17本目(3月19日鑑賞)


その一歩を踏み出そう。

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LIFE!


監督・製作:ベン・スティラー

ストーリー&脚本:スティーヴン・コンラッド

撮影監督:スチュアート・ドライバーグ

原作:ジェームズ・サーバー

音楽:セオドア・シャピロ

出演:ベン・スティラー/クリステン・ウィグ/シャーリー・マクレーン/アダム・スコット/キャスリン・ハーン/パットン・オズワルト/ショーン・ペン


雑誌「LIFE」の写真管理担当のウォルター(ベン・スティラー)。地味な仕事ながら、表紙写真のカメラマン・オコンネル(ショーン・ペン)からは誠実さを評価され、メモのやり取りだけにもかかわらず、絶大な信頼を置かれている。

会社の経営難からLIFEの廃刊と人員整理が決まり、社内が騒然とする中、オコンネルから最終号用として送られてきたネガに、彼が指定する「ナンバー25」が欠けていることに気付いたウォルター。連絡を取ろうにも、携帯電話を持たないオコンネルの居場所が分からない。

片想いだったシングルマザー・シェリル(クリステン・ウィグ)の協力で、他のネガの画像やギャラの振込先から、オコンネルがつい最近グリーンランドにいたことを突き止める。なにごとにも臆病で、消極的だったウォルターは、自身の人生を変える、大きな一歩を踏み出す。

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これが大きな一歩の瞬間!


初めて予告編を観た時から注目。「ナイトミュージアム」のベン。両親ともコメディ役者というサラブレッド。「あったかコメディ」には定評のベンが、サーバーの小説「虹をつかむ男」を製作・監督・主演で映画化。コメディと壮大なスケールの人生賛歌。このふたつをうまくブレンドできたのかがポイント。


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背景の大自然が素晴らしい!


コメディは日常を描き、ドラマは人生を描く。マイナー感があってこそコメディはいきるので、メジャー感はコメディの邪魔になる。双方を一本に取り入れるのは、かなりハードルが高い作業。結論として、消化しきれてはいないと思う。いっそ、コメディを薄く、ドラマを厚くしたほうが、楽だし、感動もできたと思う。

でも、これはベンの製作・監督・主演の映画。感動のみ追及すると、ベンが監督した意味がない。ベンがベンであるためのコメディなのだと解釈。

コメディ・パートは、ウォルターの「妄想」部分。ドラマチックな人生を「妄想」しても、どこか「そんなことできっこない」と醒めている中年像。これは、観ている人を主人公に置き換える重要なピース。だから、この妄想、このコメディは必要不可欠。「この物語の主人公はあなたです」のコピーはうまい。


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ウォルターの冒険は、

グリーンランドからアフガニスタンへ。


「乗るのか、乗らないのか」…離陸直前のヘリを前に重要な選択を迫られるウォルター。その一歩が、なかなか踏み出せない。

劇中、新ボスの髭を「髭が似合うのは●●だけだ」と揶揄するウォルター…と思いきや、言ったことすら妄想。そんな一言も言えない。

そんな人多いはず…いや、ほとんどがそうなんじゃない?

一歩踏み出せば、冒険が待っている。スクリーンの中の主人公は、みんなの代わりに冒険してくれる。

映画を観終わって、その足でグリーンランドに向かう人はいないと思う。観終わっても変わらないなら、観る意味などない…かな? 「髭が似合うのは●●だけだ」くらいは言えそうな気が、ちょっとだけしてこない?


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ショーン・ペン、めっちゃカッコええし!


ショーン・ペンはめっちゃカッコいい。シャーリー・マクレーンが母親役で出演。何気に豪華。何よりベンが、こんなにカッコいいって、知らなかった。物語が進むにつれて、顔が変わっていくんだもん。


とにかく風景が美しい。グリーンランド、アイスランド、そしてアフガニスタンの荒涼とした大地、草原、山岳。子どものころ得意だった設定のスケボーで、山道を滑走するウォルター。体全部で風を感じ、大気を感じ、地球を感じ、生命を感じる。まさに「LIFE」。このシーンは大好き。写真室でくすぶっていたウォルターは、もうそこにはいない。


「ナンバー25」のネガを手に入れ、クビになったLIFEを訪れたウォルターはもう別人。何も言い返せなかったボスに、LIFEの社訓を言って聞かせる姿、痺れる。

ウォルターは、その一歩を踏み出したいと思う人のヒーローであり、あなたやhiroの明日の姿なんだ。



TO SEE THE WORLD

 世界を見よう

THINGS DANGEROUS TO COME TO

 危険でも立ち向かおう

TO SEE BEHIND WALLS

 壁の裏側をのぞこう

TO DRAW CLOSER

 もっと近づこう

TO FIND EACH OTHER

 お互いを知ろう

AND TO FEEL

 そして感じよう

THAT IS THE PURPOSE OF LIFE

 それが人生の目的だから


(「LIFE!」パンフレットより)


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hiroでした。



脚本7 映像10 音響7 配役8 他(音楽)8

40/50