【はじめに】
パクリタキセル(商品名:タキソール、アブラキサン)とカルボプラチン(商品名:パラプラチン)という2つの抗癌剤を併用して行う治療は、TC療法という。
抗癌剤を投与した週を1週目として、2~4週目を休薬とする。
これを1クールとして、投与を繰り返す。
私が子宮頸癌右肺門部および縦隔リンパ節転移に対する放射線治療の後療法として受けている治療は、weeklyTCと呼ばれているものだ。
週に1回、通常のTC療法よりは少ない量の抗癌剤を投与し、1~3週目まで続け、4週目は休薬する。
これを1クールとして、治療を繰り返す。
ところが、私の場合は副作用として骨髄抑制(白血球や血小板の減少)が強く、治療を予定通り進めることが出来ていない。
治療前、骨髄抑制は2~3週間後がピークであると説明を受けた。
また、多くの患者向けパンフレット等には骨髄抑制は10日~14日目ごろに起こると書かれている。
これは、白血球の減少に焦点を当てていると思われる。
また、副作用の出方には個人差が大きい。
私の場合、3月で3クール目の治療になるが、1~2クール目は12月まで行っていた放射線治療の副作用とも重なり、放射線治療、抗癌剤治療がそれぞれどの程度影響し合っているのかを推定することは不可能であった。
そこで、放射線治療による骨髄抑制がほぼ消失したと考えられる今、weeklyTCによる副作用について検討する。
※注※
白血球は、その中に数種類の細胞が存在する。
好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球、などであり、それぞれ異なる役割を果たしている。
例えば、好中球は細菌感染を起こした時に、細菌という異物の排除に重要な役割を果たす。
これら種々の細胞の総称を白血球と言い、白血球数(あるいは白血球全数)とは、これらの総数のことを指す。
【血球算定データの推移】
図に、最近5週間程度の血球算定データの推移を示す。
図:2014年3月16日~4月20日まで血液データ(再掲)
図中、水色の棒グラフは、白血球数である。
3月11日 3クール目1回目 weeklyTCを行ってから、約2週間、
3月18日 3クール目2回目 weeklyTCを行った後、約1週間で白血球数は最低値となった。
それ以後は、さらなる白血球減少は認められず、徐々に回復してきている。
即ち、3月23日の時点では、3月11日と18日投与分、双方の影響が重複しており、それ以後は回復してきている、と言える。
やはり私の場合も、白血球減少のピークは、抗癌剤投与後10~14日目のようだ。
赤血球を赤色●、ヘモグロビンをオレンジ色●の折れ線グラフで示す。
赤血球やヘモグロビンについては、ダメージを受けずに済んでおり、横ばいが続いている。
続いて、血小板について考える。
血小板は、図中むらさき色▲の折れ線グラフで示す。
3クール目の1回目の投与から、およそ1ヶ月も経ってから血小板が減少し始め、3クール目の2回目投与から1ヶ月してもまだ減少し続けている。
主治医の説明が私にも当てはまるのであれば、今が血小板数の最低値であると推測される。
【考察】
もし抗癌剤治療によって白血球が減少したとしても、最低限の免疫能を保ちながら(個人的に使いたくないG-CSF製剤を使うことなく)感染を起こさずに回復できれば良い。また、血小板が減少したとしても、一般に5万/μLを下回らなければ、問題となるような出血は無いと考えられている。
ここで興味深いことは、私の場合、白血球が減少する時期と血小板が減少する時期とが、あまりオーバーラップしていないことである。
私の場合、weeklyTCにおける白血球減少のピークは10~14日目頃であり、血小板減少のピークはそれより遅れて1ヶ月目以降に始まり、2ヶ月目以降にも遷延していることが今回分かった。
これは、weeklyTCでありながら、1ヶ月に2回以上投与すると、私の場合その後治療できない期間が長くなることを意味している。
もし、今後もweeklyTCを継続していくのであれば、数値が院内の投与基準をクリアしていたとしても1ヶ月に1回の投与に留めるほうが結局コンスタントに治療を継続できる可能性が高い。
また、一般にパクリタキセルよりもカルボプラチンのほうが血小板減少を惹き起こす確率が高い。パクリタキセルはむしろ血小板増加が副作用として挙げられているほどである。このことからweeklyTCではなく、パクリタキセル単剤として治療を継続する、ということも考慮すべきであろう。
ただ、パリタキセル単剤でどの程度効果が期待できるか、と言えば非常に希薄ではあるが、何もしないよりは良いのかもしれない。
今後、抗癌剤治療を継続するに当たっては、これまでの副作用の出方を考慮して、今後の治療内容や治療スケジュールについて主治医と検討していきたい。
【結語】
抗癌剤の副作用の出方には個人差が大きいので、あくまでも一症例として捉えて頂きたい。
このように、個々人におけるデータの推移を並べて自ら検討し、治療方針の決定に際しては積極的に意見する姿勢を持つことが出来れば、治療に対する理解が一層深まり、ひいてはより良い医療につながることが期待される。