍しくシリアスな役柄でしたが。


李修賢が董驃と共演している作品としては、かの『ワイルド・ヒーローズ~義胆羣英』があります。黒社會から足をあらった衛(デビット・チャン)が魚屋になって、で、馴染みの店に魚を卸にいくのだけれど、途中で元ボス(衛にとっては伯父だったかな?)の葬式にでていたので遅くなって、魚の活きが悪いといって文句をつけるおっさん役でした。たぶん、衛が黒社會から足を洗うのに一役買っていたっぽい世話焼きなオヤジ風でしたねぇ。そういえばずっとあのオヤジは誰だったっけと思っていたけど、いま鮮明に思い出しました。そっか、あれが董驃さんだったんだ~。


もともと競馬評論家で、その人気から俳優になった人なのだそうです。面白い出身ですね。

彼の芸名が驃と馬へんなのも、馬好きが嵩じてのことだそうです。

とにかく父親役が多かったそうですよ。

天国では大好きな馬に乗っているのかなぁ。



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原題:殺破狼

監督:ウィルソン・イップ

アクション監督:ドニー・イェン

脚本:セット・カム・イェン、ワイ・ロン

音楽:チャン・クォンウィン、ケン・チャン

出演:ドニー・イェン、サモハン・キンポウ、サイモン・ヤム、ウー・ジン


公式サイト

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どこまでも悪に徹したサモハン・キンポウとそれを追うサイモン・ヤム、しかしサイモンは不治の病に侵され、彼の跡を継ぐドニー・イェンがやってきたが……。


冒頭からスタイリッシュな映像が飛び込んできます。黒社會の大物ウォン・ポウ(サモハン)を追い詰めるために証人を見つけ出したチャン・サー(サイモン)ですが、ポウの配下の手が伸びて、大事な証人夫婦は殺されます。残された娘を養女にしたチャンは、しつこくポウを付け狙うのですが、なかなかポウは尻尾をつかませてくれません。そんな中、チャンが送り込んだ潜入捜査官が無残に殺された姿で見つかります。怒り心頭に発したチャンとその仲間は、たまたま殺しの場面を撮ったビデオを入手します。ところが肝心の殺害シーンはポウじゃないので、これを改造しようと計画、しかしポウ側もビデオのコピーを入手して、ポウはまんまと無罪放免されます。

ここからポウの復讐が開始され、チャンの三人の部下はナイフ使いのジェット(ウー・ジン)に次々とやられていきます。目の前で部下(予定)を殺されたマー(ドニー・イェン)は、ポウのもとへ飛び込んでいったチャンを追って、自らも飛び込んでいくのですが……。


チラシの文句「組織暴力壊滅に挑む野獣刑事たちの過激な暴走! もはやそれは捜査ではない。男対男の命をかけた戦争だ!!」というのが、まぢです。

まぢすぎます。それでいいんですか>警察、とは言わないんだろうなぁ、香港映画。

何しろ、本当に女性がでてきません。女の子はそれなりにでてきますが。ポウの奥さんとか、すぐに証人の奥さんとかぐらい? いや、全然からんでませんよ。

このぐらい男度が濃い映画というと、やっぱり『ミッション(鎗火)』を思い出します。(あれに出ていたサイモンは、蛇の目をしたこわーい人でしたね。ここまで変わるんだから、ほんっとーにすごい役者だ)

でも、あれは最後の最後にちょっとした仕掛けがあって、小粋に終わるんですが……こっちは……。


冒頭、暴走気味のサイモン・ヤムが完全に主役をとってます。スタイリッシュな映像とあいまってモデル体型が映えます。背広です。ビバ背広!(すみません……わたくし、背広フェチなので)

が……いきなり脳腫瘍ですって?

いや、それはいくらなんでも、お定まりすぎませんか?

そのうえ、いくら悪の権化を追い詰めようっていっても、証拠改竄はいかんでしょー。

えーーーっ、証拠の弾丸をすり替える? いや、そこで血を吐かなくても……おろおろ。

そして、そんなサイモンの後釜としてやってきたドニー、頼むからお前も警官なら、もう少し頭を使ってくれ。いくらなんでも法的にまずいところまで自分たちを追い込むな。それじゃサモハンに負けておろーが。


いやはや、本当に、サモハンの悪役っぷりはすごいんですけど、あまりに貫祿があって、ほかが負けてます。つーか、この人相手に、そんな下手っぴぃな証拠改竄証拠隠滅で、いけると思ってんの? てな感じっすよ。いやまぢで。やられますけど。

あげく突っこんでったドニーとサモハンの最後の死闘は、そりゃあ死闘になるんでしょうと思うんですが、どうしてサモハンの部下がいませんか? なぜサイモン一人が吊るされたままですか?

ほかの警察どうしちゃったんですか?

