ドネペジル | 薬と化学と

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薬等々に関して書いていこうと思います。
OTC関係はこちらでまとめてます。
https://hirono.hatenadiary.jp/

もう二カ月ほど前ですがH3受容体アンタゴニストで治験?候補薬となったものがあるようです

気ままに創薬化学様より
http://medchem4410.seesaa.net/article/231387516.html

なかなか興味ぶかい変換です。オレフィンだとシクロプロパンに変換するようなことを習いましたが、シクロブタンにへ変換しています。[2+2]の反応しか思いつきませんが・・・(苦笑)きっと苦労されたのだと思います。
このH3受容体アンタゴニストですが、アルツハイマーなどの治療薬になる可能性があるものです。アルツハイマーの患者では脳内のヒスタミンの量が減っているらしく、そのヒスタミンの量を制御している自己受容体のH3受容体を阻害することでヒスタミンの量を増やし、状態を改善?させるのだとか

他の薬としては

コリンエステラーゼ阻害薬の

ドネペジル
ガランタミン
リバスチグミン

アセチルコリンという物質の関与する神経の活性が低下するらしく、アセチルコリンを増加させると活性が上昇し時症状の進行が遅くなるそうです。


NMDA受容体阻害薬の

メマンチン

グルタミン酸などが作用する興奮性の神経の活動を抑えることによって、細胞障害が減るとか


とこれくらいしかありません。それだけ研究が難航している分野なのです。
この中で一番最初に世の中に出たのはドネペジルです。エーザイが開発したもので日本が世界に誇れる医薬品の一つです。今回はこのドネペジルについて


薬と化学と-ドデペジル

ドネペジルは一か所、不斉炭素がありますが医薬品ではラセミ体を使用しているようです。まあ作り分けようが体内でラセミ化してしまいますし。ピペリジン環の窒素原子はプロトン化されています。

次にコリンエステラーゼですが、ヒトでは二種類あるようで(もっとあるかもしれませんが・・・)

アセチルコリンエステラーゼ
ブチルコリンエステラーゼ

があります。

中枢にはアセチルコリンエステラーゼが、末梢ではブチルコリンエステラーゼが多く分布しています。

このドネペジルはアセチルコリンエステラーゼに選択的に作用します。これにより中枢でのアセチルコリンの量が増え症状の進行が緩和されます。

ただドネペジルが世に出る前にもコリンエステラーゼ阻害薬は存在していました。
ただそういった薬は

中枢へのあまり行かない
ブチルコリンエステラーゼに選択的

でありアルツハイマーの治療薬になりえませんでした。
逆にいえばドネペジルは

中枢に行きやすく、末梢のブチルコリンエステラーゼを阻害しないので、末梢の副作用が少ない薬となります。


このドネペジルの開発を担当された杉本八郎さんの講演を聞いたことがありますが、非常にプレゼンのうまい方でした。開発の苦労はあまり聞けませんでしたが・・・その辺はあちこちの教科書にのっているので逆によかったのかな

中枢に力を入れている企業は多いです。これからこの手の薬がたくさん市場に出されることとなると思います。少し前まで治療薬がなかった病気も何年かしたら特効薬・・・でないにしても治療薬が出てくる可能性があります。非常に楽しみな分野です。