２１本目（４月２８日鑑賞）
本を焼いてはいけません ｂｙ編集者
図書館戦争
監督：佐藤信介 原作：有川浩
脚本：野木亜紀子 音楽：高見優
プロデューサー：辻本珠子 撮影監督：河津太郎
出演：岡田准一/榮倉奈々/田中圭/福士蒼汰/栗山千秋/橋本じゅん/西田尚美/鈴木一真/嶋田久作/相島一之/波岡一喜/石坂浩二/児玉清
昭和の後が「平成」ではなく「正化」になっている日本。犯罪抑止のために悪書追放機運が高まり、メディア良化法が施行。良化委員会による検閲の名を借りた言論統制が進められていた。この動きに対し、読書の自由を守るために図書館にのみ治外法権を認めさせた図書館法が施行、武力を行使する良化委員会に対抗すべく図書隊が組織されていた。
正化31年。かつて大切な本を守ってくれた「王子様」に憧れて図書隊に入隊した笠原（榮倉奈々）は、鬼教官堂上（岡田准一）にしごかれる毎日を、同僚の柴崎（栗山千秋）、ライバルの手塚（福士蒼汰）らととも過ごしていた。厳しい訓練で折れそうになる笠原を支えていたのは、図書隊にいればいつか会えると信じている王子様の存在だった。
ある日民間の小田原情報歴史図書館が閉鎖され、所蔵のメディア良化法と検閲に関する膨大な報道資料の行方を巡って、良化委員会と図書隊は激しく対立。関東図書基地司令の仁科（石坂浩二）をも巻き込む大事件へとつながっていく。
長身を生かしたキャスティング榮倉
チビの鬼教官は岡田君
続々映像化の人気作家・有川浩原作のバトルアクション。
荒唐無稽な世界感にまずは驚愕。悪書追放なる事象はかつて実際にあったからね。なるほど、こういう世の中になるのか。嫌だ嫌だ。
そういう嫌な世界観の中、爽やかに活躍する図書隊。鬼教官堂上役の岡田君は「天地明察 」に続くベストセラー系映画の出演。いまやJ組映画班筆頭の趣さえありますね。演技はもちろん「ＳＰ」で習得した格闘術は健在。彼自身この作品の取材時に「アクションはそんなに凄いわけではない」と言ってたけど、これが凄くないのなら、どんなアクションを凄いというのだろう。岡田君にとってはたいしたことじゃない範疇なのでしょうが（笑）。
笠原の榮倉は「のぼうの城 」でやや厳しい採点。今回は…今回も？…決して達者な演技ではないけど、その拙さが逆に「新米」図書士キャラにフィットしてたと思う。
栗山千秋はいいね。笠原のおネエ的キャラ。前半のメガネ姿に萌え、後半では機転を利かした活躍を見せる。ｈｉｒｏの好き女優の一人です。
堂上らの上官玄田を演じる橋本じゅんがスパイシー。ミュージカルやシェイクスピア作品など舞台中心に活躍中の役者さん。なるほど台詞まわしから発音から、すべてがホット。くさいセリフがくさくなくなる情熱的なパフォーマンス。でっかいスクリーンですら小さく感じる。映画出演はめったにないので、十分堪能しておきましょう。
笠原のライバルで、ちょっとしたラブのお相手も演じる手塚役・福士君。仮面ライダーフォーゼ、らしい。ライダー俳優、またしても飛躍。イケメンになりきってない整いぶりも好感。あ、「あまちゃん」にも出てるんだって。頑張り次第ではクドカン映画にも呼ばれたりしてね。
笠原のよき理解者柴崎。メガネ姿は萌えました。
ライバル手塚君には仮面ライダーフォーゼ。
大御所・石坂浩二は作品に安定を与える。
相島一之も嫌な役をやらせたら一級品の嫌な顔立ち。でも、笑顔は人懐っこそうだ。
西田尚美、嶋田久作ら「気がつけばそこにいる」系役者も堅実。
そしてあちらからのゲスト出演…と言うと不謹慎ですか。でも、ｈｉｒｏは快哉を叫ばずにいられない。最大の敬意を払わずにいられない。そう、児玉清さん。プライベートで無類の本好きで有名。過去に起きた検閲事件で倒れた図書館長の役。もちろん写真だけの出演で、回想シーンは代役で撮影。それでも、代役でも、やはり児玉さんは児玉さん。本のために命をかける情熱。さぞやあちらで喜んでおられることだろう。
「舟を編む
」の記事でも書いたとおり、hiroの生業は編集者。そうです、本を作っている側です。普段、書籍は「所有派」なのであまり図書館はなじみが薄い。ですが、検閲によって書店の棚から没収される本や、図書館で燃やされる本。なんとも切なく、やりきれないというか、怒りさえ感じてしまった場面でした。
本編では「読む人の気持ち」がクローズアップされていましたが、「作る人」の気持ちもいっぱい詰まっているんですよね。本を焼いてはいけません。本を大切にしましょう。
ｈｉｒｏでした。
＊一部本作と関係ない画像が使用されています。
画像がないんだもん。（笑）