授業が始まって3日目の1限目に、

初めて「口語(会話)」の授業がありました。


私がいつもどおり、授業時間の5分前くらいに教室に入ると、

先生がすでに待っており、生徒は韓国の女の子1人だけ。

あとの生徒は全員堂々と遅刻・・・という信じられない状態でした。


その先生は、前期もこのクラスを教えていたらしく、

生徒もこの先生は怒らないと知ってのことだったようですが、

先生に対して大変失礼なことであり、信じがたい光景でしたね。


さて、口語というと、留学生にとってはいちばん重要な科目。

私も文法はこれまでかなり勉強していたつもりですが、

実際の会話になると、普段、中国語を話す機会がほとんどないので、

今回の滞在で、少しでも話せるようになればいいなあと思っていました。


クラス分け試験のとき、ヒアリング問題を読んで下さった先生、

会話試験でお話して下さった先生、そして、担任の国語の先生、

いずれも女性の先生でしたが、はっきりとしたきれいな発音で、

留学生に中国語を教えるだけあってさすがだなあ~と思っていました。


ところが、この口語の男の先生の発音を聴いてがっかり。

声は小さいし、発音にも少し癖があって、何とも聴きづらかったのです。

また、口語の授業では、テープを使ったヒアリング練習もありますが、

そのテープの質も悪く、本当に聴き取りにくいものでした。


それだけでなく、早速、会話の実践練習が始まりましたが、

私は緊張していたこともあり、先生の質問に全然答えられず、

1日目にしてお先真っ暗、不安でいっぱいになりました。


もともと、この5班のクラスというのは、

すでに蘇州大学で1年以上学んだ人たちの集まりだったのです。

ですから、みなさん簡単な日常会話はすでにマスターしている状態。


そんな中に、会話やヒアリングに慣れていない私が入ったのですから、

ついていけるわけがなかったのです。

「ああ、どうしよう・・・ついていけない」と何日も悩んでいました。


口語の授業は週3回あり、このままでは私自身も辛いですし、

他のみなさんの授業にも迷惑をかけることになるので、

週末に出された作文の宿題を書き上げた後、

最後に私の思いを書いて提出しました。


すると、返却されたノートには、

「一緒にゆっくりやりましょう!」というメッセージ。

先生のやさしさに触れたような気がして、涙が出てきました。


その後は、私も気が楽になりましたし、

テキスト付属のテープが配布された後は十分な予習もできるようになり、

少しずつですが、会話の授業にもついていけるようになりました。


木曜日の午後は、写作という作文の授業がありましたが、

言語学が専門というこの男の先生の話す言葉は、

私だけではなく、優秀な韓国の留学生も理解できないくらい

蘇州なまりがひどかったのです。


説明は、何となく教科書を見ていれば理解できましたが、

休み時間にせっかく声をかけていただいても、

全然何を言っているかわからなくて困ってしまいました。

いくら作文の授業だから・・・って、

留学生にこういう先生をつけるということが不思議でしたね。


ということで、いきなり言葉の壁にぶつかり、

一時は失望と挫折を味わって悩んだ日々もありましたが、

やさしい先生方やクラスメートに支えられ、

私は楽しい留学生活を送ることができたのです。