19本目(4月4日鑑賞)

 
ウォールバーグの渾身。
ls01
ローン・サバイバー
 
監督・脚本・製作:ピーター・バーグ
原作:マーカス・ラトレル
撮影監督:トビアス・シュリッスラー
音楽:スティーヴ・ジャブロンスキー
出演:マーク・ウォールバーグ/テイラー・キッチュ/ベン・フォスター/エミール・ハーシュ/エリック・バナ/アリ・スリマン/ユースフ・アザミ/アレクサンダー・ルドウィグ
 
タリバンの指導者の一人シャー(ユースフ・アザミ)の逮捕・殺害を目的としたレッド・ウィング作戦。その偵察部隊としてタリバンのキャンプ地へと向かう4人のネイービー・シールズ(海軍特殊部隊)マイケル(テイラー・キッチュ)、ダニー(エミール・ハーシュ)、アクス(ベン・フォスター)、そしてマーカス(マーク・ウォールバーグ)。
山岳地帯を移動しキャンプ地に接近した4人は、偶然通りかかった山羊使いに見つかってしまう。山羊使いを捕まえたものの、戦時中でも民間人への対応は厳しく、その処遇が問題になる。電波状態が悪く、基地で作戦指揮を執るクリステンセン(エリック・バナ)とも連絡がとれず、決定は4人に託された。
法に則り山羊使いを解放すれば、間違いなくキャンプ地のタリバンに彼らの存在が知られる。作戦の中止はもちろん、4人の命も200人のタリバンの前に晒されることになる。それでも上官のマイケルは解放を決定。4人の逃走が始まる。

ls02
4人の決断は過酷なものだった。
 
実話。ただ一人生還したマーカスの手記を原作とした一本。「なぜ、ただ一人、生還できたのか」…みたいなキャッチだったと思う。これは誤解を生む。緊張感が伝わらない。サスペンスの匂いさえプンプンする。そんな謎解きなどない。私利私欲にまみれた腹黒い陰謀も、裏切りも、どこにもない。ただ、ただ、救援を要請しながら逃げる。まことにシンプル。まことにリアル。
 
冒頭、シールズの訓練風景。おそらくリアル映像。過酷。爽やかな音楽がかぶり、「アメリカ万歳」的演出疑惑。本編に入る。ミッション開始直前の営舎の日常。そしてミッション開始、トラブル発生、逃走。絶体絶命の窮地を迎えたとき、彼らの絆がものをいう。だからこそ必要だった、冒頭の演出。物語中盤で、やっとそのことに気付く。

ls03
完全アウェイの山岳地帯での逃走。
 
森の中、逃げる。ピュン、カッ、ピュン、カッ! 耳元を銃弾が飛び、木に、岩に、土に着弾する。ピュン、カッ、ピュン、ピュン、カッ、カッ、ピュン、カッ! 右に左に前に後ろに上に下に。ライフルの弾道に囲まれる。「こういう音がするのか」と疑似体験。ドォルルルルルルル、絶望的な機関銃の響き。ドオーン、聴覚を奪う手榴弾やランチャーの爆発。もうそこは戦場。客席に座っているhiroも、みなさんも、5人目のシールズになる。あの音響、何とか伝えたいけど、文字では無理なことを痛感。

落下が痛い。崖に追い込まれた彼らが「降りる」のではなく「落ちる」。寄って映す彼らのダイブ。時折はさむスロー。転がり落ちる音。地面や岩に打ち付けられる音。観ているこっちも痛い。音響、映像スタッフのお仕事に頭が下がる思い。

ls04
救出の糸口がつかめない焦燥。
 
予告の緩さもある。が、ウォールバーグを見くびっていた。そう、「テッド 」の兄サン、いやおっさん。あの緩さが焼き付いている。「2ガンズ」の予告を観ても、「あぁ、テッドの…」だった。すまん、マーク。君のこと何にも知らなかった。落下シーンの痛さ。脚に刺さった破片。少々お腹はシールズじゃなかったけど、まさに渾身。考えてみた。ウォールバーグ出演作、観てるのは「テッド」だけ。「ザ・ファイター」くらい観ろよな、と。「トランフォーマー」次作も彼。これは観ないと。
キッチュ、ハーシュ、フォスター…みなさん凄い。痛そうだし。バーグ監督は、「バトルシップ 」でしたね。キッチュが主演でしたよね。

ls05
戦場のリアリティはぜひ劇場で。
 
楽しげな予告に煽られ、実際観たら「いや、違うよ、これ」って多い。いくら作品そのものがよくても、うまいラーメン屋に来たつもりが、うまいカレー屋だったのでは、喜びも半減なのと同じ(同じか?)。
本作も、予告と違う。B級臭さえする。ところが観てみれば超A級。緊張感。リアリティ。アカデミー賞最終ノミネートまで残った音響。どれをとっても一級品。どうしてあんな予告を作ったのか。もっとお客さんを呼べる映画なのに。
ところが、口コミなんでしょうか、hiroの観た上映回は、中央ブロックが満席。前の方と左右しかあいていない。hiroの両隣も埋まっている。そこで事件は起きたわけだが…(詳しくはコチラ )。
かくいうhiro自身、ファンと言っていいブロガーkitacoさんの記事(コチラ )を読まなければ、観ようと思わなかった。彼女の記事を読み、コメントを投稿し、その翌々日に鑑賞しに行くという。ホントに感謝である。
 
 
 
hiroでした。
 

脚本6 映像9 音響10 配役7 他(音楽)7

39/50