ユンジェ・・・風が吹くように君の側にいる2 | りんぽぽのブログ

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ユンジェが永遠に幸せでありますようにと
心から祈ってます。
二人の愛は私の癒しです・・・。

ただの天然王子かと思っていた。
無邪気に犬を追いかけて庭を走り回ったり、芝生に寝そべったり・・王子らしくない姿に面食らっている日々の中で、驚くほど危険にさらされている事に気づいた。
常に誰かが監視している。
そしてチャンスがあれば王子を狙う。

「こらあ~待ってよお~」
いつものように犬を追いかける王子。
俺は大股でその後を付いていく。
え?
ふと、王子の姿が見えなくなった。
慌てて駆け寄ると、王子はその場でうずくまっている。
「大丈夫ですか!?何があったのですか?」
指差す方を見ると、こちらを睨み付けているヘビ。
間違いなく毒蛇だ。
俺は弓矢で射ぬいた。
ピクリともしなくなったヘビを見ながら、ゆっくりと王子を抱き起こす。
「宮殿にこんな蛇がいるとは・・」
王子がふっ・・と笑う。
「いないよ。城に毒蛇がいる訳ないでしょ?誰かが連れてきたんだよ。僕の前だけに現れる」
「え?」
「驚かなくていいよ、いつもこんな事がある。僕も慣れてきたからね、簡単にはやられない」
「いつもとは?」
「毎日、どこでも僕を狙っている」
俺はキョロキョロと辺りを見渡す。
確かに、そう言われると気配を感じる。
何気なく花の手入れをする庭師、掃除をする使用人、警護の者たち・・すべてが怪しく思えてくる。
「これはどこから来たのですか?」
「ん~・・あの辺かな・・飛んできた」
「誰かが王子の前に投げたのですね」
「うん、多分ね」
そう言いながら、さほど気にしている様子もない王子に俺は再び驚く。
「怖くはないのですか?命を狙われる事が」
綺麗な顔が俺を見る。
「ユノ、それが僕の運命だよ。誰にも変えられない。きっと僕は長生き出来ないね、今まで生きてこられたのが不思議なほどだよ」
衝撃だった。
何不自由なく、豪華な衣装を身に付けた王子が一番大切な自分の命を諦めている。
そんな事が許されるはずがない。
「でもね、本気で僕を心配してくれる者たちもいるんだ。それでユノを側に置いてくれたんだよ」
俺の住む場所は遠くにあった。
きっと何度も違う警護がつき、そして消えていったのだろう。
そして俺に辿り着いたのか?
それほどまでに、この人は狙われている。
それを実感すると、どこか震えが来た。
見えない敵と戦う武者震いなのか、それとも運命の歯車に足を乗せた衝撃か?
それは自分でも解らない。
今は王子を守る、それが俺の任務だ。

「王子の隣に立つことをお許し下さい。遠くにいては守りきれません」
首を傾げる。
「僕はユノがどこに立とうと構わないよ、前でも後ろでもね」
初めから気づいていた。
この人は、王子という立場にあっても誰にも平等だ。
だから尚さら自分を危険な場所に置いてしまうのだろう。
「視界の邪魔をしないように心掛けます」
「ふふっ・・その大きな身体を見ないようにするのは難しいね」
王子が楽しそうに笑う。
俺は、どこか優しい気持ちになっていくのを感じていた。
家族の為に遠い地へ来た。
優しさの欠片もない心と共に。
でも王子に初めて会った瞬間から、どこか柔らかな気持ちになっていくのに気づいていた。
その時はまだ運命の歯車を感じることはなかったけど、今は解る。
俺は、この人を守る為に生きているのだと。
そんな風に思わせるのが何かまでは掴めないけど、俺は王子の側にいる。
それだけが、今の俺がやるべき事だということだけは理解していた。

「王子は今日も外に出たのかしら?」
夕食は王様とお妃、そして王子の3人だけ。
俺はどんな時でも王子の後ろに付いている。
気位の高そうな王妃は、人の話だと王子の本当の母親ではないらしい。
王子は黙ったまま食事をしている。
「王様、勉強もせずに外に出てばかりいる王子を国民は認めて下さるかしら?」
一瞬で理解した。
王子の命を狙っているのは、この人なのだと。
「私が子を宿せば安心です。王様も国の将来を考えて下さいませんと」
王様は黙ったまま頷く。
「ジェジュン、今日は外で何か見つけたかね?」
王子を愛しているのが分かる。
「はい、城にいるはずのない毒蛇がおりました」
そう言って顔を上げる。
視線は妃の方へ向けられている。
一瞬怯んだ妃が慌てたように言う。
「あら、蛇なんて怖いわ。ですから外に出るのはお止めなさいと申してるではありませんか」
「噛まれなかったか?」
王様が心から心配そうに問いかける。
「はい、警護の者が射ぬいてくれました。でも私は蛇よりも人間の方が恐ろしく感じます」
「それはどういう事だね?」
王様の問いかけに、王子はゆっくりと微笑んだ。

「罪を犯すものの顔は醜くなります。それを隠しきれない人間は、とても怖いです」
「なっ!」
妃が王子を睨む。
俺は気づいた。
この3人の関係は歪んでいる。
誰もがその心を知ってなお、こうして静かにディナーにいるのだ・・。




おはようございます✨
サスペンス?

今日も元気に、いってらっしゃい(*^▽^)/★*☆♪