やっぱりアホだったバーニングマン | ヒザフェス2013

やっぱりアホだったバーニングマン

帰国して、あまりに多くの人から
「バーニングマンどうだった?」
と説明を求められるのが
だんだん面倒臭くなってきたので

CM業界人としては
ここは得意の「詳しくはWEBへ」のパターンだろう
ということで
「バーニングマン」がいかに
最高にアホな場所だったかということを
このブログに書いていきたいと思います。
基本的にどーでもいい話なので
読後には何も残りません。

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 やっぱりアホだった「バーニングマン」

日本でも近々
バーニングマンジャパンが開催されるみたいで
知ってる人とか、友達が行ったことあるって人を
よく聞くようになって来ましたが
実はもう20年以上もやってるアメリカのフェスで
世界で最もアホなフェスと言われています。

どういうものか簡単に言うと

「ネバダ州にある広大な砂漠にみんなで街を作って
 1週間お金を使わずに生活しながら
 音楽やアートやその他いろんなものを楽しむフェス。」

という感じでしょうか?
僕も今年初めて行ったので
もっと詳しくはWikiって調べてくださいな。

ちなみに、
ヒザは長年このフェスにずっと憧れを抱いていたのですが、
あいにく自分のフェスと毎年カブるので行けず、
しかし7年目を迎えたヒザフェスに密かにマンネリを感じ始めていた主催者は
2013年、思い切ってヒザフェスを「バーニングマン」で
開催してやろうと決意したのでした。

さて
なにがアホだったのかというと

☆アホポイントその1
 ~大規模すぎてアホ~

街の様子はこんな感じです。

$ヒザフェス2013

(Totally Cool Pix.comより以下写真拝借)

とにかく広い。
東京ドーム何個分だよおい!
このゴマ粒みたいなのの
ひとつひとつがテントであり
そこにアホたちの営みがあります。

この広大な砂漠に
6万8000人のアホが集まって
一週間暮らそうっていうんだぜ。
アホすぎる。

なんせ「街」なので
郵便局とか警察とか空港もあります。
砂漠の噂では今年から地下鉄も開通したらしい。
そんなジョークが、もしかしてほんとかもと
一瞬信じてしまうくらいの大規模さでした。

交通手段は主にチャリ。

$ヒザフェス2013


徒歩だと、不定期に襲ってくるストームに
視界と方向感覚を奪われ目的地にたどり着けません。
アートカーと呼ばれるバス
(エレクトリカルパレードの人が沢山乗れるバージョン)
が沢山走っているので
それに飛び乗って移動することも楽しい。


ちなみに、あまりの広大さに
2日目にして迷子になった我々ヒザフェスクルーは
途中で知り合った謎の日本人ギャルに
テントまで送り届けてもらい、
「砂漠に天使が舞い降りたー」と興奮していたものの
彼女の帰り道用にと貸した自転車が
見事にカリパクされる事件が起こり、
着いて早々、我々は足を奪われ
人間不信と街への恐怖心に苛まれるのです。


$ヒザフェス2013

(道に迷っていることにも気づかず、
 チンドン屋スタイルで街を練り歩くヒザバンド
 TOMOちゃん、RAZYくん &YOSUKEありがとう。)

☆アホポイントその2
~裸すぎてアホ~

どういう訳か
参加してる半分くらいの人が
昼間は半裸または全裸でした。
しかし、露出狂とか変態趣味みたいなエロさは
微塵も感じさせない、ごく自然な裸でした。
あまりに自然に裸族なので
「裸じゃないやつ、ノリ悪い」
みたいな空気になり
自分も思わず脱ぎそうになりましたが
肉体に自信が無かったので速攻でやめました。

昼の気温が40度を超え、
裸でいるとむしろ焼けそうなくらい
肌が痛くなるのですが、
白人の方は皮膚がお強いようで

チャリにまたがって
奇声を上げながら砂漠を爆走する
数千人の半裸女性が
俺の目の前を通りすぎていったときは
その度を超えたアホさに
ちょっと引きました。

さらに
頭に王冠を載せた全裸の
巨大な白人のおじいちゃんが
「カモンカモン」と言いながら
手に持った巨大なこん棒で
通行人のケツをぶっ叩く鬼畜の諸行をしており
その光景にはもっと引きました。

