今日は、主治医と話した内容、母の面会、放射線治療のスタート、そして放射線皮膚炎、放射線宿酔と盛りだくさんな一日であった。

あえて、これら全部書くことにする。

今朝、若い主治医が部屋に来て、入院時の白血球が2100/μL(やはり2400ではなく2100)しかないので、今日すぐの化学療法はできないが、放射線治療は予定通り開始する、ということを説明に来てくれた。

入院時に再検した組織診では、正常の細胞だった、というのだ。
もちろん、癌が治った訳ではなく、よく狙いを定めて取ったのに、癌細胞が取れなかったということだ。
私の場合、内頚部型という、子宮の内側から外に向かって癌が増殖進展してくるタイプであった上、化学療法が効いていて、外見は正常そうにも見えるらしい。その中でも癌っぽいところを採取したのに、ハズレだったらしい。
これについては「残念だったね~。」と、ニヤリとしておいた。

しかし、前の大学病院に、私が扁平上皮癌ということを確認しているし、扁平上皮癌に対する抗癌剤で効果が見られているので、扁平上皮癌として治療を進めることになったようだ。

主治医に聞くと、化学療法後の骨髄抑制は、一度増えていた白血球が再び減る、というような、遷延の仕方もあるとのこと。
こればかりは、食事、運動などの努力ではどうにもならない。
後は薬の追加処方をお願いした。

一応、手術は無しってことですね、と確認したが、現時点では無いです、という返事だった。


その後、10時半には放射線治療に呼ばれた。
どうも、初回の放射線治療を始めるつもりだったらしい。

しかし、受付の人に「初回治療の前に先生と話したいです。」というと、すぐにナースがやってきたので、以下のことを話した。

前回の診察では、先生はその前に私と話していたことをあまり覚えていない様子だったし、昨日CDの画像を見てもらったが、その後決まった治療計画をまだ見せてもらっていない。

そして、治療の1時間前には連絡してもらいたい。
まず、トイレに行っておいて、膀胱に少量の尿がたまっている状態にしておきたい。それによって治療の時には膀胱粘膜の放射線障害を最小限にしたい。
治療の時に血中濃度が最大になるように、放射線障害を最小限にする目的でビタミン剤を飲んでおきたい。

すると、ナースはとても好意的に私の要望を受け止めて、まず放射線技師のところに行って、私の要望を伝えてくれた。
次に、放射線治療担当医の診察が受けられるよう手配してくれた。

10分もしないうちに治療担当医との面談を受けられた。
そこで、私の治療計画を見た。
全骨盤照射(4門)、最大線量50Gy、中央遮蔽あり。
子宮と膀胱は今回の放射線治療の照射野には含めず、途中20か30Gy当てたところからRALSで照射する予定。
(従って、尿量のことはほとんど心配しなくて良いことが分かった。)
全骨盤照射の範囲に、左鼠径リンパ節部も含まれており、安心した。
しかし、PET画像では、左鼠径リンパ節に明らかな集積は見られなかったけれども、腫れていたと気にされていたので、予防的照射ということで照射野に含めることにした。
放射線障害については、下痢はまず起こる。後は、そう心配しなくて良いと思う、と。

…あら、放射線障害の説明、軽いのね。でも私にはそのくらいで良い。
事前に予防策のある皮膚障害以外は、何か起こってから「ああ、そういうこともありますね。」ってくらいでちょうど良い。
これでも、気から病になるタイプ。

そして、全部の治療が終わってから、傍大動脈、及び左鎖骨上窩リンパ節部への照射の予定、とのことだった。


さて、その説明が終わって病棟に戻り少しすると、母が来た。
今日、婦人科の主治医からの説明を一緒に聞いてもらうためだ。

婦人科の主治医からの説明は、
元々、4cmくらいあった子宮頚部の腫瘍は、今は3cm弱にまで縮小している。リンパ節転移も、ほとんどよく分からないくらいになっている。

そこで、今度は放射線治療を行う。放射線治療の効果を高めるために、化学療法と温熱療法を併用する。
入院時の組織検査で、腺癌っぽい所見だったので、そうすると化学療法はよく効くけれども、放射線治療にはあまり反応しないので、手術が第一選択になる。
でも、扁平上皮癌ということで治療する。そうすると、扁平上皮癌は放射線治療がよく効くタイプの癌なので、放射線治療をする。そして、放射線治療の効果を高めるために化学療法と温熱療法をする。
化学療法は今までより種類も量も減らした化学療法をする。

しかし、入院時の白血球が2100しか無かったので、すぐに化学療法は出来ない。とりあえず、次の火曜日まで待って、血液検査の結果が良ければ化学療法を行う。もし、まだ化学療法出来るほどに回復していなくても、温熱療法は始める。
だから、今度の火曜日が一番忙しくなる。

今後は、最初の2週間は放射線宿酔、その後は下痢と骨髄抑制に注意が必要。しんどい治療になると思う。

放射線治療は、骨盤部と上のリンパ節とに分けて、二期的に行う。

依然として腫瘍はある訳で、決して楽観視はできないが、今は事態が好転している。


「何か、言っておきたいことは?」との問いに、私からの希望とその回答。

白血球減少の対策として、アンサーやセファランチンを使いたい。
→放射線治療が始まりましたので、もう今日から使えます。
アンサーは月曜日と木曜日の週2回、セファランチンは、
同じような時に使う漢方薬があるけれど、正直それ程効果が期待できない。

