アニメ感想ブログの方にあげたやつですが、こちらにも。
BS12で放送中ですが、あまりにも古い且つマイナーなアニメ、スパイダーライダーズのssになります。
でも、第二部『よみがえる太陽』の最終回は本当に素晴らしいんですよー。
真下耕一氏と黒田洋介氏が関わった作品で、やや低年齢向けですが良いラストを見せていただきました。
私のssのことなど忘れて良いですので、どうぞそっちの方をご覧下さい。
月~金曜の17:30~18:00です。もうすぐ最終回ですよー。
とまあオリジナルの宣伝はこのくらいにして、二次創作の方へ。
最終回の2年後よりスタートして、次からさらに3年に跳びます。メイン時期は本編の5年後です。
で、私の書く話には珍しく恋愛絡みの描写が。といっても、片思いの女の子がぐるぐる悩む話なので、告白とか三角関係とかそういう派手なイベントは皆無。
そんな話ですが、よかったらどうぞ。
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「それじゃあ頼むなー」
異世界への移動だというのに、目の前のハンターはいつもの笑顔を浮かべている。
もっともその異世界――地上は、この少年の故郷だ。
かつて、敵対するインセクターの国へ話し合いに行こうと大胆にも言い出した、のみならずそれを実行した彼である。
この緊張感の無さはむしろ当然なのかもしれない。けれど・・・
コロナは胸中に不安を感じつつも、それを口に出すことはしなかった。
言ったところで彼は決断を変えはしないだろうとわかっていたし、帰る故郷がある人間を引き止めるのは憚られた。
だから引き止めるようなことは言わず、素直に見送ろうと決めたのだ。
「また会えるよね?」と尋ねた時の彼の答えは「あったりまえだろ」だったから。
たとえ、その後に続いていたのが「オレたち仲間じゃないか」というやや不本意な言葉ではあったとしても。
でも、これが今生の別れではないというのなら。
「元気でね、ハンター」
ややぎこちなくなってしまったが、どうにか笑顔を作ることはうまくいった。
しばらくは会えないのだ、女の子としては笑った顔を覚えていてほしい。
「もっちろん! じいちゃんに元気な顔見せなきゃだし、元気がなきゃ冒険できないしな!」
なんとも『らしい』返事・・・・・・・・えぇ冒険?
「ちょっと待って、地上に帰るのっておじいさんのお墓参りの為だよね?」と聴く暇さえなく。
コロナの前に溢れる眩しい光。そして感じる、どこか懐かしい精霊オラクルの気配。
思わず瞑った両目を開けた時、さっきまで目の前にいたハンターの姿は既に消えていた。
神殿の床にぽつんと、マナクルだけが残っている。
「え・・・・・」
伸ばした手もそのままに、コロナは呆然と固まる。
「まったく、墓参りのついでにまで冒険とは・・・・。本当にあいつというやつは・・・・・」
「シャドウ! あなたそのことを知っていたのですか!?」
後ろからの呆れたようなシャドウの声。それに反応したのは、硬直した少女の気持ちを誰より理解しているパートナー・ビーナスだった。
「そのこと・・・・とは冒険のことか? そんなことを言っていたのだが・・・皆も聴いて・・・・」
「いませんっ!!」
一刀両断。
雲行きが怪しくなったことを察したようでどもりがちになっていくシャドウの言葉を、ビーナスの怒声が断ち切る。
精霊オラクルの力を借りてハンターを地上へと送ったアクーネは戸惑いをその顔に浮かべ、マグマが「おいおい・・・」と肩を落とし、イグナスが溜め息をつき、ルメン王子はやれやれと肩をすくめ、スパークル姫はきょとんと瞳を瞬かせ、四天虫代表で参加したグラスホップがオタオタと駆け回り、残る5体のスパイダーたちは顔を見合わせる。
そしてコロナは・・・・
「ええぇぇぇぇ!?」
大空へ向かって、叫ぶしかなかった。
「大丈夫だコロナ、あいつはすぐに帰ってくるさ」と皆に口々なだめられ、コロナは不承不承納得した。(それに実際どうすることもできないのだ)
彼のいない間に、とびきりきれいになって、それで料理の腕も上げて、びっくりさせてやる! そう思うことにして、受け入れた。
再会した時に返すため預かったマナクルを握り締め、強く決意を固めて。
ところが。
それから実に3年の月日が流れた現在もまだ、ハンター・スティールの行方はようとして知れない。
続く
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