APEC横浜が終了した。周辺住民は大変な迷惑を被ったようだ。飲食店の売上は通常の半分、マンションから外出するにも身分証明書が必要で、何度も警察官に止められる。交通は渋滞し、宅配ピザの配達は遅れてしまった。そんなこんなの大騒ぎのわりには、ポカーンと終わった。何でだろう。
まず、APECで議論されるべき内容よりも、日中、日ロの首脳会談に焦点が行ってしまったこと。これはマスコミの罪だ。とにかく現在のマスコミってのは、恣意的な報道が多く、国民の興味ある情報、知るべき情報というよりは、マスコミが「売らん」がための報道が多い。だから本当にAPECで話し合われて決定されるべきは何なのかという点よりは、目先の首脳会談に国民の耳目を導いたんだと思う。はっきり言えば、菅首相にチョンボしてもらって、それでもってマスコミは一斉に菅叩き、政府叩き、民主党叩きをし、視聴率を上げ、新聞の売上を増やしたかったのだ。見え見えである。
Trickの仲間由紀恵の啖呵ではないが、「お前たちのやろうとしていることは、丸っとするっとずずっとお見通しだ!」って感じだ。
ところが、このお見通しにまた、ドップリとはまってしまったのが菅総理だ!アホじゃないか。「ほーれ!見たことか!」と新聞各紙、TVのニュースショーやワイドショーが食いついた!まったくどこまで馬鹿なんだと、僕は怒りを通り越して、アホらしくなってきた。
まず首脳会談である。
何でも会えばいいってもんじゃないのは、子供でも分かるだろう!日中首脳会談で胡錦濤と会った時だ。いやー!僕は驚いたねぇ。メモ読んでる。メモだよ!原稿だよ!きょうびは、素人の披露宴の挨拶だって、原稿やメモなんて読まないよ!それが、日本のトップ、首相がだよ!メモ読んでるんだよ。そしてチラチラと上目づかいで相手を見てる。何て卑屈な態度だろうか!!相手の顔色を伺いながら、怖々と原稿を読む日本のトップ!胡錦濤は無表情だったんじゃなくて、びっくりしてどう反応していいのか、分からなかったに違いない。
彼は、それこそ菅なんかより数多くのトップ会議や首脳会談をこなしてきただろうが、一国の代表が原稿読んでる首脳会談なんて、恐らく初めてだったんじゃないかな?外交とは交渉である。交渉とは駆け引きであり、これは政治もビジネスも同じ事。生き馬の目を射るが如き、周到さとしたたかさがなければ、交渉なんかできない。しっかり相手の目を見つめ、なだめてすかして、脅して怖がらせて。それが交渉の現場ってもんじゃないかな。その発露、現れが首脳会談であり、そこでトップが向かい合って、合意するんじゃないのか?
あまり報道はされなかったけど、米ロ首脳会談も横浜で行われた。ニコニコと大きな笑顔で握手を求めるオバマ大統領。大げさに両腕を広げて、親しげに歩みよるメドベーチェフ大統領。そこで決まったことは・・・新STARTの年内締結合意だ。アメリカの臨界前とは言え核実験を激しく非難したロシアであったが、その後水面下でどのような交渉が繰り広げられたのか知る由もない。だが、首脳会談の席で、関係を回復し、締結の合意に至ったというのは、すごい!これが外交であり、首脳会談だと思うよなあ。
一方、日ロ首脳会談。何やら中途半端な笑顔でメドベーチェフを待つ菅首相。ちょっと怒った表情と厳しい視線。だが、口元には僅かな笑みを浮かべて歩み寄るメドベーチェフ。もう、見ただけで「勝負あった!」って感じだ。「北方4島は、日本の領土です」、「いや、ロシアの領土だよ」という双方の主張の違いを改めてトップが確認して、首脳会談は終わったそうだ。バカ!時間の無駄!面子丸つぶれ!
そして記者会見。「両国の首脳とお会いし、日本の主張は伝えた」と。バカ!もう救いようのないバカ!
「主張は伝えた」とはどういうことか。どのように主張をし、相手はどう反応し、何を決めたのか。これがないと、記者会見にも総括にもならんだろうが!こんなのは、会社で言えば主任クラスの報告だぞ。「中国と日本の間に領土問題はない」と言ったら、胡錦濤が「いや、ある」と言ったらしい。そんなのあるに決まっているだろう!
前原が言い出したロジックだが、相手が領土を主張した瞬間に、領土問題が発生しているんだよ。「それは過去に決着した話だ」といいたいのなら、そう言えばいい。「過去、あんたの所のトップと日本のトップが、あれは日本の領土だと確認した。なのに、再び問題を蒸し返すのか。国際社会はこれを認めないぞ。中国は世界で孤立への道を歩みかねないぞ」とはっきり言えばいいじゃないか。日本流の「腹芸」なんて、世界のどこへ行っても通用しない。あんなのは、徳川の長期差別統治と鎖国が生んだ産物だ。
まぁ、どうやら過去にも同意したわけではないようで、それこそ何百年も前の古びた手紙を持ち出して来て「ほら、中国の清の時代に、日本の領土と認めて感謝状を書いているでしょ?」と、たまげた理屈をいう学者もいた。
結局、APECが残したものは何だったのか。TPP参加に前向きに取り組むという、できもしないような宣言と、太平洋は一つの開けた市場ですから、という分かり切った理想の確認。
面子をなくし、世界を唖然とさせた、日本の総理、政府、官僚の無能さと、信用の失墜。周辺住民の多大なる迷惑と、かき集められた2万人を超える警察官、そしてそれらに投じられた莫大な国民の血税!
菅内閣の外交を指示しないという72%の意見、遂に危険水域を超えた28.5%という内閣支持率と、45.8%という不支持率。民主党の支持率は、自民党のそれと並んだ。
選挙だ!選挙が必要だ!あの民主党という恥さらし集団を表舞台から下さないと、日本は大変な事になるような気がする。
PS:こないだ、TV番組に麻生と阿倍が出ていた。何故か今にして思えば、頼もしく見えたのは、僕の錯覚だろうか・・・
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