DVD鑑賞

 
独りよがりなのです
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ホットロード
 
監督:三木孝浩/原作:紡木たく/脚本:吉田智子/音楽:mio-sotido/主題歌:尾崎豊
出演:能年玲奈/登坂広臣/木村佳乃/小澤征悦/鈴木亮平/太田莉菜/竹富聖花/落合モトキ/遠藤雄弥/野間口徹/利重剛/松田美由紀
 
女手ひとつで育てた母(木村佳乃)に嫌われていると思っている和希(能年玲奈)。中学でも孤立し、転校生えり(竹富聖花)とともに暴走族横浜ナイツに出入りするようになる。やがて、ヘッドのトオル(鈴木亮平)の信頼厚い春山(登坂広臣)と出会い、付き合いはじめる。
 
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少女マンガの独りよがりな世界観が苦手で、本作も劇場鑑賞を敬遠。今回DVDで鑑賞。三木監督だから、です。「ソラニン」「陽だまりの彼女 」は大好き映画。先般「くちびるに歌を 」で好物監督であることを再確認。改めて拝見。

三木監督独特のソフトフォーカス、好きです。そこにシアンを薄めに混ぜたのが、本作の空気。暴走族、不良…ギラギラした語感の世界が、ふわっとして、青い。そう青春なんです。思春期なんです。反抗期なんです。「尾崎」なんです。

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全編が和希の世界。中盤くらいまで、ちょっといかれたママに嫌われてるかわいそうな中学生の世界です。父が死に、昔好きだった男にあっさり乗り換える母が不潔に思えるんでしょう。親や世間に反抗して、自分たちの世界を自由に生きるナイツの面々に惹かれるのは、自然な流れ。

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終盤に重大な局面。自分が本当に求めていたのは何か、助けてほしかったのは誰か、に気付かされます。子供にはわからないと高を括っていた母が、娘とちゃんと向き合ったから。そこで和希の心象ががらりと変わります。親の想いを知るのですね。

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この内面世界は、独特の淡い画が効果的。子供達の反抗期と成長、子供達と向き合う親の覚悟を、大きな事件もなく淡々と描きます。…最後の方で大きな事件、あるんですけどね。
 
最後に挿入された、ナイツ元ヘッドのトオルのその後が、物語の締めにひと役。

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「あまちゃん」の天然がクローズアップされる能年ちゃん。本作のキャスティングは、その前「カラスの親指 」を観て決めたそうです。本作、寡黙で、棘があって、攻撃的で、朝ドラとは真逆キャラ。本作出演を「失敗」とする声もあるようですが、長い目でみて、いいキャリアになると思う。アイドルじゃなく、女優でいてほしいから。
 
登坂くんも頑張ってて、評判も上々。神奈川県人にしかわかりづらい「神奈川弁」もさりげなく挟まり、思わずニヤつく。
 
母役佳乃さんも持ち上げておきます。母の覚悟まで描いた本作において、この役は重要なキーパーソン。クレジット三番手ながら、二番手な存在感。佳乃さん、「告白」あたりから、勢いが凄すぎる。温泉同好会、なぜやるの?

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独りよがりなんです。他人のことは興味あるようで、それほどありません。それが思春期で、それが反抗期なんです。間違ってます。だけど、しょうがないんです。誰でも大なり小なり、あったんですから。
 
三木監督得意の「音楽」を抑えて進行する、青い物語。どこを切り取っても絵になる画ばかり。そして、二人の手が触れ合うラストに流れる尾崎豊。最後の最後で「音楽」が心を叩いて、エンドロール。
 
 
 
hiroでした。
 
江ノ島、行きテ。
 
陽だまりの彼女 」、「江ノ島プリズム 」そして本作…江ノ島三部作と呼びたい。「海街diary」含め湘南四部作となるか?