正体暴露 アベノミクス もっと悪化するこれからの景気 | 血統&調教診断

正体暴露 アベノミクス もっと悪化するこれからの景気




年明けからの株式市場は連日、乱高下を繰り返している。



400円近く下がったと思ったら、300円上がり、また200円下げるといった具合だ。



『典型的な鉄火場相場になっています。

ちょっと上がれば売り、下がれば買い戻す。

気になるのは、乱高下というだけでなく、昨年の大納会でつけた高値を一度も超えていないこと。

市場が方向性を見失っているように見える。

2月から3月にかけて株価が大暴落し、バブル崩壊を引き起こした1990年当時の動きと似ていて怖くなります』(ビジネス・ブレークスルー大教授・田代秀敏氏)



アベノミクスの限界が、目に見える形で表れてきたとみるべきだろう。



異次元緩和と財政出動でムリヤリ株価を押し上げ、『経済成長』のスローガンで時間稼ぎをしているうちに、景気を下支えする成長戦略を実行するというのがアベノミクスのシナリオだった。



安倍首相は年頭の会見でも、相変わらず口では

『経済優先』

とか言っている。



だが、そのための具体策はゼロ。



上っ面の言葉だけで期待を引っ張ってきたが、それももう限界だ。



肝心の成長戦略が何もないのだから、どうにもならない。



「昨年後半は海外投資家から『成長戦略はいつ出てくるのか』とよく聞かれましたが、年末にはパタリと問い合わせがなくなった。

安倍政権の成長戦略は幻だということが世界的に了承されつつあり、海外投資家は売るタイミングをうかがっているのだと思う。

消費税増税で景気が悪くなる前に売り抜けるつもりかもしれない。

手始めに、年末の大納会後のCME(シカゴ先物取引所)で小規模な手じまいを行い、第1弾の利益確定をしたという話も聞きます」(政府系アナリスト)



海外投資家は慈善事業ではない。



これまで日本株を買い増してきたのは、利ざやを稼げると踏んだからだ。



いつ売り抜ければ一番、儲けがデカイか。



そのタイミングを見計らっている。




◆コモディティー化する日本株の危うさ


評論家の寺島実郎氏は『世界』2月号でこう書いていた。


〈行き場のないカネが日本に流れ込むという世界金融構造の歪みを背景とした株高であり、決して実体経済の向上ではない〉


〈『成長を取り戻す日本』を世界が期待していると思いがちだが、現実は歪んだ金融資本主義のマネーゲームの草刈り場を提供し、おだてられ陶酔しているに過ぎない〉



昨年の海外投資家による日本株の買い越し額は15兆円を超え、すでにパンパンに膨らんでいる。



これはもう、いつ臨界点を超えてもおかしくない水準だ。



『日本市場が長く低迷していたため、いま海外ファンドには日本株の専門家がいません。

香港株やオーストラリア株の片手間でやっているケースがほとんどです。

彼らは日本企業にも日本経済にも関心がなく、日本株を原油やゴールドと同じようなコモディティー(投資商品)として扱っている。

円安でドル建て日本株価が下落すれば買い、円高でドル建て日本株価が上昇すると売る。

それだけのことです。

要するに、今の日本市場は為替だけが支配するマネーゲームの場になっているのです』(田代秀敏氏=前出)



実は、海外投資家による史上最大規模の買い越しの裏で、日本の機関投資家と個人投資家は合計約14兆円も売り越している。



長く塩漬けになっていた株を売った人もいるだろうし、昨年末で証券優遇税制が終了した影響もあるのだろうが、それにしても、あまりにイビツな構造だ。



これは実に危うい。



海外ファンドが一斉に売りに転じた時、国内には支える力がないということだ。




◆最後は庶民がババを引かされることになる


株の乱高下をよそに、多くの庶民は景気回復を実感できていない。



いくらマネーゲームが活発になっても、実体経済はひとつも良くなっていないのだから当然だ。



所定内給与は昨年10月まで17カ月連続で減少、11月も横ばいだった。



問題はこの先で、今よりもっと景気が悪化するのは確実とみられている。



『消費税が上がるのに、景気が今より良くなるワケがありません。

アベノミクスの最大のポイントは給料が増えるかどうかですが、これも厳しい。

今年の春闘で上がりそうなのは、ごく一部の大企業の正社員だけです。

それだって、増税分の3%も上がらないでしょう。

このままいけば、物価だけが上昇するスタグフレーションによって国民生活は圧迫される。

そこへ消費税増税がのしかかり、ますます景気は悪くなります。

それなのに、今後も株が上がり続けるような幻想を振りまく安倍首相は罪深いと思いますね。

海外投資家が一斉に売りに転じれば、株価は暴落する。

その受け皿にされそうなのが、今年から始まった少額投資非課税制度(NISA)で、最後は結局、日本の庶民がババを引かされることになるのです』(経済アナリスト・菊池英博氏)




◆円売り、日本株売り、日本国債売りの恐怖


消費税増税の実施時に、日銀はおそらく追加の金融緩和に踏み切る。



株価を支えるには、他に手がないからだ。



だが、緩和拡大だけで、どこまでしのげるか。



イタチゴッコの揚げ句、傷口をさらに広げかねない。



フランス政治経済学会の会長を務めるアンドレ・オルレアン氏は近著『価値の帝国』で、不安定な金融主導型経済に頼らない『脱金融』を説いている。



金融緩和で株式市場に流れ込んだカネは投機に向かい、いずれ必ず新たな危機を引き起こす。



巨大化しすぎた金融市場は、かえって実体経済の成長にとって障害になっているというのである。



これは、全世界がリーマン・ショックやサブプライム危機から得た教訓でもある。



前出の田代秀敏氏によれば、

『いま海外ヘッジファンドがやっているのは、円を売り、日本株を買い、日本国債を売ること』

だという。



日本株の売りに転じれば、完全な『日本売り』。



そうなれば、日本経済は一瞬でオシマイだ。



アベノミクスのせいで、日本経済は生殺与奪権を海外投資家に握られてしまった。



能天気な楽観論で無謀な金融緩和に踏み切り、危険なゲームに国民を巻き込んだ安倍は、その時、どう落とし前をつけるのか。




日刊ゲンダイ記事引用。
(2014/1/14)