このくだりの写真は自粛いたします。
見たい方は来年行ってください。

☆アホポイントその3
~自腹具合がアホ~

バーニングマンの合い言葉の1つに
「No Spectators(傍観者になるな)」
というものがあり、
参加者は何かしらの表現を義務づけられます。
コスプレで人を楽しませてもいいし、
音楽が出来る者は楽器を奏でればいい、
コーヒーを淹れるのが得意な人間は
道行く人にコーヒーを振る舞えばいい。
表現方法はまったくの自由。

ちなみに我々も
頭にかき氷マシーンを載せて
道行く人に宇治金時を振る舞う
「Iceman」というパフォーマンスにチャレンジしましたが


$ヒザフェス2013
(リノのホテルでIcemanを仕込むYOSUKE)


前述の迷子になった道すがら
頭部も迷子になってしまい
2日目にしてアイスマンは死にました。
(Iceman was dead事件)
その後、我々の手元には
大量の白玉とあずきだけが残りました。
(キャンプのみんなで美味しくいただきました。)

自分が出来る範囲で
思い思いの自己表現をし
積極的に人に関わっていくことで
互いが互いに何かを与える(Give&Giveの精神)
好奇心と善意にあふれた
街が形成される素晴らしい仕組みなんだけど
それを20年以上もやってると
みんな段々エスカレートしてきて
巨大なオブジェを作ったり、
巨大なクラブを作ってガンガン音をならしたり、
巨大なトラックを電飾してバスにしたり、
巨大なバーを作って酒を振る舞ったり、
みんなが自腹で巨大な何かを作ってる。

$ヒザフェス2013
(手前のオブジェも奥のアートカーも誰かの自腹作品)

持てる限りのお金と時間と人的労力を費やして
年に一度のお祭りに参加している。
まるで町内会対抗のお祭りみたいに
「うちは今年は、30mまでデカくしちゃうぜいべらんめい」
「負けねーぞーこっちは500人規模のクラブ作っちゃうぜー」
「んじゃこっちは、火炎放射器つけちゃうぜーイェーイ!」
「なにー!ならこっちは羽をつけて空飛ぶぜーフォー!」

みたいなアホなノリで
互いの自腹を自慢し合うみたいな感じになってる。
(運営サイドよりお金もちょっとは出てるらしいけど、
 たぶんほとんど持ち出し、くわしくは知らんけど。)

ん?これってヒザフェスどころの騒ぎじゃないぞ。
ヒザフェスが100個集まっても敵わない規模で
お互い自腹自慢してる感じに
アメリカ人って引くくらいアホだなと思いました。

$ヒザフェス2013

(誰かの自腹アートカーのドラムシステムで
 すごいグルーヴを生み出したことにより一時的にスターになるヒザバンド)

☆アホポイントその4
~エンディングがアホ~

バーニングマンの名前のとおり
最終日の前夜に
「ザ マン」という人を形どった
木製の巨大なオブジェを燃やす儀式が
クライマックスなのですが、
その光景がほんとアホすぎた。

$ヒザフェス2013
(奥のアイツを燃やします。)

マンを燃やすのは土曜日の夜の9時。
円形になっている会場の
中心部にあるマンを見るために
6万人のアホが集結します。

ありったけの電飾をした
人やらチャリやら車やらが
まるで王蟲の群れのように
マンに向かってゆっくり集まってくる。
まるで台風のように中心に行くに従って
アホのヘクトパスカルが上昇していく感じに
なぜか異様な感動があった。

その台風の目にマンがいて
さっきまで騒いでいたアホなやつらが
体育座りでマンが燃えるのを今か今かと
待っている。
その顔を見ていたら
昼間はアホだと思っていた人々も
「とってもピュアないいやつら」
思えてくる。

安い花火ショーに
指笛をぴーぴーならしながら
テンションを上げるみんな。

そして
突然の
大爆発。

$ヒザフェス2013
(石原軍団も目じゃない火薬量)

燃やすっていうより
爆発じゃねーか!

