続きです。前回ラストで崖から転げ落ちたコロナさんの見る夢。

 それにしても、この落ち方は我ながらギャグだったなぁ。



 ここまで結構マジメにやってきたんですが、書き手の本性が抑えられなかったというか・・・

 シリアス展開とはギャグ落ちを引き立てるために使うものだ、という基本姿勢がやっぱり問題なのだろうな・・・



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 インセクターと戦っていたあの頃、地上から来た男の子・ハンターはよく遠い空を見上げていた。



 そんな彼をコロナは初め地上を懐かしんでいるのかと思っていた。
 ただそれにしては妙に明るい顔をしていることが気になったので、ある日何を考えているのか意を決して聞いてみると。
 少年はあっけらかんとこう言った。


「だって、インナーワールドの空っておもしろい色してるからさ、見てるだけでオレ、楽しいんだ」
「空の色が…おもしろい?」



 想像していなかった答えに戸惑いの表情を浮かべるコロナに、ハンターは続けて説明する。



「地上の空は、ゼンゼン別の色なんだ。見たらきっとびっくりするぜ」



 興味を引かれたコロナが「どんな色なの?」と聞くと、ハンターは考え考えして言葉を紡ぐ。



「空色…って言ってもわかんないか。海とおんなじ…ってオレ、インナーワールドの海まだ見たことないっけ。そっちも地上のと色が違うかもしれないよな…」



 考えこむハンターが珍しかったのでコロナは彼を覗きこんだ。
 と、自分がおもしろがられていることがわかったらしいハンターは不満げに顔を上げ、はたと固まった。
 その反応に面食らうコロナに、ハンターは顔をずいっと近付ける。



「わ! あった、あった!」
「えっ?」



 突然大きくなった彼の声に、コロナは抗議の機会を逃してしまう。
 そんな彼女にまるで気付く気配もなく、ハンターは続けた。



「コロナの目! 地上の空はそんな色なんだ!」
「ちょ、ちょっとあんまり大きな声出さないでってば、恥ずかしいでしょ!」



 瞳を真っすぐ見つめられたままそんな風に言われ、何となく気恥ずかしくなったコロナはその気持ちをごまかそうと語気を強める。
 が、鈍感な少年にそんな乙女心がわかるはずもなく、彼は無邪気に笑う。



「いいじゃん。空と同じ色の目なんて、カッコいいだろ。スケールでっかいぜ!」
「もう、ハンターってば! 空の色の目は・・・」



 そんなやり取りがあって。
 コロナは、空を見上げるハンターを遠慮なく覗き込むようになった。



 そうすると、彼と必ず目が合って。
 それが、何となく楽しみになって。
 いつのまにか、彼女は・・・・




続く



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