いくらドニーがポリス・カードも拳銃も置いてきたからっていって、それでいいんですか。

いやもう、つっこみどころ満載です♪


そして。

最後、サモハンをつぶしたドニーさま、サモハンの身体の下から酒の瓶を……って、サモハンがのっかってどうしてその酒瓶がつぶれなかったのか、誰か教えて~♪

そして、吊るされたサイモンおろす前に、グラスに酒注ぐドニーさま。

「俺をおろしてくれないのか」というサイモンに、場内爆笑でした。

でもね、でもね、サモハンの息の根を止めていない気がするのよ……と思ったら……案の定。

サイモンのためにもうひとつグラスを出して酒をついでやるドニーさまの背後から……不死身のサモハンが(^_^;)。

そしてあっけないドニーさまの最後……えぇぇぇぇっ?!


全編「父」がテーマです。くさいです。えぇ。とっても。

サモハンは奥さんが二度も流産してなかなか子供ができない。でも三年後にはようやくベイビーができて、奥さんがかけてきた電話にも甘々な声です。(留置所だけどな)

サイモンは、脳腫瘍になったせいで、養女にした娘をずっと見守ってられないと悩み。

別れた奥さんとの間の娘との葛藤で悩む部下(なんていったっけ?)A(^_^;)。

父との葛藤を思い出して電話する部下ワー。

この二人は、そのあとすぐに、うっきょんことウージン演じるジェットにやられちゃうんですがね。

そしてドニーもまた、警察官であった父のことを語ったりと、実に「父」話満載。


それを象徴するように、サイモンと養女との海辺のシーンが、最初と真ん中と最後にでてきます。

いい具合にわけてます。

で、最後に波と戯れる娘をみながらサイモンは息絶えて……あ、あれれれ?

つまりみんな死んじゃうわけですか?

そりゃまぁ「狼よ静かに死ね」ではありますが。


てな感じに全編突っ込みをいれながらですが、楽しくみてきました。

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昨年九月以降、急性のアトピー性皮膚炎(重症ってやつ)で三カ月ほど寝たきりになっておりまして、映画みるどころの騒ぎじゃなかったんですが、ようやく復活してきました。

来週には『スピリット(霍元甲)』をみてきま~す。


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そして、ちょっと追加。

というより、くだらないネタなのだけど、私のひっかかる部分なので。


本来、警察というものは遵法組織でなければならないと思います。

が、往々にして香港映画においての警官は、この遵法組織から逸脱する形で描かれやすいです。

それは、香港における警察というもののあり方が、日本とはずいぶん違うこととも関係あると思います。

というのも、奇しくもこの映画が描いている1997年まで、香港における警察とは植民地支配者であるイギリス政府に帰属するもので、特に初期においては、トップ・エリート(日本でいうところのキャリアに相当する)はすべてイギリス人とかいう状況もありました。

イギリス人のキャリアが地元香港人の一般警官を支配するって構図です。

もともと中国という土地においては、支配者というのは他民族であるケースが多々あって、つまり「法」とはその他民族が自分たちを抑え込むために押しつけてくるものだ、という観念が強いのです。

したがって、往々にして、いかにその法律の網の目をかいくぐるか、というのが基本となるし、上がきつい時はとりあえず柳に風と受け流して、しかし服従しないというのも基本です。

だからかくのごとく警官が遵法よりも「俺の熱い気持がっっっ!」と叫んだ時に、共感してもらえちゃうわけです。

やられたらやりかえさないとすまないわけですが、これを法律を守ってやらなくても心情的に許される土台ってものがあるんじゃないかと。


あと、そんな香港警察なので、日本のように公務員になるということが社会的に保証されているわけでもなく、「黒社會の一員となるか、警官になるか」みたいに言われたこともあったようです。

実際に、幼馴染みの片方は黒社會に、片方は警察に、というケースは多々あるようで、だからこそ、警察と黒社會の馴れ合いというのもおきやすいわけです。

ただなぁ……1997年には、もうそういう形ではなかったような気がするんだけどなぁ。

これはたぶん、携帯電話トリックを使いたかったから、こういう時代に設定したんじゃないかと思うんですけどね。

あのネタ、60年代だったらすっごく納得できるんだけど、90年代だとちょっと……な気がしますよ。

って、突っこんじゃいけないんだけどさ~。


そして。

警察映画なら、我等が李Sir(と我々はダニー・リーのことをこう呼ぶ)が配役されたらどうなるか、考えずにはいられない。

……いられないけど、えっと……。

ケースその1。ドニーのかわりに李Sirだった場合。ドニーどころじゃない切れっぷりでサイモンが唖然とするぐらい派手にサモハンおっかけまくり……のような気がする。

ケースその2。サイモンの上司が李Sirだった場合。そもそもサイモンたちに暴走させる前に自分が暴走しそう……な気がする。

うはー、どっちにしても暴走かよ。

いや、そういう作品がすでにあるから、なんですが(^_^;)。


で、証拠がないのなんのとサイモンを諫めるあの上司、つまりは遵法精神旺盛な人なわけですが、こういうタイプはまったくもって受けないんですね、香港では。かわいそーに。

だから彼がサモハンに買収されてなくても、ただサイモンの暴走を止めるというその一点において、獅子心中の虫たりえるという……不思議なことになるわけです。

てかこういう展開、香港映画には実に多いよなぁ。


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