自民党票は「民意」か
安倍晋三氏が自民党総裁に決選投票で当選して以来、党員投票で過半数を獲得した石破茂氏こそ民意を代表したもので、国会議員票で逆転勝利した安倍氏には正当性がない、といった意見がメディアで横行している。
民放テレビのワイドショーで、タレントやスポーツ選手の成れの果てが、したり顔で発言するのは「無知をさらけだしただけのご愛嬌」ですませてもよいが、NHKの「クローズアップ現代」で国谷裕子キャスターまでが同趣旨の発言をするのを聞いては、小言を言っておかねばなるまいと思う。
石破氏が、自民党票の55%の支持を得たことについては、彼の努力や人気のバロメーターとして評価するのにやぶさかではない。しかし、これはあくまで80万人にも満たぬ自民党員を対象としたもので、一般国民の民意とは何の関係もない。一方、国会議員は民意を代表していないというなら、私たちがとっている代議制民主主義とは何か。根本から否定することになるのに気がつかないのか。
国会議員の多数を占める衆議院でいえば、小選挙区選出議員は一人10万人を超える有権者が、投票所まで足を運んで氏名を書いてくれて当選している。これが民意と無関係というのか。
自民党秋田県連の幹部4人が「民意を否定された」といって県連の役職を辞任するという報道には唖然とした。国会議員票(一人1票の計198票)と地方党員票(計300票)の合計のうち、第一回投票で過半数をとる候補者がいなければ、国会議員だけの決選投票で当選者を決めるというのは、自民党総裁公選規定で定められたルールである。
自分たちで決めたルールを嫌だというポン助が、県連幹部を辞めたいというなら、辞めてもらえばいいだけの話である。お判りか。