20本目(4月8日鑑賞)


もう一度「メリー・ポピンズ」が観たくなる
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ウォルト・ディズニーの約束


監督:ジョン・リー・ハンコック

脚本:ケリー・マーセル/スー・スミス

音楽:トーマス・ニューマン

出演:エマ・トンプソン/トム・ハンクス/ポール・ジアマッティ/ジェイソン・シュワルツ/B.J.ノヴァク/ブラッドリー・ウィットフォード/ルース・ウィルソン/レイチェル・グリフィス/キャシー・ベイカー/メラニー・パクソン/アニー・ローズ・バックリー/コリン・ファレル


児童文学「メアリー・ポピンズ」の作者トラヴァース(エマ・トンプソン)は、ロンドンを離れロサンゼルスに向かっていた。ロスで彼女を待っていたのは、アニメーションで名声を得て、ハリウッドに自身のスタジオをもつウォルト(トム・ハンクス)。頑なに映画化を拒み続けるトラヴァースと、娘と約束した映画化を実現するために20年間交渉を続けてきたウォルトは、ようやく話し合いのテーブルに着いた。

脚本家のダグラディ(ブラッドリー・ウィットフォード)、作曲のシャーマン兄弟(ジェイソン・シュワルツ/B.J.ノヴァク)らスタッフのプレゼンテーションが始まるが、ミュージカルはダメ、アニメーションはダメ、登場人物のヒゲはダメ…ことあるごとに難癖をつけるトラヴァース。彼女にとって「メアリー・ポピンズ」は、幼いころ大好きだった父(コリン・ファレル)との思い出であり、他人に触れられたくない大切な部分でもあった。

ダグラディらが提案を受け入れて脚本を変えたことで、ようやく心を開きかけるトラヴァースだったが、「踊るペンギン」をアニメにすることを聞き、再びウォルトに怒りをぶつけ、ロンドンに帰ってしまう。

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あのストーリーの裏に…


読者にさせていただいているブロガーさんに評判の本作。ディズニー歴約20年のhiro、これは観ないわけにはいかない。火曜のTOHOシネマズ会員割引1400円。値上がりに少々くじけながらも、観て参りました。


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ウォルトは自身の父の記憶を重ね合わせる。


映画化を承諾しないまま続く、不毛なプレゼン。同時進行でトラヴァースの記憶が挿入。優しい父の記憶、弱い父の記憶、それでも大好きな父の記憶。そのなかで、観る者は知る。父=「メリー・ポピンズ」の登場人物ミスター・バンクス、なのだということを。そして、父への想いを繋ぎ止めるため、本名「ヘンリー・ゴフ」を捨て、父の名を名乗っていることを。

一方のウォルトは、「ミスター・ディズニー」と呼ばれるのを嫌う。「それは父の名だ」と。彼の父への想いは、父と切り離すことで成立している。

ストーリー・テラーとして成功した二人の、水と油の関係性が、この物語のぬくもりを生んでいる。


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記憶の中の父をファレルが好演。


メインの二人を囲む共演者たちがいい。とくにトラヴァースの父を演じたファレル。メイン二人との絡みは一切なし。それでいて、強烈な存在感。

ディズニーのレジェンド・シャーマン兄弟がセクシー。脚本のダグラディが歌うま。ディズニー創世記の才能たちが躍動する。

トラヴァースの運転手を務めたジアマッティが、強烈に暖かい。彼がいなければ、「メリー・ポピンズ」を観ることができなかったと思うと、これはMVPものの働き。


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シャーマン兄弟…ディズニーのレジェンド。


お馴染みのキャラクターも、スクリーンの端々で活躍。ぬいぐるみだらけのホテルの部屋。アニメ嫌いのトラヴァースに、次々とクローゼットに押し込まれる彼ら。ディズニー映画にあるまじき狼藉。同じ英国の作家ミルンのプーさんにだけは同情の言葉。それでもミッキーマウスだけは、背中を向かせるだけにとどめた模様。

実はhiro、(いい歳して)ミッキーマウス好きである。パークで会えば、間違いなくハグ。終盤、完成披露で一人ぼっちのトラヴァース。彼女に捧げられた、ミッキー最高のパフォーマンスに、泣きそうになった。いや泣いた。


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運転手ラルフは本作のカギ。


「ウォルト・ディズニーの約束」という邦題。娘と交わした約束というより、トラヴァースと交わした約束のこと。原題が「SAVING MR.BANKS」。邦題と原題が対になってる、粋なネーミング。


登場人物の一人として、ウォルト・ディズニーが描かれるのは、初めてらしい。語られることの少ない、父との関係。「ウォルト」と呼ばせるわけ。そして、彼がADD(注意欠陥障がい)を抱えていたという事実。一部の方には有名なエピソードらしい。が、hiroは初めて知ることばかり。「汚点」があってはならない彼の実像。それが見れただけでも驚きだった。


「タバコを吸うのを人に見せたくないんだ」…やめたんじゃないのが、親近感。(笑)


クレジットのサービスにも鳥肌。



hiroでした。


脚本8 映像8 音響6 配役8 他(美術)7

37/50