参考資料3 | シフル・ド・ノストラダムス

シフル・ド・ノストラダムス

ノストラダムスの暗号解読

10年ぐらい前に書いたものを、1年ぐらい前にまとめ直したもの。


1章49番の詩
Beacoup,beaucoup avant telles menees,
Ceux d‘Orient par la vertu Lunaire,
L‘An mil sept cens feront grands emmenees,
Subjugant presque le coin Aquilonaire.


ある策略の遥かずっと以前
空想的な力によっての東洋の人々
先導された偉大な者達が1700年を作るだろう
アキロンの一隅をほとんど魅了している


1700年の「年」(An)という文字が大文字になっている事とノストラダムスの墓の中には1700年と刻まれた一枚の金属板が入れられていた事を考え合わせると、1700年とは1章48番の詩の7000年、つまり「別のもの」がその王政を保つ時、即ちキリスト教で言う所の千年王国が実現する時を暗示していると考えられる。(7や17は、カバラでは特別な数字)因みに、年号は全て暗号と考えているが、息子セザールへの手紙の3797年だけは西暦と考えている。


訳の解説
censは、cent(100)の古い形。ferontは、faire(作る)の3人称複数の(単純)未来形。grandsは、名詞として「偉大な者達」、emmeneesは、emmener(先導する)の過去分詞とした。(英語と違ってフランス語には、形容詞や過去分詞にも男性形女性形、複数形がある。grandが男性形なので、emmeneeのeが一個多いような気がするが、後で述べるように文字でも韻を踏んでいるのかもしれない。)また、倒置形を使っているので「1700年」を強調したいものと思われる。subjugantは、subjuguer(魅了する)の現在分詞とした。aquilonaireは辞書にないが、luneとlunaireで「月」と「月の」の関係なので、aquilonとaquilonaireで韻を踏ませて、de Aquilon(英語で言う所のof Aquilon)としないで「アキロンの」を表したと思われる。(meneesとemmeneesでも韻を踏ませている。)因みにAquilonの意味は、「北風、烈風、北」だが、何を暗示しているかは分からない。一般的には、ロシアの暗示と言われている。


因みに、この原文は「ノストラダムスの大予言・原典」(たま出版)から引用したが、この原文があまり当てにならないという例を挙げると、


2章46番の詩
Apres grand troche humain,plus grand s'appreste.
Le grand moteur les siecles renouvelle,
Pluye,sang,laict,famine,feu,& pest;
Au ciel veu,courant longue estincelle. (ロバーツ本の原文)(「ノストラダムスの大予言・原典」の原文)


Après grant trouble humain plus grand s'appreste
Le grand moteur les siecles renouvelle:
Pluye, sang, laict, famine, fer et peste,
Au ciel veu feu, courant longue estincelle.  (ノストラダムスサロンの原文)


Apres grand trouble humain,plus grands'aprest(e)
Le grand mouteur les siecles renouvele.
Pluie,sang,laict,famine,fer,& peste
Au ciel veu,feu courant longue estincele. (ラメラジャー本の原文)


1行目の「troche」という単語は、ロバーツ本だけで、また、前回も書いたが「もとのガランシエールの版自体に変則的な異文が多い」(ノストラダムスの大事典より)とあるので、全く当てにならないとしようとしたが、この「troche」という単語、1872年から1877年までの1冊の辞書にしか載っていない。つまり、ノストラダムスの時代はもとよりガランシエールが編纂した1672年にもなかったと思われるので、ガランシエールが恣意的に書き換えたとも思えない。「trouble」の方が書き換えられているとも思えないので、現時点では判定のしようがない。因みに、「troche」の意味は現代フランス語の古語辞典がない(入手予定)ので断言出来ないが、「貝の種類」のような意味。(五島勉氏は「消費」と訳しているが、どこから持って来たのか分からない。)因みに、自分が10年ぐらい前に解釈した時は、訳しようがなかったので、「tronche」(頭、顔)として訳した。一応、「ノストラダムスサロン」の訳文と一緒に挙げると、


眼をおおわしめる惨禍が人類を襲った後 さらに大いなる災厄を見舞う
諸世紀の大循環が更新されるとき
雨 血 牛乳 飢餓 戦乱 疫病
空に見えるのは火 火花の尾をひきずる火の玉  (山根和郎 訳)


偉大な人類の頭の後に、もっと偉大なものが準備する
偉大な主導者が何世紀も変革する
雨、流血、俗人、飢餓、火、そして疫病(有害な人)
空で長い火花が流れているのが見られる     (10年ぐらい前の訳で今回見直していない)


