12本目(3月5日鑑賞)


偉大なるパパ、ポールよ永遠に
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ハリケーンアワー


監督・脚本:エリック・ハイセラー

製作:ピーター・サフラン

音楽:ベンジャミン・ウォルフィッシュ

出演:ポール・ウォーカー/ジェネシス・ロドリゲス/ヨハンス・マイルス/ケリー・ケイヒル


大型ハリケーンが迫るニューオーリンズ。救急搬送された出産の近い妻アビゲイル(ジェネシス・ロドリゲス)の手術を待つノーラン(ポール・ウォーカー)。しかし、期待も虚しく、自発呼吸ができない女の子を残し、アビゲイルは亡き人となってしまう。妻の死を受け入れられないノーランは、人工呼吸器の中の我が子に「君のことは知らない」とつぶやく。
やがてハリケーンの接近に備えて、病院は患者の避難を開始するが、生まれたばかりの子を人工呼吸器ごと運べないノーランは居残りを決意する。ハリケーンの被害は想像を超え、停電に加え、決壊した川の水で町中が浸水。逃げ遅れた人々を残し町は孤立化する。
病院の予備電源で動いていた人工呼吸器は、やがてバッテリー不調が起こり、3分弱の充電しかできなくなる。3分ごとの充電を続けながら、無人の病院で助けを待つノーランに、さまざまな障害が牙をむく。


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妻との幸せな想い出。

2013年11月30日。突然の訃報が舞い込んだ。ポール・ウォーカー、交通事故死。あまりに短い生涯。大好きな「ワイルドスピード」シリーズ最新作も撮影中。どうやら、製作中止は逃れ、脚本を大幅変更して作り直すのだとか。志半ばに倒れたナイスガイへの、せめてもの慰め。
そんな彼の主演作。製作総指揮も兼ねた意欲作。全米公開直前の死。これを鑑賞して供養としようと、公開終了直前、滑り込みで映画館へ足を運んだ。

2005年にニューオーリンズを襲ったカトリーナが題材。孤立した町に残された人々は暴徒と化し、略奪、暴行がはびこったらしい。先の我が国の震災で、被災された方々の冷静な行動が各国で賞賛された。お国柄でこうも違うものなんだ、と日本人であることに誇りをもった瞬間。

…思えば、間もなくだ、「3・11」は。

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突然の死を受け入れられない夫。


映画は冒頭から病院のシーン。妻の死から始まる。急に消化なんてできるわけない。それが「君のことは知らない」というセリフ。妻には「君が生きててほしかった」…。男なんて冷たいもんね、と思われるかもしれないけど、この状況ならhiroもそうなるかな。
以降、食料探しては充電し、点滴探しては充電し、助けを求めては充電し、の連続。時間が経つに連れ、ノーランが妻の死を受け入れ、父になっていく様が秀逸の演出。
銃を構えたポスター、暴徒と戦う予告編、なんかあれ違うよ。パニック・アクションではない。サバイバルだし、人間ドラマだし。もっと静かで、力強い、良作。まさに「そして、父になる」だ。

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そして、父になる…のだ。


ポールの人柄ありき、の映画、なのだ。

カトリーナという設定。ポールが事故死した時、向かっていたのがチャリティ・イベント。そう、ポールは災害救助活動に熱心で、現地に出向いてのボランティア活動もやっていたそう。

劇中、犬が登場する。その接し方が実にサマになっている。そう、ポールは動物好きとしても有名。海洋生物の研究に取り組みつつ、自身でも犬、猫、馬などのオーナー。ハリウッド版「南極物語」にも出演。

生まれてきた子が女の子。実生活でも、未婚ながら一子のパパで、15歳の娘さんとは大の仲良し。事故後は、娘さんの愛情こもったコメントが話題になった。今作、父の自覚を持つにいたる過程を描いたのは、感慨深いものがあったのだろう。

この作品のこの役は、ポール以外はあり得ない。むしろ、ポールのために何者かが用意した作品であり、キャラクターであったのかも…とは、ロマンティックが過ぎるだろうか。

以上、ポールのプライベイトについては、映画時光さんのブログを参考にさせていただいた。ぜひ、ご一読願いたい。右矢印コチラ


原題「Hours」は、おそらく時間の経過、父になるための。地味だったのか、「ハリケーン」がついた。なんか微妙。予告やポスターのつくりも、ちょっと違和感。


ポール主演作ゆえ、評価も盛っちゃうだろうなと、思ってた。いやいや、盛る必要なく、高評価。ポールのポールらしさが、スクリーンの端々に。彼のいきた証を焼き付けるように。

公開待機作はもう一本あるとか。「ワイスピ」改訂版もある。なので「遺作」ではない。だけれども、最後の最後にこれを残して逝くなんて、ポール、かっこよすぎ。





じゃあね、ポール。




hiroでした。

今さらおすすめしても、

劇場で観るのはもう厳しいかも。



脚本8 映像6 音響7 配役9 他(編集)8

38/50