10章75番の詩の解釈 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

Tant attendu ne reuiendra iamais,
Dedans l'Europe en Asie apparoistra:
Vn de la ligue yssu du grand Hermes,
Et sur tous Roys des Orients croistra.   (ノストラダムスサロンの原文)

久しく待望されながら彼はヨーロッパには戻らぬだろう
姿を現わすのはアジアであろう
徒党が大いなるヘルメスから送り出され
東洋のあらゆる他の権力を越えて彼は力を伸ばすだろう   (山根和郎 訳)


Tant attendu ne reviendra jamais,
Dedans l'Europe, en Asie apparoistra,
Un de la ligue yssu du grand Hermes,
Et sur tous Roy des Orients coistra.    (ロバーツ本の原文)

とても待望されているものは決して戻ってこないだろう

ヨーロッパの中には。アジアの中に現れるだろう

偉大なヘルメスから生まれた同盟の一人

そしてすべての人に対して東洋の王は沈黙するだろう   (10年以上前の自分の訳)


Tant attendu ne reviendra jamais
Dedans l'Europe, en Asie apparoistra
Un de la ligue yssu du grand Hermes,
Et sur tous roys des orientz croistra.  (ラメジャラー本の原文)

とても期待(予期)されるものは決して戻って来ないだろう

ヨーロッパの中には。アジアの中に現れるだろう

偉大なヘルメスから生まれた同盟の一つ(同盟からの一人)

そして東洋の全ての王たちを越えて成長するだろう


10年以上前に訳した時は、4行目の最後の単語を「coistra」で考えたので、辞書になく仕方が無いので「coite」(沈黙した)の動詞形の造語としたが、こじつけるつもりは全く無い。今回の「croistra」は「croistre」の未来形で「croître」(成長する、発育する、増大する)の古い形。一応、古語辞典には「enchérir」(越える、凌駕する)の意味もある。「sur」は英語で言う所の「on、over」。「apparoistra」は、「apparoir」(明らかになる)の未来形と解釈した(stが多い)。現代語では限定的で今回の場合は合わないが、古語辞典には「apparaître」(現れる、明らかになる)があるので「現れる」で訳した(前回は大乗和子氏の訳を参考にした)。


解釈

前回は「キリストの再臨」と解釈したが、新しい「キリスト教会」が現れる予言か。


参考資料

et commençant icelle annee sera faicte plus grande persecution à l'Eglise Chrestienne,que n'a esté faicte en Affrique,et durera ceste ici jusques à l'an mil sept cens nonante deux que l'on cuidera estre une renovation du siecle:                                                  

そしてその年の初めに、アフリカで創られなかったキリスト教の教会に、より大きな迫害がなされるだろう。そしてそれはここで、時代の革新があるとその人々が考えるだろう1792年まで続くだろう。      「アンリ二世への手紙」より


「1792年」は1章48番の詩の「7000年」と同じ意味と考えられる。また、ここで述べられている「キリスト教会」は従来のキリスト教会とは「別のもの」と思われる。何故なら、新約聖書「マタイによる福音書」第7章13節に「狭い門から入れ。」とあり、現在のキリスト教の入り口は巨大だからである。