◆東京六大学野球春季リーグ最終週最終日 早大6―5慶大(31日・神宮) 早大は先発・福井優也(3年)がリーグ戦初アーチを放つなど、5回3失点で今季無傷の3勝目。最速154キロ右腕の大石達也(3年)が、リーグ戦で初めて遊撃でスタメン出場。2回に先制のホームを踏むと、8回からはマウンドに上がり試合を締めた。雨中の接戦を制した早大は5季連続で慶大から勝ち点を挙げ、2位で全日程を終えた。

 いきなり大飛球をかっ飛ばした。降りしきる雨を切り裂いて、大石は全速力でベースを蹴った。「何も考えずに打席に入りました」2回1死、右中間へ三塁打。市丸の中前適時打で生還した。

 守備では真新しい黄色のグラブを手に、遊撃に就いた。公式戦で守るのは中1以来8年ぶり。「ど緊張してました。必死でがむしゃらにやってました」ぎこちないフィールディングも見せたが、5度の守備機会を無失策でしのいだ。

 応武篤良監督(51)の“秘蔵っ子”だった。「本当は3番ぐらいを打たせてやりたい。ショートに専念なら、上位も打てるんだが」試合3日前、監督自ら発注した遊撃手用のグラブを、大石に手渡した。投手兼遊撃手。指揮官が温め続けていたプランが、3年目で実現した。

 1点リードの8回からは守護神としてマウンドに上がり、最後を締めくくった。「ショートだけならキツイです。やっぱり自分はピッチャーがしたいので」7回の攻撃のとき、自らの打席の直前でも投球練習のためにブルペンへと走った。先発投手の座を勝ち取るために、剛腕はこだわりを捨てない。

 ◆大石 達也(おおいし・たつや)1988年10月10日、福岡・太宰府市生まれ。20歳。小2でソフトボールを始める。福岡大大濠では外野手として活躍し、2年秋に九州大会出場。3年夏は県大会初戦敗退。早大入学後に投手へ転向し、抑えで活躍。リーグ戦通算5勝2敗。182センチ、76キロ。右投左打。家族は両親と兄、姉。