DVD鑑賞
ダラス・バイヤーズクラブ
監督:ジャン=マルク・ヴァレ
脚本:クレイグ・ボーテン/メリッサ・ウォーラック
出演:マシュー・マコノヒー/ジェニファー・ガーナー/ジャレッド・レト/スティーヴ・ザーン/デニス・オヘア
ダラスでロデオとドラッグとセックスに明け暮れていたロン(マシュー・マコノヒー)が、ある日エイズ宣告を受ける。余命30日と言われ、治療薬について調べるが、効果があると言われる薬でも、承認されないと使用できないという現実が立ちふさがる。
米アカデミー賞直後の公開。賞絡みの作品が毎週のように公開されていたため、やむなく見送った本作。早くもDVDで鑑賞できた。
1980年代のHIV知識のなさに驚愕。医師にエイズを宣告されたロン、返した言葉が「この俺がゲイだっていうのか!」。エイズ=同性愛者という程度の認識。「不特定多数の異性(キャリア)との性交」で感染するという知識はない。寄るな、触るな、手を洗え。最初に報道された頃は、そんな感じだったかも。
鑑賞前はロンもゲイなのかと思ってた。違った。それどころか、ゲイだオカマだの偏見の塊。なのでレイヨン(ジャレッド・レト)とも最初は険悪。ビジネスパートナーとして手を組む二人。治療のため、商売のため、医薬品のことを知る、薬の販売のことを知る、エイズのことを知る。ロンの偏見は次第にすり減り、レイヨンへの理解へと変わる。マーケットで出くわした旧友がレイヨンとの握手を拒否。ロンは強引に握手をさせる。レイヨンの表情が嬉しそう。
弱っていくロンが痛々しい。ハードな減量にトライしてカメラの前に立つマコノヒー。頬もげっそりの名演技…なのですが…各賞絶賛のレトの演技が、もう最高の輝き。マーケットのシ-ンもよい。それを超えたのが父との会話。経営難に陥ったロンを救うため、資産家の父を頼る。「ごめんなさい」に心を打たれた。どんな問題を抱えていようと親子、「死」を意識して頼るのもやはり親子なんだと。レイヨンの放つ「死にたくない」は切なすぎる。
二人の映画愛に溢れる俳優の共演に心震えた本作。昨今流行りの「真実の物語」らしい。ただし、ノンフィクションではない。
ロンが目指したのは「症状の緩和」であり、延命であっても「間もなく訪れる死」が前提である。医療側が目指したのはウィルスそのものの撲滅。同時に語るべき問題ではないと思うんだけど…。ロン側から描かれていることもあり、主人公目線に近い結論となっている。医療側にも言い分がありそうな、深すぎる問題。
知らないことで感染する。
知らないことで差別する、差別を受ける。
知ってることで予防できる。
知ってることで差別はなくなる。
知ってることで薬の話ができる。
知ってることで法の矛盾に気付くことができる。
知ってることで、正しく行動できる。
知ってることで、助けられる。
hiroでした。
(今年公開なので採点だけしてみた)