皆さん、こんにちは。平柳です。

ご無沙汰しておりますが、お元気でお過ごしでしたでしょうか。

世間はクリスマスイブですね。ここ最近は図書館と自宅とを往復する日々でしたが、今日は図書館もお休みなので(笑)、自宅でゆっくり過ごす予定です。

さて、マンション管理士、管理業務主任者の試験後、受講生の方々から個人的にお問い合わせを頂くことが多くなりました。具体的には、マン管の問16、主任者の問6と問29についてです。

今年は自分自身の勉強の都合で、個別に簡単なご返信はしておりますが、細かい問題の検証はブログ上で公開しておりません。

ただ、ご質問等結構頂くようになりましたので、簡単にだけ見解を述べておくことにします。いつものことながら、LECの公式見解と異なる場合がありますが、個人的なものなのでご容赦ください。

まず、マン管の問16です。

今のところ、予備校各社の解答速報との比較では、LECだけが「1or4」としています。あとはみんな「1」を答えにしていますね。

本問は「民法及び判例」が正誤判断の「ものさし」となっており、区分所有法が入っていない点がどうにも…な 問題です。

結論から言えば、出題者は肢1を答えとして想定しているのだと思います。福岡高裁の判例を前提として作られた選択肢だということも容易に想像できますので、おそらく間違いないでしょう。

しかし、肢1が「管理組合」が責任を負うとしているところは厳密には問題です。

本問の管理組合は権利能力なき社団か否かは明らかではありませんが、権利能力なき社団でない場合はもちろんのこと、仮に権利能力なき社団である場合であったとしても、実体法上、権利能力なき社団「自体」は権利義務の帰属主体にはなりません。

「権利能力のない」社団なのですから。

その意味で、実体法上の権利義務は、あくまで「構成員全員に総有的に帰属」するだけです。

とすると、「区分所有者全員が責任を負う」であれば問題なく肢1を答えにできるのですが、その点の「表現が荒い」のです。

また、肢4について、601号室自体の設置・保存の瑕疵を否定するとしても、屋上部分の施工不良が原因だということは、共用部分としての屋上に関する工作物責任が生じます。

所有者の工作物責任は無過失責任ですから、屋上部分の所有者の一人である601号室の区分所有者も、「持分に応じた」責任を負担するというのが基本です。

本肢は責任の範囲について限定していませんので、生じた損害「すべての」責任を負うか?と聞いているようにも思えますから、一応「×」というのは成り立ちます。

ですが、これは601号室の所有者が賠償責任を「全く負わない」ということを意味するわけではないので、そこがやはり「荒い」と言わざるを得ません。


とはいえ、この時点で既に「区分所有法」を考慮していることになりますから(笑、やはり肢1を正解として想定しているのでしょう。でも、この事例で区分所有法をものさしに入れないという問題自体どうなのかなぁ…と思います

次に、主任者試験の問6についてですが、これはヒドイです。模擬試験だったら没問にするレベルです(笑)。

イとエは明らかに誤りですし、出題者が「意識的に」作っている肢だということがうかがえますから、出題者は肢3を答えとして想定しているのだろうと思います。

ですが、その反面でアを○とするには少々無理がありますよね。

委任契約が「原則:無償・片務・諾成契約、例外:有償・双務・諾成契約」というのはご存知の通りですが、条件設定が何もないにもかかわらず、この表現から例外の場面を想起して○にしろというのは無理があります。

これが「委任においては、諾成の双務契約となる場合がある。」とかであれば明確なのですけれどね。

最後は、主任者の問29です。これは、ブログのコメント上でご質問頂き、それについて以前回答しましたので、それを転記します。

~以下、転記~

9 ■Re:お疲れさまです。

じゅんぞうさん

お返事遅くなりましてすみません。

さて、ご質問頂きました本年度の管理業務主任者試験問29についてですが、LECから特に変更の話は聞いておりませんし、この問題は肢2が正解で間違いないと思います。

議決権の不統一行使が認められないということは、過去のマンション管理士本試験でも出題済みです。

信託を前提として会社法上で議決権の不統一行使が認められる場合があるのと異なり、判断権者が一人であることを前提とするマンションの管理の場面においては、一人の議決権行使者の意思を分断することは認められません。

これは、分断をする必要性も分断を認める合理性も認められないことが理由であり、区分所有法及び標準管理規約に明文の規定がなくても、区分所有法における議決権というものの「性質上」当然のことです。この点には争いはありません。

したがって、肢2を適切だと判断する余地はないと思います。

他方、肢3については、確かに標準管理規約46条3項は、専有部分が数人の共有に属する場合、「議決権を行使する者1名を選任し、その者の氏名をあらかじめ総会開会までに理事長に届け出なければならない。」としているため、「一見すると」本肢はこれに反するようにも見えます。

しかし、この規定は「議決権行使者1名を決めて、事前に届け出なさい」とは規定していますが、「それをしなかった場合にどのような取り扱いを受けるか(議決権行使が否定されるのか)」について、明確に規定しているものではありません。

そこで、本問が「区分所有法及び標準管理規約によれば」となっており、「区分所有法」も判断基準とされていることが意味を持ってきます(この点が主任者平成18年問35と前提が異なるわけで、標準管理規約だけを判断基準にするのであれば、形式的には本肢は不適切と考える余地もなくはありません)。

ここで、区分所有法40条は「専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければならない。 」としています。

この規定の「解釈」としては、議決権行使者を規定しなかったとしても、共有者の一人が出席した場合に議決権行使を否定する趣旨だとは考えられていません。

むしろ、共有者の一人が集会に出席した場合には、「他の共有者から異議又は留保の申し出がない限り」、出席者に議決権行使をゆだねる趣旨とみてよいと解されています。

その意味で、特段の異議や留保の申出について条件を付していない本肢は、適切だといえます。

なお、本肢では、転居先を総会招集通知場所とする届出がなされていますが、「議決権行使者の届出はなかった」とされているとおり、通知送付先の届出と議決権行使者の届出は全くの別物ですので、そこは誤解しないことに注意が必要になると思います。

ひらさん 2012-12-15 16:36:18 >>このコメントに返信

~転記ここまで

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