使わないよりマシかな、という程度?
→そうですね。じゃあ、出してください。

漢方薬はセファランチンなどと併用出来る?
→アンサーとは併用できますが、漢方薬(味が)マズいですよ。

分かりました。じゃあ、試しに3日分ほど出してください。
→そうしましょう。(セファランチンはやめて、十全大補湯に変更)

更年期障害も嫌だけれど、骨粗鬆症も嫌なので、ホルモン補充を受けたい。
→放射線治療を受けてしばらく経ってから、卵巣機能が落ちてくるので、
その頃に採血してホルモンの量を測定しながら補充を考えていきたいと思います。


大変納得できた。

仮に、腫瘍が球体だったとして、直径4cmの腫瘍が直径3cmになったとすると、体積はどのくらい減ったのだろうか。
球の体積の公式 (4/3)πr^3から、半径r=2のとき、約18.85cm^3。半径r=1.5のとき、7.95cm^3。
半分以上体積が減っていることになる。

そんな事を母に言っているうちに昼食の時間になり、母と売店に寄って、院内の喫茶店に行って、お茶をした。

さらに、母と敷地内散歩に行った。

お茶しながら、散歩の道すがら、家での他愛ない話をいろいろと聞いた。
「入院前、私が作り置きして冷凍したおかずを温めて食べているが、家族がそれぞれ好きなものを食べているので、一緒に食べていても、まるでレストランに行った時のように、皆メニューが違う。」とか、「今日はウサギが顔を洗っていた。」とか。

長い時間では無かったけれど、楽しく過ごした。

15時に散歩から帰ったら、「16時に放射線治療に行ってください。」という1時間前連絡が来た。

関係無いと分かっても、何と無くトイレに行き、15時15分にはリポ・スフェリックビタミンCと、L-システインカプセルを飲んだ。

15時20分ごろ、教授回診があった。
回診前、主治医がわざわざ「テレビドラマであるやつみたいに、ゾロゾロ来ます。」と前置きしに来てくれた。
と言っても、教授は「予定通りやっていきましょう。」と、一言で終了。

そして御一行は部屋の前にある廊下の防火扉に、全員吸い込まれるように消えて行った。


16時前には、放射線治療部に行った。
レーザーポインタの十字を私の体表3箇所のマーキングと合わせ、治療計画の座標通りに、テーブル位置をずらしていく。
リニアックグラフィを3枚撮り、位置合わせを行い、大転子のレベルに、またマーキングが3箇所書き加えられた。

そして、1回目の照射が終わった。
照射中は装置が「ン~。」と言うような音を出していた。
私の前を回転していくリニアックのガントリを見つめながら、短大時代に放射線治療部に実習に行ったことを思い出していた。

今、声をかけてくださっている技師の方と、あの実習の時、お世話になった先生のお陰で、そんなに怖くなく治療が受けられている、と感謝しているうちに照射が終わった。

放射線担当医による内診があって、毎週水曜日に診察+内診という予定になった。

帰り際、放射線治療の技師が、明日からの治療時刻を決めた方が良いですか、と聞きにきてくれた。
お言葉に甘えて、毎日朝9時スタートにしてもらった。


病棟に帰ってしばらくすると、何だかもう頭がフワッとして、歩幅を大きく出せない感じになった。
早い。気のせいだろう、と思っていた。

夕食の時間になっても、食事は欲しくない。
これも気のせいだろう、と思った。
でも、これからもっと食欲が無くなることが予測されたので、今日は少しだけ頑張って食べた。

どうも、喉のつかえ感が増強している気がする。
ヒステリー球だな。

次に、腹が痒く感じて、つい掻きそうになって自制した。
そっと服をずらして腹の皮膚を見ると、もう長径5cm程度の楕円形の紅斑が。
…これは見た目に分かるので気のせいでは無い。

皮膚弱い方だが、初日から放射線皮膚炎と闘うことになるとは思わなかった。
そんな事に備えて、綿の手袋を準備してきた。寝ている間に掻きむしらないためだ。

かゆみ止めの薬を夜勤看護師に依頼。クリームタイプだと、治療前に落とすのが大変なので、ローションタイプをお願いした。

22時になって、フワフワ、ムカムカ、こりゃやっぱり放射線宿酔なんだな、と考えつつ、トイレに行くと、腹部の紅斑は自然消退していた。

アンサー20も打ってもらった。右の上腕に皮下注射。
明日以降、丸山ワクチンは、もう腹部には注射できない。
大腿部にしなければ。

23時過ぎ、まだ薬が届かないことを看護師が謝りにわざわざ来てくれた。
(消灯後ゆえ、あなたのせいじゃ無いわよ~、と心の中でつぶやく。)


放射線宿酔が2、3日で治まると仮定すると、day1に化学療法でシスプラチン入れてそれでムカムカする人は、ダブルの副作用、ということになる。
イメンド®とプリンペラン®で問題にならないくらいのレベルになるのだろうか。

最初から計画的に、シスプラチンをday4かday5に組む、というのはどうだろうか。
それで治療効果がそれほど変わるとは思えない。でも、ムカムカはきっと重複せずに済むと思うんだけれど。


それから、今日の教訓。「要りそうな薬は、あらかじめ貰っておく!」

やっと今届いたプリンペラン®を飲んだ。もう、今日は寝る。
明日も治療頑張ろう。