「tronche」は現代語のようなので、いい加減な訳をしたなと思うが、「appreste」も1694年の辞書からの単語なので、もしかしたら・・・・。


因みに、1章49番の詩に関して言えば、「an」の「A」が大文字になっているのはロバーツ本だけだし、「ノストラダムスの墓の中に1700年と刻まれた1枚の金属板が入れられていた」という話も「MMR(マガジンミステリー調査班)2巻」(講談社)に載っていただけで、裏を取っていないので全く当てにならない。(ピーター・ラメジャラー著「ノストラダムス予言全書」79ページに、「1700年に彼の墓があばかれたという事実は地元の歴史に記されていない」とある。因みに、金属板ではなく、首にかけるようなメダルという話らしい。さらに、1792年や1793年説もあるらしい。)補足3


訂正と補足

「appreste」は「apprester」の活用形で、「apprester」は1606年の辞書にも載っている。(訂正)

「troche」は、最近入手した古語辞典には載っているので、ノストラダムスの時代にもあったようだ。その意味は、「Sarment」とあるので「〔ブドウの〕若枝」。(訂正)


偉大な人類の若枝の後に、もっと偉大なものが準備する
偉大な主導者が何世紀も変革する
雨、流血、乳母、飢餓、火、そして疫病(有害な人)
空で長い火花が流れているのが見られる      (訂正)


「ヨハネの黙示録」第5章

「わたしはまた、御座にいますかたの右の手に、巻物があるのを見た。その内側にも外側にも字が書いてあって、七つの封印で封じてあった。また、ひとりの強い御使いが、大声で、「その巻物を開き、封印をとくのにふさわしい者は、だれか」と呼ばわっているのを見た。しかし、天にも地にも地の下にも、この巻物を開いて、それを見ることのできる者は、ひとりもいなかった。巻物を開いてそれを見るのにふさわしい者が見当たらないので、わたしは激しく泣いていた。すると、長老のひとりがわたしに言った、「泣くな。見よ、ユダ族のしし、ダビデの若枝であるかたが、勝利を得たので、その巻物を開き七つの封印を解くことが出来る」。

 わたしはまた、御座と四つの生き物との間、長老たちの間に、ほふられたとみえる小羊が立っているのを見た。それに七つの角と七つの目とがあった。これらの目は、全世界につかわされた、神の七つの霊である。小羊は進み出て、御座にいますかたの右手から、巻物を受けとった。巻物を受けとった時、四つの生き物と二十四人の長老とは、おのおの、立琴と香の満ちている金の鉢とを手に持って、小羊の前にひれ伏した。この香は聖徒の祈りである。彼らは新しい歌を歌って言った、「あなたこそは、その巻物を受けとり、封印を解くのにふさわしいかたであります。あなたはほふられ、その血によって、神のために、あらゆる部族、国語、民族、国民の中から人々をあがない、わたしたちの神のために、彼らを御国の民とし、司祭となさいました。彼らは地上を支配するに至るでしょう。

さらに見ていると、御座と生き物と長老たちとのまわりに、多くの御使いたちの声が上がるのを聞いた。その数は万の幾万倍、千の幾千倍もあって、大声で叫んでいた、

「ほふられた小羊こそは、力と、富と、知恵と、勢いと、ほまれと、栄光と、さんびとを受けるにふさわしい」。

 またわたしは、天と地、地の下と海の中にあるすべての造られたもの、そして、それらの中にあるすべてのものの言う声を聞いた、

「御座にいますかたと小羊とに、さんびと、ほまれと、栄光と、権力とが、世々限りなくあるように」。

 四つの生き物はアァメンと唱え、長老たちはひれ伏して礼拝した。」               (補足)


訂正と補足2

2章46番の詩の4行目の「laict」という単語。10年位前に訳した時は、辞書にないので、仕方なく「laïc(laïque)」(俗人)としたが、古い辞書の横断検索では「laict」でヒットし、古語辞典の「lait」の項に「laict」の文字がうかがえるので、古語の「lait」で考えると「nourrice」(乳母)。よって、俗人を乳母に訂正。(他の例は、「nuit,nuict」「point,poinct」など古語の法則らしい。)

参考資料

1巻67番の詩

大飢饉は近づきつつある予感、
頻繁に向きを変えては、あまねく世界に広まらん。
そは大規模にして永きにわたるゆえ、もぎ取ることにならん、
木から根を、そして乳房から子どもを。
(高田勇・伊藤進訳『ノストラダムス 予言集』77頁)


「その日には、身重の女と乳飲み子を持つ女とは、不幸である。」 

                                新約聖書「マタイによる福音書」第24章19節より
http://www42.atwiki.jp/nostradamus/pages/634.html