マンからは100mくらい離れてるはずなんだけど
あっつ!バカ!バカ!バカか!
手加減の無い爆発の熱波が顔を襲う。

そしてマンが燃え尽き
崩れ落ちたと同時に
「フォーーーーーー!!!!」
という大歓声の嵐。

なんだろうこれは。

おそらく数ヶ月かけて作ったマンに
火をつけて、爆発させて、倒れたら
最後にみんなで「フォー!」って叫ぶフェスって
なんなんだろう。

「このあと数ヶ月かけて1つの灰も残さず掃除するの大変だなー」とか
「昨日、勢いでやっちゃった子とどうやったら別れられるかなー」とか
「帰ったら仕事のメールいっぱいたまってるんだろうなーやだなー」とか
「2日目に無くしたiPhoneのバックアップって取ってたかなー」とか
「これ帰り道、すげー渋滞なんじゃねえか?だってリノまで一本道だぜー」とか

アメリカ人も日本人も、フェスが終わるに連れて冷静になってきて
結局みんな同じようなことをあの瞬間まで考えてたんだろうけど
あのマンが燃え落ちるときの

「でも最後だから
 細かいことは忘れて感動しちゃえー」

みたいな空気の一体感がハンパ無かった。

そんな感動はいままで味わったことが無かった。

「日本から飛行機で11時間、サンフランシスコから車で10時間かけて来て
 砂漠で砂まみれになって、迷子になって、手足がかっさかっさになっても
 やっぱりバーニングマンに来て良かったー」

とまでは、まったく思わなかったけど、

とにかくそこは非日常の異様な異世界だった。
あまりに日常から遠い世界だった。


$ヒザフェス2013
(一緒に行ってくれたバーニングマンで最も有名な日本人パフォーマー
 浜崎健さんの野点パフォーマンス。まさに非日常)

シャワーもないし、テレビもないし、
ケータイも、PCも使えなないし、
飯はまずいし、砂まみれになるし、
昼はクソ暑くて、夜はクソ寒くて
まるで吉幾三の歌みたいな最低の場所なんだけど、

一瞬だけど、
「ずっとここにいたいなあ。」
って思ってしまったわけで。

毎日ただ起きて
飯食って、歌って、踊ってるだけなんだけど
うーん、悪くないぞ。この生活。
って思えてくる。
もしかしたらこれは夢なんじゃないか。
僕らは夢から出られないでいる
幻の砂漠の住民なのではないか。
ん?これじゃまるでビューティフルドリーマーではないか。
と気づいて、一人驚愕した。

バーニングマンに参加しているアメリカ人は
ほとんどが中流以上の方お金持ちが多い印象だったけど
彼らも、僕ら同様、
日頃スマホやら、PCやら録画機能付きテレビやらを
いじりすぎてるので、
こういう異世界を自分たちで作って
人とコミュニケーションしながら
家つくって、飯つくって、火を焚いて、裸で歌って踊るみたいな
プリミティブな時間を欲してるんだなあ。
俺たちと同じなんだなあ。
と、しみじみ鼻くそをほじりながら思いましたとさ。

と、長々書いてきましたが、

僕も
バーニングマンで得た経験をヒントに
日本でも裸祭りを開催してやろう!
この行き過ぎた文明社会のぬるま湯日本から
みんなを解放してやろう!

などとは微塵も思っておりませんので
変な期待をされないようお願いします。

ただ、
非日常のスペシャルな体験って
したいですよねー。誰でも。

さて、それって何なのかは
今後も探していきたいと思います。
だれかヒントください。

バーニングマンで無謀にも開催した
ヒザフェス2013は、結局日本からの
お客さんは0人でしたが、
とても晴れ晴れとした気持ちで帰国しました。

来年で8年目になるけど、
お客さん0人から
また作り上げていけばいい。
自分のやりたいようにやればいい。

バーニングマンに集まった
アホなやつら6万8000人が
そんな単純なことを
思い出させてくれました。
ありがとうバーニングマン。

「ヒザフェスは
 俺が楽しければ、それでいい。」

来年もやるかどうかは
わかりませんが、
もし万が一やるなんてことになった場合は
ぜひ、暖かく見守っていただくか、
出来れば足をお運びいただけたらコレ幸いです。

もしやらなかったとしても
いままでと変わらず、友達でいてください。

ではまた。

ヒザユウスケ

$ヒザフェス2013