HDD鑑賞
奥手なアメリの小さい幸せ
アメリ
監督・脚本:ジャン=ピエール・ジュネ
脚本:ギヨーム・ローラン
音楽:ヤン・ティルセン
撮影:ブリュノ・デルボネル
出演:オドレイ・トトゥ/マチュー・カソヴィッツ/セルジュ・マーリン/ジャメル・ドゥブーズ/ヨランド・モロー/クレア・モーリア/ドミニク・ピノン/クロディルデ・モレ/リュファス/イザベル・ナンティ/アンドレ・デュソリエ
元軍医の父に心臓病と誤診されて学校へ行かなくなり、元教師の母に教育を受けたアメリ(オドレイ・トトゥ)。友達もないまま育ったため、人との交流が苦手な彼女も大人になり、モンマルトルのカフェで働きながら一人暮らしを始める。
人との接触を避けていても、人の幸せを願うアメリ。ちょっとしたいたずらで、幸せになる手助けをしてみたり。その子供っぽい思考や行動と、背景のヴィヴィッドな彩色のモンマルトルの風景がピタリと合う。
なんとも純粋で、可愛らしいアメリ。でも何か違和感。そう、アメリはいわゆるコミュニケーション障害、なんですよね。
病気というより苦手。苦手というより下手。そんなアメリが、一生懸命生きて、一生懸命恋をして、一歩を踏み出そうとする姿は、微笑ましく愛らしいですよね。
…なんて書くと「わかってない」って怒られるのかな。
それって病気じゃん。笑ってられないじゃん。…こっちで勝手に可哀そうって決めつけるのって、どうなんだろ。無闇に同情するんじゃなくて、困ってたら手を差し出せばいいんじゃない、なんて思ってみたり。
フランス映画って語りが多い? 第三者の目。こんな人がいました、って。
つまりは人間観察。でも、他人事ではない。無関心でもない。肯定はあっても否定はない。たいていの人は受け入れちゃうのかね。その「おおらか」、好き。
隻腕の青年、監視癖の男、逃げた夫を愛し続ける管理人…、一見「?」な人たちだって、みんな幸せになりたい。もちろん、ちょっと奥手なアメリだって。
後ろ向きになってる時、観たい映画かも。いい映画に巡り合えた。
世界を旅する人形って、この作品からだったのね。知らんかった。