参考資料161 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

「宇宙真理の真の真まで透徹し、ついには、前人未到の境地に邁進した春充は、その過程で恐るべき能力が次々と発現していったのである。それは「透視」、「超時間計算」、「数字なきの計算」、「物体の七転位」、「空中浮揚」、その他種々の超能力であった。もっとも春充自身は、超能力をあまり重要ではないと考えていたようだ。しかし、正中心を正しく鍛えることによって、だれでも超能力ぐらいは使えることを証明するために、数々の実験もしてみせた。それらを実際に見た人が、実験の様子を記しているので、いくつかを列記しよう。精神療法の研究者、梅田薫著『精神強化療法』のなかから透視に関する話を引用すると―――、「肥田氏はトタン板の眼隠しをしたまま、辞典や六法全書を相手のほうに向かせて自由に開かせ、それは何ページであるといって一字も間違えずに読んだ。また『隣の部屋へ行き、そこにあるどんな本でも自由に出して文章を半行でも1行でも読んできてください』というのでそのとおりにすると、肥田氏は『あなたは何という本の何ページのなになにの文句を覚えてきましたね』といったので、まったくきもをつぶした・・・・」明治神宮の貴賓室で、宗教界の最高幹部など数十名を前にして次のような実験を行ったこともある。春充は、表面が布で覆われた鉄板の深い“かぶと”を数枚重ね、頭からスッポリかぶって複雑な計算の実験にとりかかった。まずその前に、正面に張ってある2枚の白紙のうち、左側の紙に、20数桁くらいの数字を書きつけた。「これが答えだ」とあらかじめ予告する。人々の眼は、好奇の光を放つもの、あるいは批判的に冷たく笑うものもちらほら見えた。そして右側の白紙に、会場のだれでもいいから、勝手に何桁でも書きなさい、というので、同席の元海軍大将大本英輔が、口から出まかせの数字をいって、余白いっぱいに20数桁の数字を書きなぐった。それを春充は、“かぶと”で目隠しをしたまま、加減乗除の指示をする。「何桁目から2分してその両方の数字の差を求めよ」「何桁目の数字をもって、それにかけよ」「できた数字の1字1字を2乗して、その下に書きなさい」「その数字を全部加えて、今の数字にかけよ」・・・・などの計算をすること十数回、「これでよし―――その答えを左の白紙に書いた先の数字の下に書きなさい」834690512・・・・ピタリッ―――前の答えの数字と一致した。5とか3とかいう数は、初めから終わりまで互いにひとつもいわない。何桁書いたということも聞かない。固唾をのんで見ていた人々は、思わずため息をもらすと同時に、万雷の拍手を送った。
・・・・空中浮揚の例をあげてみよう。実際に目撃した人の話によると、春充はまず、磁石を腹の上に置いて横になった。そして静かに呼吸を整えたかと思うと、いきなり体がふわりと浮き上がった。そして次に、そのまま体を回転させた。北といえば北、南といえば南、といった具合に、体の向きを自在に変えることができたが、その向きは磁石の示す方角にピタリと一致していたという。また春充は、条件さえ整えば、他人を自身と同時に浮かせることもできたようだ。体験者の話によると―――、「部屋の天井には南北の方向に糸が張ってあり、それに沿って仰臥すると、先生は空中に浮き上がりました。そして驚いて見つめている私に向かって、下をくぐってみろとおっしゃるので、そのとおりにしましたが、確かに浮いているのです。やがて先生は、『君なら一緒に浮かせられるかもしれない』というではありませんか。半信半疑の私は、それでも先生のいうとおりに横たわると、『首はもうちょっと右、肩を下げて・・・・』などと指示されました。そして姿勢を決めた瞬間、私の体はスーッと空中に浮いたのです・・・・!」『旧約聖書』ばりに海を真っぷたつに割ったとか、春充の力を示す話は数限りなく残っている。しかし彼は、繰り返し、これらはすべて取るに足らぬものであり、宇宙真理の科学的実証の一片にすぎないと強調している。身体の力学的、物理的姿勢の修練からなる必然であるとし、奇跡を否定しながら、奇跡以上の奇跡を、白昼堂々と公開したのである。」
「鉄人を創る肥田式強健術」髙木一行著より

おまけ