もう去年の話になるが、

東海道新幹線で人身事故によるダイヤ混乱に巻き込まれて、

新大阪~東京間に6時間もかかったという話を

11話に及ぶ連載で書いたことがあった。


それにしても、そんな人身事故の悪夢が

私を再び襲うことになるとは・・・。

そして、今度は自分の乗っていた電車が人身事故を起こすとは・・・



それは、3月3日の土曜日。

この日は母が大阪にやってくるということで、

新大阪駅へと向かっていた。


私は待ち合わせ時間よりも20分くらい早く着く電車に乗った。

このとき私は「この電車に乗れたから大丈夫」と思っていた。


ところが、その電車が途中の駅に到着しそうになったとき、

悲劇が幕を開けたのである。



普通に駅に止まったので、

乗客が乗り降りするのだろうと思いきや、



「この電車は人身事故を起こしましたので、緊急停車をしました。

ただいま運転士が救助に向かっております。しばらくの間、お待ちください」

というアナウンス。


まあ、普通に人がホームから線路上に落ちただけの緊急停車なら、

すぐに電車も動き出すのだろうが、そんな様子もなく・・・。

私の乗っていた車両付近に、大勢の人が集まってきた。



この様子を見て、嫌な予感がした・・・。

そしてその予感は的中したのだった。


事故現場付近にいた子供が話していた。



「上半身しかない体が運ばれていた」



そう、この人身事故には死者が出たのである。

そして、その車両付近は血痕が飛び散っており、

向かいのホームの下には、ビニールシートの下に

遺体らしき生気を感じさせないものが横たわっていた



これは大変なことになった。

そして、前回の教訓から、

これはこの後、現場検証があったりして、

少なくとも30分は立ち往生するだろう・・・と悟ったのである。